庄司薫のレビュー一覧

  • 狼なんかこわくない

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    "若々しさのまっただ中で犬死しないための方法序説"
    庄司薫氏の青春論。

    傷つきやすい青春、とか、そういった類いのはなしはたくさんあるけれど、もしかしたらその中で庄司薫ほど、そんな"青春"をまっすぐ見つめた小説家はいないんじゃないか。
    傷つきたくない、傷つけたくないという若々しさ、他者を愛することのむずかしさに向き合い、10年間、悩み考え尽くした結果が"赤頭巾ちゃん"なのだと思うともうどんどん愛しくなる。

    その人生をかけて、若々しさという壁を正々堂々のりこえて、他者への愛を語る庄司薫、その切実なドラマティックさにわたしはもうすっかり

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    2013年06月20日
  • さよなら快傑黒頭巾

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    ネタバレ

    再読。
    薫クンシリーズとしては2番目に出たらしいのですが、
    時間的にはゴールデンウィークまっただ中のお話なので3番目。
    (『白鳥の歌なんか聞こえない』が3月のお話)


    シリーズの他の作品ではつねに余裕綽々であり、
    憧れるべき人生のセンパイとして描かれる
    薫くんより1世代上のお兄さんとその仲間、
    さらにその1世代上の先輩達が、「男が人生の夢にやぶれる」
    ということがどういうことなのかを見せてくれるお話です。

    薫くんはそれをいつもの透明な目で見つめ、あわてふためき、
    傷つき、怒り、おびえるんですが、それでも、
    いつか自分もその負け戦しか待っていないんじゃないかという
    「悲壮な戦場」へ出ていくと

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    2012年03月08日
  • ぼくの大好きな青髭

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    20年以上前の高校3年生の時に、それまで運動部で
    本などろくに読んでいなかった僕に友人が
    「赤ずきんちゃんー」を貸してくれて一気に4部作を
    読みました。その後の僕の人生観に影響を与えて
    くれたし、4部作のなかでも青髭が一番好きです。
    当時は、庄司薫を読んでいる人はそれなりにいたけど、
    最近はほとんどいないのが残念。
    是非、若い人に(高校生くらいの人に)、 赤から順番に
    読んで欲しいです。だまされたと思ってでも。

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    2012年02月11日
  • 狼なんかこわくない

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    「優しさ」と「強さ」。「弱者と」と「強者」。強くなるために、誰かを傷つける、若しくは誰かを踏み台にする。そして身につけた「強さ」。その力を多くの人々に還元する。時代は変わっても、思春期の欲望と愛の矛盾をグルグルと回りまわって書かれている。自分にとっては、とっても同感できる作品だった。

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    2012年01月29日
  • ぼくの大好きな青髭

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    四部作で一番面白い。他人を見ているつもりで他人に見られている、という構図が秀逸。普段暴れ回る小林や由美が、主人公の故郷みたいな優しい印象になっている所も好きです。

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    2011年09月01日
  • 白鳥の歌なんか聞えない

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    人間の死を考える機会が永遠に訪れないといいと思う 太陽が昇って沈むように、人間の命も生まれては消えていく この自然の摂理をシニカルに考えないように…見つめすぎないように

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    2009年10月04日
  • 赤頭巾ちゃん気をつけて 改版

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    定番青春小説と呼ばれるので読んでみた。面白かった。ストーリーは、東大入試中止になった年に高校三年生だった主人公が今年は大学を受けないことを決意し、そういう決断をした自分について考えながら、ガールフレンドや友達やおばさんとかいろんな人に会って、悩んですっきりする話。まず、あの女医のシーンがエロイ。軽く起き上がってしまった。そして感受性の強い18歳というものの描き方が巧いと思う。最後の一連のシーンだけど、どうでもいいことを無理やり自分にとって重要な出来事に変えてしまう、この青さはなかなか書けない。30年くらい前の本だけど、今読める度が非常に高い。

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    2009年10月04日
  • 狼なんかこわくない

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    庄司薫、青臭くて面倒臭くて好きだ。青春論なんだけど、何も若さの特権とか、逆に若気の至りを説いているわけじゃない。庄司薫は生涯ずっと青二才かもしれないし、むしろ読者としてはそうあってほしい。人間として大切な純粋さや誠実さは、年齢に関係なくいかに獲得してきたか、いかに失ってきたか、それによって決まるものだと。オイラは後悔しない代わりにあまり反省をしないけど、自己否定のきっかけとして時々は反省しようと思った。
    それにしても70年代に書かれたものにもかかわらず、いま読んでもまったく違和感がないことに驚いた。「大きな大人」は2019年でも増加中だ。情報洪水と言っていたけど、いまは自分からそこに飛び込んで

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    2019年03月23日
  • ぼくの大好きな青髭

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    なるほど、青髭とは・・・なのか。時代の急激な変化、若者の革命、今の時代に通ずることもあって、この頃から大きく変わり始めたような気がする。複雑化する社会、それを単純に考えようと思ってるけど、単純にしてる間により複雑化していき、より混沌としていく。そんな気にさせられる作品。庄司薫4部作の最終。もっと続きが読みたいなぁ

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    2009年10月26日
  • 白鳥の歌なんか聞えない

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    生と死、そして性。この作品を読んで、すべてはぐるぐる廻っている(輪廻)ものではないか、と考えるようになった。薫と由美との距離がぐっと縮まった作品。心理描写が面白いなぁ、この人。

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    2009年10月26日
  • さよなら快傑黒頭巾

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    口語体はだからか、読みやすく、感情移入しやすく、おもしろく。思春期の悶々、戸惑い、思考のジレンマ、こうやって大人になっていくのかと読みながら思う。ただ、薫くんには変わってほしくない、僕も変わりたくない。

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    2009年10月19日
  • 白鳥の歌なんか聞えない

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    死にゆくもの、滅びゆくものを前に、ふとたじろぐ若い魂。そして「死にゆくもの、滅びゆくもの」として見つめられ愛されることを拒絶する、もう一つの若い魂。早春のきらめきの中に揺れる、切ないほど静かで、不思議に激しい恋の物語。

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    2009年10月07日
  • ぼくの大好きな青髭

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    中学生くらいの時に、家にあった母の本をさらさらっと斜め読みしたのが、薫くんとの出会い。

    久々に会った薫くんは、変な格好で本屋に向かっていた。何してん。そこから当時の若者たちの最先端(!?)な濁流に呑み込まれていく。

    今の政治的無関心とか、まぁそこそこ自分が楽しければいいや、とは違う。若い人たちが何かできる!とがむしゃらになって夢を追い、敗れ…日本変わったな!平熱が低い私には、たまにはこういう暑苦しいのが必要か。

    ライトノベルはこんな感じで始まったのかなぁ。薫くん独特の言い回しやこだわりがくどいけど、憎めない1冊だ。

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    2013年08月09日
  • 狼なんかこわくない

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    薫君4部作に引き続き、庄司薫を読む。
    この本は小説ではなく、エッセイだ。1971年の刊行なので、かなり古い本だけれども、僕は庄司薫は小説だけしか読んでいないので、この本は初読。
    饒舌な文体で書かれているところは小説と同じなのだけれども、内容は読み取るのにかなり骨が折れる。巻末に素晴らしい解説(萩原延壽と御厨貴の2人)がついていて、この本の読み取り方の素晴らしいサンプルを示してくれてはいるが。
    内容の読み取りが浅いことは承知の上で(内容ばかりでなく、論の進め方もまわりくどいという印象がある)、この本の好き嫌いを言えば、あまり好きではない。

    解説からの孫引きになってしまうけれども、このエッセイに

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    2012年06月07日
  • 赤頭巾ちゃん気をつけて 改版

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    ページ一杯に活字で埋められている本は、昔から苦手なのだが、何とか読めた。昭和元禄。『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』を読んだ日に、児玉清氏の訃報のニュースで、出てきたのでビックリだ。

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    2011年05月19日
  • 白鳥の歌なんか聞えない

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    膨大な知識と教養を持った人の死。
    その喪失感、むなしさと向きあう若者たち。

    これも映画から入ったと思うけど、検索してもDVDとかはないみたいか?
    けっこう悪くない映画だったと記憶はあるけど。

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    2011年01月19日
  • 白鳥の歌なんか聞えない

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    死について見つめだした10~20代の男女の群像劇。

     あれこれ理屈をこねまわす主人公に最初はいらいらしながら読んでたけど、個人的にあれこれ頭で考えてしまう部分もあるのであまり主人公のことを悪くは言えない。というか確かに高校卒業したての頃の色々考えてしまう脳みそっていう感じ。若い。

     主人公の友達や幼馴染みの女の子もあれこれ考えていて、なんだか友達の話を聞いているような気分で読めます。

     これまで「純粋=すぐ行動にうつす」だと思っていたけれど、「純粋=あれこれ考えてしまって動けない」という部分もあるなあと思い返しました。

     前作の「赤頭巾ちゃん気をつけて」では主人公の内面の苛立ちに焦点が

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    2010年05月29日
  • 白鳥の歌なんか聞えない

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    人生って、なんだろうって思う。 一生かけて蓄えたものも、死んでしまったら何にもならないの? ほんとに? と疑問に思い、悩む主人公たちに思わず自己投影してしまう。

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    2009年10月04日
  • 狼なんかこわくない

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    現代の青春のまっただなかで、純粋さと誠実さを求め、あくまでも「他者肯定」を夢見て闘おうとする若者のための指南書。

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    2009年10月04日
  • さよなら快傑黒頭巾

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    庄司薫の、赤、黒、白、青シリーズのひとつ。学生運動の時代を生きた若者が社会に組み込まれ、観念して人生の仕切り直しをする。

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    2009年10月04日