マルク・ラーベのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前作同様、映像が目に浮かぶようなエキセントリックなオープニング。さすが映像制作会社社長!目まぐるしい展開に閉じることができず、ほぼ一日で読みました。こうした歴史の負の側面を抉り出すことで、エンタメに重みが生まれているかと。ドイツ分断時代ネタはたっぷりありそうなので、今後も楽しみです。ジータと彼の繋がりを作るのはちょっとやりすぎ?かと思いましたが、ほんわかパートでもあるので、今後の展開を期待します。にしても、臨床心理士とは思えないほど現場での捜査に加わっていて???ではあります。そしてまたまた次作に余韻を残す結末、読まざるを得ないではないですか。ただ、今後の流れに必要なのだとは思うけれど、ヴィー
-
Posted by ブクログ
マルク・ラーベ『17の鍵』創元推理文庫。
2ヶ月連続刊行のドイツ警察ミステリー小説の第1弾。
またまた帯の『圧倒的な面白さ』という惹句に踊らされてしまったようだ。何だか騙されたかのような読後感。あれよという間に、謎が謎を呼び、大きな謎を残したまま結末を迎えてしまった。
解説を読むと、どうやら4部作のようだ。今月末に刊行予定の第2作『19号室』は本作にも描かれた養子縁組のあの部屋を指しているのだろう。第3作は『スズメバチ』、第4作は『ヴィオーラの部屋』という仮のタイトルが付いている。
これだけ多くの謎を残された以上は、全4作を読まねば気になって夜も眠れなくなるに違いない。
2017年 -
Posted by ブクログ
ネタバレ天使のように吊り上げられた死体。死体の首には17と書かれた鍵。それは刑事のトムが少年時代に川底で発見した死体が持っていたものだった。そしてその鍵を持ってトムの妹ヴィーは失踪した。ヴィーの死を受け入れられないトムは、この鍵がヴィーへと導いてくれるのではという個人的な理由から捜査を進めていく。その中で、かつて死体を発見した時に一緒にいた幼馴染たちのもとにも同じ鍵が送り付けられていたことが発覚する。
一方トムの相棒となったジータは、精神病院に入院するクララという女性とコンタクトをとり、そこに今回の事件と少年時代のトムが発見した死体の一件との関連を見出していく。
凄惨な犯行現場に迫り来る犯人の魔の手と -
Posted by ブクログ
ネタバレ17の鍵に続いてトム・バビロンの2作目。作品の色調はどんよりと曇った鈍色でドイツってこんな国なのかと思う。とりわけ東ドイツの歴史が共産主義国の典型的な閉鎖的で疑い深く自国民を(特に子供を)もっとも虐げていたことを底流に話が進んでいくので救いがない。ただ、ジータの初恋の描写だけが唯一の例外と言えるか。
それにしても、最近読んだフランスのセルヴァスシリーズと主人公の設定がよく似ている。優秀なはずなのに無鉄砲で単独行動が多く、なんども殺されそうになりながらも敵の優柔不断さに助けられて生き延びる、アクション映画の世界そのものでリアリティを削いでいる。バビロンシリーズはこの後も2作品が続くようだがこの重