社會部部長のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1ラインエッセンス
人間の思考や行動は、私たちが思っている以上に地理に動かされています。それも気づかないうちに。
【この本は結局何を伝えたいのか】
国際政治を理解するには、「その国が善人か悪人か」ではなく、「その国が置かれている地理的条件と、生存するための事情」を見ることが重要。
地政学では特に「海と陸」が重要で、海洋国家と大陸国家では抱える脅威や戦略が大きく異なる。
世界には国家を強制的に守る「世界の警察」が存在しないため、各国は自国の生存を最優先に軍事力や同盟を強化する。
その結果、相手国の防御行動が攻撃準備に見えて緊張が高まる「安全保障のジレンマ」が生まれる。
つまり、国際情勢を理解するには「相手も自分と同じように、自国の生存を守ろうとしている」という視点が重要。
【各章の要点】
■序章
地政学の基本は「海と陸」。
海洋国家は大陸国家の台頭を抑え、大陸国家は周辺国との勢力争いを繰り返す。特にユーラシア大陸は人口・経済・資源が集中しており、世界の覇権を左右する重要地域。
■第1章 アメリカ
アメリカは世界最強の軍事・経済大国だが、ユーラシア大陸から遠く離れているため、大陸への影響力を維持するには基地や同盟が必要。
アメリカが大陸諸国と同盟を結ぶ大きな目的の一つは、ロシアや中国などの潜在的な覇権国がユーラシア大陸を支配することを防ぎ、勢力均衡を保つこと。
■第2章 ロシア
ロシアは西側に広大な平野が広がり、自然の防壁が少ないため、歴史的に侵攻への不安を抱えてきた。
そのため周辺に緩衝地帯を求める傾向がある。ウクライナやクリミアが重要なのも、地理的・軍事的・海上交通上の意味が大きいため。
また、石油や天然ガスなどの資源も外交上の重要な武器となってきた。
■第3章 中国
中国は大陸国家でありながら、アメリカのような海洋国家を目指して海洋進出を進めている。
南シナ海は中国の貿易・エネルギー輸送にとって非常に重要な海域であり、台湾も中国の海洋進出を考えるうえで重要な位置にある。
一方、北朝鮮は中国と韓国の間にある緩衝国であり、中国にとっては扱いの難しい存在である。
■第4章 日本
日本は海洋国家だが、朝鮮半島という「大陸への橋」を持つため、歴史的に朝鮮半島の情勢を強く警戒してきた。
日清・日露戦争なども、朝鮮半島や満州をめぐる勢力均衡と深く関係している。
その後、日本は大陸へ勢力を拡大したが、満州事変などを通じて軍事的負担を増やし、アメリカ・イギリスとの協調を難しくしていった。
【実務で使えるポイント】
・国際ニュースを見るときは「その国の地理的な弱点は何か?」を考える
・「なぜその国はそんな行動をするのか?」を、生存・安全保障の視点から考える
・相手の軍備増強を「攻撃したいから」と決めつけず、防御目的の可能性も考える
・「安全保障のジレンマ」を意識し、相手から自分の行動がどう見えるかを考える
・国同士の関係を見るときは、感情や歴史だけでなく「距離・地形・海・緩衝地帯・資源」に注目する
・一つの国だけを見るのではなく、周辺国との勢力均衡まで含めて考える
・「善悪」ではなく「相手にも相手の事情がある」という視点を持つ
【まとめ】
地政学とは、国を動かす「地理的な制約」を理解するための地図。
アメリカ、ロシア、中国、日本は、それぞれ強さを持つ一方で、地理的な弱点も抱えている。
国家は自国の生存を守るために行動するため、その行動が他国の不安を生み、安全保障のジレンマにつながる。
戦争を避けるには、相手の意図が分からないことによる「不確実性」を減らすことが重要。だからこそ、外交や対話によって互いの意図を明確にすることに意味がある。
「理想だけで世界を見るのではなく、地理という現実を理解したうえで平和への道を考える」ことが、本書から学べる最大のポイント。 -
Posted by ブクログ
面白い!
国の至上目標は生き残ることである、という前提に立ち、陸上国家は生き残るために敵を攻め、海洋国家は生き残るために守りを固める。
全てを地政学で説明できるとは思えないけれど、すごく納得感のある説明がなされていて面白かった。
一つ疑問に思ったのは、なぜ世界が一つの統一国家になってはいけないんだろう、ということ。国の至上目標が生き残ることで、他国に侵略される心配があるなら、世界がまとめて一つの国になればそれは達成されるのでは、と思った。
多分、民族の違いや感情的な要因があって、「なってはいけない」というより「なりにくい」構造なんだろうな、となんとなく想像した。 -
Posted by ブクログ
序章〜第一章は、以前読んだ地政学の本と重なる内容で、正直また同じタイプの本を選んでしまったかもと思った。
ただ、第二章以降は一気に印象が変わる。知らなかった事例や具体的な歴史背景が多く、読み応えがあった。
これまで教科書やニュースでは断片的にしか理解していなかった戦争や国際関係も、地理と結びつけて考えることで、なぜそうなったのかがよく理解できる。
読みやすさも含めて、こういう内容こそ学校教育やニュースにもっと取り入れてほしいと思った一冊。
簡単に戦争=悪という善悪や理想論だけでなく、相手と自国の事情を踏まえて考えていくことの重要性を感じた。
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Posted by ブクログ
大型書店の一画を占めていた『地政学』というものを読んでみようと手に取った。思いのほか面白く、今の世界の状況を極めて明晰に説明していると思った。今日本を戦争に巻き込む可能性が最も高い台湾有事において、アメリカの立場と日本の役割についても納得のいく説明がなされていた。曰く、「台湾有事の成敗を左右するのは日本だ。日本がアメリカに協力すれば、中国に辛勝できるだろうが、双方に大きな犠牲が出るだろう」と。高市首相が改憲を急ぎ、緊急事態条項で国民動員体制確立を急ぐのも理解できる。平和憲法がなければ、NOと言えない日本は今ごろ、トランプのイラン派兵に巻き込まれているのは明白だが、半数以上の日本人が改憲を望んでいるのだから、近い将来自衛隊➕️徴兵された若者達が戦地に送られることは間違いないだろう。中国との話し合いのパイプを潰し続ける現政権と経済大国中国を見下す国民という不運な組み合わせの代償としては大きすぎるように思える。私は決して反日ではない。日本国民の平安と幸福を強く願っている一人として思う。各国の地理は変えようがないが、著者が言うように、地政学は運命論ではない。地理とその弱点強みを十分理解したうえで、賢明な判断をすることが極めて重要という主張に一縷の希望を感じた。
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Posted by ブクログ
本の感想の星基準
★ ・・・読む気が失せた、途中でやめた
★★ ・・・無理して読み終えた
★★★ ・・・読み終えて、感情が無
★★★★ ・・・読み終えて、良かったなと思う
設定は良かったが物足りない
★★★★★・・・すごく良かったなと思える
この本を読むことで、今起きているロシアとウクライナの戦争や中国の台湾への執着など色々な世界情勢の背景を知ることができた。
各国の土地や周りの土地が、こんなにも大きく影響があるもので重要なものだとは知らなかったのでこの本を読んで良かったと強く思った。
量が多く、内容も重厚だけど、分かりやすい内容だったので楽しみながら、おもしろいと思いながら読み進めることができた。
日本が、アメリカにとっても中国にとってもロシアにとっても重要な意味を持つ国であるということ、
ロシアは強いように見えるが、地政学的に見ると、
平野に囲まれていて攻められやすい土地で、自由に出入りできる港が少ないということで土地としては弱いということ、だからこそ防衛の為に土地を広げる必要があるということ。そう言った、今まで想像すらしてこなかったことを知ることができてよかった -
Posted by ブクログ
ネタバレ世界の国々の中で影響力が最も高いとされる、アメリカ・ロシア・中国を中心に解説されている本書。
特に昨今のウクライナについて、なぜロシアはそこまでウクライナにこだわっているのかというのが知識のない人間にも分かりやすく噛み砕いて説明しているため、納得できると共に、ロシア視点で見る面白さも感じた。
アメリカなど世の中が楽観主義の中、ロシアは内陸国としてそこまで割り切れず、緩衝材となる隣接国がNATO加盟国になることで脅威を感じるという。
アメリカもアメリカで、なぜ圧倒的な力があるのに日頃から他の国々へ積極的に介入しているのかというのも、距離的にユーラシア大陸へ挑むのが難しいので、ユーラシア大陸で筆頭してきた国をモグラ叩きするため、また、元々はイギリスが行っていたがイギリスが弱くなったため代わりに、など。
中国と北朝鮮の関係についても、緩衝材として必要なため北朝鮮が崩壊しないように資金や食料を提供し続けるも、どれだけとめても核ミサイルを作るのをやめず、嫌でも他国を刺激する厄介さ。
上記のように、ざっくり説明できるレベルの知識を得られたので、初心者には良心的な本だった。