齋藤ジンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ筆者の主張が明確で分かりやすかった。
まず、筆者が読者に伝えたいメッセージが、今より選択肢の増える時代が来るので、後悔の無い選択が出来るように祈っていました。
導入は日本人に対して、ゲームチェンジが始まっているメッセージでした。しかし、最後には前向きに現状を捉えてほしいというメッセージ性が強く打ち出されていました。
一貫して、政治と経済を、知識と経験で語っている中で最終的に感情で結んでいるのが印象的でした。
内容としての感想は、まずアメリカはやはりNo1だなということです。バブル崩壊については日本の落ち度ですが、トドメの引き金はアメリカからの文書でした。一定以上の経済成長はアメリカからの制裁で、鈍化するのがセオリーになっています。
冷戦崩壊後のターゲットは日本でしたが、今回のターゲットは中国です。この際に設けられる相対的勝ち組の席に日本は座れるとのことです。
他にも色々なことが書いてありました。全てを説明するには私の脳の理解や記憶が追いつかないので、まずはこの辺りで感想を終わります。 -
Posted by ブクログ
すごくわかりやすく丁寧簡潔に書かれていると思った。
新自由主義の時代が終わりに近づきポスト新自由主義の台頭から、今後どのような世界情勢になっていくのかといったことが流れるように書かれている。
新自由主義の定義①小さな政府②最低基準を市場にゆだねる③個人の選択と権利を尊重するといった基本的なことから、新自由主義を代表する経済システムの提言であるワシントンコンセンサス、新自由主義の象徴である覇権国家の米国と、その寵児で恩恵を受けてきた中国、波に乗り遅れた村社会の日本など、各国の歴史と関係性を簡潔にわかりやすく解説してある。
ただ米国寄りの意見であるがゆえに少し贔屓目で見ている部分もあるのではないかということと、日本という国における格差の実態や氷河期世代の誕生といった部分の掘り下げが少し弱いかなと感じてしまうため、国内でのポピュリズムの台頭がアジテーションされたものであるかもしれないが、すこし楽観が加わっているように感じる。
とはいえこれから日本は失われた30年が終わり経済成長が見込めるらしい。
これからの未来は明るいのか、それとも単なるこじらせたファシズムに沈んでいくのかどうなのか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ米国は中国との覇権国争いにおいて、太平洋地域で日本に強力なパートナーとなってもらわないと困る。だからこれから日本にはかつての米ソ冷戦時代前半(朝鮮戦争から1970年代まで)のようなチャンスが訪れる。準備せよ!というのが本書の概略。
斎藤氏によると、覇権国争いの結末は以下の3つのいずれかに帰結する:
①戦争で勝敗を決する(事例:太平洋戦争)
②覇権国に跪く(事例:ポンド覇権をドル覇権に譲った第一次大戦後の英国、1980年代の日米貿易摩擦における日本)
③冷戦(事例:米ソ)
斎藤氏は、今回の米中関係は③を志向しつつ、台湾有事で①に転じて米国が勝つシナリオを想定している。しかし、米国が中国より強い根拠が明確に示されていない(あるいは根拠として弱い。まして米国はいろんな紛争に戦力分散させすぎだし、グローバルサウスだけでなく同盟国からも反感を買いすぎ。自ら脱・米国の機運を撒き散らしている)。
米国が戦略上、「強い日本」を欲していることはよく理解できたが、本書には軍事面とAIの情報が含まれていない。イアン・ブレマー氏の多極化シナリオにも触れていない。あくまで金融セクターから眺めた主張である。
一般的に覇権が移動する際、まず生産拠点が世界No.2の国に移動し、そこからの流通網が広がり、最後に資金が大量にNo.2側に流入する。
中国は途中まではこの道を進んできた。WHO加盟で世界中に流通網を拡充し、「世界の工場」の地位を確立し、「一帯一路」に着手し、「AIIB」や「BRICS新通貨」「ロシアやイランなど資源大国との元での取引量拡大」などでドル覇権を切り崩そうとしてきた。しかし中国は国内経済(特に不動産)で躓き、中国国内の富裕層の資金流出は止まらず、「世界の工場」も東南アジアに分散しつつある。AGI開発競争で米国に先を越されてしまうと、戦争で主導権を取られるどころか、ロボットが生産も担うようになるため株式市場も中長期的にはどうなるかわからない。少なくとも労働市場は崩壊するだろう(実際、若者の失業率は高止まりしている)。生産拠点と金融セクターという覇権国の必須条件が崩壊する可能性すらある。つまりデータセンターと生産ロボットの量産化以降は、おカネの需要すらなくなってくる可能性がある。中国も苦しい状況にある。
米中両陣営が苦しいからこそ、それを逆手に取って日本がキャスティングボードを握るシナリオも読んでみたかった。米ソ冷戦時代の中国がそうであったように。(齋藤さんは米国の金融セクターの方なので無理な話か)。
歴史において日本は、米国より中国に従ってきた期間の方が遥かに長い。「米国が強い」という前提のみで進めるのではなく、多極化や中国覇権、ひいてはその先のインド覇権、あるいはAIが人類を統治するような世界線も想定しながら、今後も国際政治を観ていこうと思う。 -
Posted by ブクログ
齋藤ジンさんの経歴とか、仕事内容とかのこととか、これまでの自慢話とかは全て省略すれば、本書で言いたいことは、以下の点だと思う。
20世紀末から進展した、グローバリゼーションを含む新自由主義の体制は、その転換点を迎えつつある。この間、日本では他の先進諸国と比べれば、相対的に経済成長を犠牲としながら雇用を守り、みんなで貧しさを分け合って「失われた30年」を過ごしてきた。
新自由主義を推しすすめた諸国に比べれば、格差も小さく、移民も少なく、ポピュリズムの問題も少なく安定し、経済成長していない分、伸びしろも大きい。賃金の上昇を伴う物価上昇も再開した。これから世界から日本への投資が集まっていくだろう、と。
基本的には現在の資本主義体制の上での議論ではあるが、短期的には本書の予想のように日本経済が相対的に伸びていくのは間違いないでしょう。その際に、他の先進諸国の諸問題まで再現しないようにすることも大事だと思う。