鈴木俊幸のレビュー一覧

  • 明治の出版革命 書店界の風雲児「兎屋」の興亡

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    新聞にとって「出版広告」とそれ以外の「普通広告」は出稿料金が違うと言われてきました。書籍や雑誌の広告の方が料金が優遇されているのです。今でも第一面の下に掲載される「サンヤツ広告」(3段を8等分した枠)と言われるスペースは出版社専用の広告枠です。それは新聞というメディアにとって「出版広告」が多いことが、その文化的価値を高め紙面のクオリティイメージを上げていくことに繋がったから、と言われています。明治時代に新聞が政治を論ずる「大新聞」と娯楽的な記事で構成される「小新聞」に分かれていたころ「小新聞」を広告媒体として用いるクライアントには、怪しげな薬屋や小さな飲食店などがあり(これは現在のデジタル広告でも状況は同じですね!)、その中でメディアとしての価値を上げ、クオリティペーパーとしての存在感を作るために、取った施策が出版社の広告を優遇することだった、ということです。ところが本書を読んで「怪しげな出版広告」というジャンルがあることを知りました。「兎屋」望月誠、初めて知った名前です。本をコンテンツとして売るのではなく、安さや、店の勢い、他店との争い、あるいは店主のキャラクターで商売していく、現在のバズを意図したクアンペーンを彷彿とさせる大暴れです。歴史から消え去った、この商売人の活躍は、「出版広告」と「普通広告」の汽水域に思えるし、のちにくる「円本ブーム」の下地を作ったようにも思えます。何より感じたのが、この時代から日本人が本を読む、新聞を読む国民になっていく勢いです。誰でも文字を読む、という時代があの戦争への道に繋がったのではないか?という妄想を感じました。8月だからかな…?そして、それは誰も文字を読みたくない国民に向かっているように見える現在の状況と重なるのも不思議な気がします。面白い本でした。

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    2026年08月01日
  • 本の江戸文化講義 蔦屋重三郎と本屋の時代

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    講義を受けているような感覚で楽しめた。かしこまった、いかにもという文章で来られるよりもはるかにいい。

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    2025年03月30日
  • 本の江戸文化講義 蔦屋重三郎と本屋の時代

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    メインの書籍そのものに関する部分よりも、江戸時代の安定治世があったからこそ、(外国人が驚くような)平民女性が娯楽本を読むだなんていう状況になりえた、というような話がそそられた。

    日本は識字率が高いとしばしば言われるが根本的なところでは物語への理解度が高いから個人での作品創造が可能な土台が残っていると思っていて、寿司やら天ぷらやら現代で言われるような日本食はせいぜい江戸時代という話があるが、それ以外も江戸時代の影響なのだろうな、と感じた。

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    2026年02月22日
  • 「蔦重版」の世界 江戸庶民は何に熱狂したか

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    版元・蔦屋重三郎が手掛けた出版物と
    それらに関与した人物たちを紹介し、如何に江戸の風俗や
    文化に影響を与えたかについて、詳細に解説する。
    ・はじめに
    第一部 吉原の本屋として 第二部 日本橋への進出
    第三部 江戸から全国へ
    ・おわりに

    蔦重その人の人物よりも、如何にその分野に彼が関与したか、
    そして出版物と関係した人物たちに、焦点を当てている。
    機を見てせざるは勇なきなりとばかりに、
    吉原の情報発信を手掛け、流行の兆しを察しての富本節の
    正本や稽古本の出版、狂歌や黄表紙の大流行の牽引、
    往来物の工夫。洒落本の出版。寛政の改革での失態以後は、
    地方の需要や和学書の需要を鑑み、書物仲間問屋に加入して
    地方への本の流通に視線を向け、民間の学問志向にも応じた。
    そして浮世絵の出版にも本格的に参入した。
    吉原や俳諧、狂歌での人の縁での、作家たちとの交流と
    作品依頼。自由に、或いは版元主導での作品を出版した。
    蔦重版の作品が多く紹介され、
    解説されているのが良かったです。
    著名な朋誠堂喜三二や恋川春町、山東京伝ばかりではなく、
    市場通笑や志水燕十、唐来三和、芝全交の作品が
    紹介されていたり、四方赤良による戯作と狂歌の入れ込みや
    鶴屋喜右衛門との相版での出版があったこと、
    曲亭馬琴や十返舎一九の黄表紙、曲亭馬琴の代作の話など、
    蔦重版に関する情報が多く掲載されていて愉しめました。

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    2026年01月03日
  • 本の江戸文化講義 蔦屋重三郎と本屋の時代

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    教科書には載らない歴史。面白かった!
    ところどころで、何を言っているんだ…と理解が難しい所もあったけれど、そこは私の学のなさ…
    著者の文調がだんだん砕けた感じになっていくのも面白く、カラー資料にもとても興味をそそられた。
    あとがきもくすっと面白かった。

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    2025年12月07日
  • 本の江戸文化講義 蔦屋重三郎と本屋の時代

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    江戸時代に盛行した出版物による文化を様々な側面から詳述。江戸の出版業の成長と地方への波及、正統的な文学史では見向きもされないような庶民の学問のための文献といったトピックが興味深かった。

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    2025年07月31日
  • 蔦屋重三郎

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    江戸時代の文化を牽引した本屋・蔦屋重三郎の生涯を、
    当時の吉原の様相や文化の流行、幕府の状況を交え、
    豊富な資料の画像と共に解説する。
    ・はじめに
    第一章 吉原と蔦重 第二章 天明狂歌・戯作と蔦重
    第三章 新たな時代の到来
    ・あとがき

    江戸時代中期から後期への歴史の変遷の中で、
    吉原に生まれ育った蔦屋重三郎は貸本屋を商う。
    そこから身を立て、本屋兼出版業・書肆の耕書堂の経営に。
    そして日本橋へ出店し地本問屋に。書物問屋へ加入し、
    地方への流通、牽いては全国展開の道を開拓する。
    「吉原細見」、富本浄瑠璃と正本の専属出版、往来物、
    狂歌、黄表紙、洒落本、錦絵に浮世絵、和学など、
    江戸市中の文化の興隆を見極め、当世本を出版していった。
    田沼意次時代と彼の失脚、松平定信の登場は、
    繁栄の中での江戸文化から、文武重視と風俗引き締めへと
    替わり、蔦重も咎めを受けてしまう。
    そんな彼の生涯を出版界の情勢を踏まえ、
    多くの出版物の資料を添えて語る、人物伝。
    書名が多く登場するので興味深く読めましたが、
    できれば巻末に主な出版リストと略歴が欲しかったです。
    人を見い出し、人脈を築き上げる、まさに人たらし。
    その繋がりで文化の牽引を担った蔦屋重三郎を生んだ、
    江戸の文化は実に面白い。

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    2025年04月29日
  • 蔦屋重三郎

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    入門書というには、ハードルは高い。江戸時代の出版物にかなりの知識がないと歯が立たない。また、蔦屋重三郎の人となりを知ろうと思って読むと肩透かしを食う。しかし、江戸時代、18世紀後半の出版物や情報と人々の関係についての指摘は大いに参考になった。

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    2025年02月27日
  • 蔦屋重三郎

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    蔦屋重三郎(蔦重)とその当時の出版文化について、2025年大河ドラマの時代考証者が概説したもの。蔦重に関する資料が少ないせいなのか、あっさりとした筆致で淡々と出版物についての説明が続くため、基礎知識のない私の頭にはなかなか入ってこない。あとがきで著者が述べるように、もっと知りたければ著者の前著にあたると良いのだろう。

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    2025年01月03日