近藤絢子のレビュー一覧
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1993年から2004年に卒業した世代を就職氷河期世代と定義して、その前のバブル世代、その後のリーマン・震災世代と就職時のはじめの職業、所得、婚姻、就業形態などを大規模な統計データから分析している本です。
私が一番心に残ったのは、世代が新しくなるにつれて、所得が一番低い層の割合が拡大していて、これは氷河期世代以降のリーマン・震災世代でも継続している、ということです。
これらの世代の人たちが老年期になった時、日本はどんな国になっているのかを考えると、明るい気持ちにはならないです。
明るい国にするために、まずは現実を直視することが大切だと思いました。 -
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客観的にみれば、氷河期世代でことが始まったわけではないこと、そして、景気回復期の今の若者で実は雇用、収入の不安定が続いているといっている。
自分は一浪、工学修士で2000年卒の男だ。学卒前の97年、院卒前の99年で就活した時の、今で言う学歴フィルターの威力に打ちひしがれたものだ。運良く外資系ITで職を得て今に至るが、リストラ、パワハラ、競争がひどく、生き残るために必死だった。大学卒でも企業がだいぶ絞ったので正社員になれないやつもたくさんいた。一流大卒者は豊かだったろう。氷河期の頃は、職場のモラルやハラスメント意識も低く、職場環境や支援は今とは比べ物にならない位悪い、感覚だ。
一側面の客観事実と -
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失われた30年の損失の大きさよ。バブル崩壊や産業構造の変化、震災、リーマンショックなど様々な要因があったのだろうが、問題を先送りにしたツケは甚大でこれから福祉や介護の問題が社会に重くのしかかってきそうだ。
私自身が就職氷河期後期世代で、個人的に社会の先行きが明るかった試しがない。ポスト氷河期世代も年収や就職に苦戦していることや世代間で収入格差が拡がっていることなどを考えると負のスパイラルを断ち切るのは容易ではなさそうだ。
女性の社会進出で制度が整い、実は氷河期世代が子どもを前の世代より産んでいることなど社会がすべて劣化したわけではない。
小泉政権が痛みに耐えろと改革を進め、自己責任論が跋 -
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ネタバレ第1章まとめ
就職氷河期世代、特に後期世代は、上の世代に比べて、卒業後、長期にわたって雇用が不安定で、年収が低く、年収の格差は卒業後15年たっても解消しない。
氷河期世代よりも下の世代は、景気回復期の卒業した世代も含めて、雇用が不安定で、年収が低いままである。
氷河期世代を境に、就職した年の景気の長期的な影響が弱まった。
第2章まとめ
氷河期後期世代にあたる1970年代後半から80年代前半生まれは、そのすぐ上の段階ジュニア世代よりも、40歳までに産む子供の数は実は多かった。
個人レベルで見ると、若年期の雇用が不安定だと、男性だけでなく、女性でも、結婚確率や子供の数は減る。
しかし世代全体で見 -
購入済み
統計の向こうに見えるのものは?
本書の各種統計から見ると、平成の長い年月(終わる間際を除くほとんどすべて)に渡って、社会は若い新規就職者にとって不安定・峻厳なものだったことがわかる。これはまさに日本の失われた30年そのものの表出のようの思われる。社会に第一歩を踏み出す、希望に燃えて当然の世代がこんな困難に直面すれば、結婚して子供をつくる、友人たちと余暇を楽しむ、海外旅行に出かける、などの行為が出来にくくなるのが当然だと思えてくる。それが一語一句文字通りに令和の今の社会状況を形成しているのではないか。
だとしたら苦難含みのこの時代を乗り越えるためには、仕事とは職業とは人生とはをもう一度子どもたちに教え直し、そして彼らを支え -
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自分も後期氷河期世代の一人として我が身を投影して読んだ。
我々の世代の真価が問われるのは思う様に働けなくなる30年後だ。年金制度は破綻はしないだろうが(支給額を減らせば破綻はしないし、そもそも年金だけで暮らそうと思っている考えの方が破綻している)行政や企業の支援は当てにしない方がいい。頼りになるのは辛酸を嘗めた同世代同士の繋がり、横の連帯だ。あらゆるケースに対応した紐帯を築く準備期間がまだ30年残されている。
後世、あの世代は貧乏くじを引いて可哀想だった、と同情されるのではなく、逆境なりに頑張ったじゃないか、と評価される一員になっていたい。
ジュンク堂書店天満橋店にて購入。 -
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1990年代半ばから2000年代前半の、バブル景気崩壊後の経済低迷期に就職した「就職氷河期世代」(本書では、1993~2004年に高校、大学等を卒業した世代と定義)に関し、その前後の世代と比較しつつ、世代別の雇用や経済状況、家族形成への影響、女性の働き方の変化、世代内の格差、地域間の移動などについて、政府統計をはじめとするデータを用いてその実像を検討し、セーフティネット拡充等について提言。
個別の事例を基に印象論で語られがちであった就職氷河期世代について、就職氷河期の若年雇用の悪化が未婚化・少子化の主因だといった通説の再検証も含め、データに基づく客観的な全体像が提示されており、個人的にも勉強に -
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バブル期から就職氷河期とその後のポスト氷河期世代の状況を様々なデータを元に勉強できました。
数字で見てもバブル崩壊と言うのはそれだけ社会に与えた影響が大きかったんだなと言う感想です。
実は就職氷河期以降は失業率などは低いままと言う事実と、実際に就職氷河期世代に困っている人が多い事を考えると、就職氷河期とはバブル崩壊で大きく変わった社会に人も会社もうまく馴染ませるための10年間だった気がします。
私が若い頃はまだ当たり前のように言われた『お前の代わりなんていくらでもいるんだ!』と言うセリフなどは、昭和の価値観の悪い部分の最たるものだと思います。
就職氷河期世代がバブル期以前の悪い部分だけ -
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就職氷河期世代の就業・収入・生活実態を、統計データから明らかにしようとする本。なのだが、俗説で言われるロストジェネレーション的な傾向は証明するのは簡単ではない、というのが本書の結論。
個人的には、氷河期世代当事者として欲しかった結論ではないので、消化不良なのは間違いない。でも、主観や感情論ではなく、データ/エビデンスに基づいて議論をすべき派でもあるので、複雑な心境。
前向きに考えるなら、経年変化をデータで追おうとすると、社会が想像以上に複雑な(データの解釈が難しい)ことに気づけたのは良かった。
例えば、「大学進学率」「女性の働き方に関する考え方」「雇用慣行(雇用の流動化)」などの社会的な変 -
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統計に基づいた就職氷河期世代のマクロ的な分析。当事者として興味深く読んだ。が、参照されるデータの多さ、論文調の文章が当方にはなかなか難しく。
女性のケースと地域についての章は流し読み。
最初の就職で躓いてしまい、以降低賃金の非正規雇用から抜け出せずキャリアやスキルを身につけないまま中年になってしまった。年収が低いので結婚できず、老後の年金支給額も少ない。…というのが氷河期世代のイメージか。大方、データもそれらを裏付けている。
意外だったのは氷河期世代は団塊ジュニア世代より子供を産んでいた、氷河期世代の影に隠れがちだがリーマンショックと震災のあった世代の就職状況も劣らず悲惨だった、という2点 -
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本書の分類では自分はポスト氷河期世代(05年〜09年卒)になる。この世代というのは、前世代よりかは就職内定率は回復しており、自分の実感としてもそのような記憶になっている。世間の記憶もそうかもしれない。
しかし本書のデータで見ると、バブル崩壊直後の氷河期前期世代(93年〜98年卒)と内定率は変わらない。そして、そのあいだに挟まれた氷河期後期世代(99年〜04年卒)はどん底であり、リーマン震災世代(10年〜13年卒)も惨憺たるデータが並ぶ。
本書を読んでいると、このようにデータを駆使して世間のなんとなくのイメージを覆す効果はある。たとえば、氷河期前期世代はイメージより苦しい状況ではないとか、氷河 -
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◆ 所得・雇用における格差
正規と非正規で40代の平均所得に2倍以上の差
正規雇用者の年収が約500万円に対し、非正規雇用者は約200万円台に留まる。
→ 雇用形態による格差がそのまま資産形成や生活の安定に直結。
同世代内の「初任給格差」が生涯格差に直結
バブル期卒業者と氷河期初期卒業者では、初任給に1万〜2万円の差があり、昇給や転職市場でも埋まらない。
→ 若年期のスタートラインの差が累積的に格差を拡大。
生涯所得格差は最大1億円以上に及ぶ
正規×既婚世帯と、非正規×単身世帯の間で、家計金融資産や年金支給額にも大きな開き。
◆ 家族形成・住宅取得の格差
40代時点での未婚率が異常に -
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自身が本書でいう「氷河期後期世代」にあたることから、一般的に言われている通り、「氷河期世代」は色んな意味で他の世代より損をしているのか、さまざまなデータの裏付けを元に考察している、ということで、興味が湧き購入しました
単に収入や就職率に限らず、少子化や地域間格差、男女による違い、ニートや介護による無業者問題などの観点でも考察されていてとても興味深い内容でした
データ(エビデンス)を用いて、論理立てて考察されていてとても腑に落ちる内容だったと感じます
驚いたのは、必ずしも「氷河期世代」だけが損をしているわけではなく、「氷河期」以降は基本的に特に低所得の領域において下げが止まっておらず、格差 -
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就職氷河期世代の一人として、巷で言われるような因果関係が果たしてデータ的に裏付けられるのか、関心がある。たとえば氷河期世代は雇用が不安定なので未婚率が高く少子化が進んでいる、と良く言われるが果たして本当だろうか?
実は未婚化の流れは氷河期世代以前から進んでおり、雇用の安定性とは相関がない。この場合、雇用状況が改善されたポスト氷河期世代では出生率が向上するはずだが、そのようなデータは見られない。同様に地方創生政策における各地方の人口移動についても、進学時点でのインパクトが大きい。
つまり就職氷河期とは、バブル崩壊後の前期後期及び、リーマン震災の二段階15年にわたる長期の現象であり、その間に男