愛野史香のレビュー一覧
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復元模写という仕事について、私は大きな勘違いをしていたのかもしれない。
本物をコピーしたかのように、どれだけ似せていくかということだけを考えるのかと思っていたけど、そんな表面的なことではなかった。
傷んで失われた部分に、作者がどんな意図を持って何を描いたのか想像する。筆使いにその時の心情、疲労をも反映させる。技術はもちろん、自分の作風や思い込みを捨てて作業に取り組む姿勢がストイックで感心してしまった。
復元士と作者が一体となった時の喜びは、素人ながらわかるような気がする。
これは、決して芸術家のなり損ねではないなと。
これから復元された作品を観るときの目が変わりそう。 -
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古典絵画の模写や修復、自然科学調査等の日本画研究にのめり込んでいた父は、異国の地で亡くなったが、真は美大の油画科を休学して引きこもっていた。
そんな真を修復を仕事にしている従兄の凛太郎が、襖絵の復元模写制作のメンバーとして参加させる。
大学の修士二年の土師と一年の蔡と一緒に十二面の花鳥図を完成させなければならないが、現存するのは九面と切り貼りされた一部のみ。
狩野探幽の血縁であり、父が狩野派を破門された雪信の娘・平野雪香が描いた襖絵を復元できるのか…
真が引きこもっていた心情…価値がないと烙印をおされて何者にもなれない辛さに苦しんでいたことなどを乗り越えたのは、いっしょに頑張った二人がいたからだろう。
日本画に触れて感じたことで父のことを理解できたのだろうとも思う。
ものづくりの苦労がひしひしと伝わってきた。
人の想いまで復元したいという気持ちに感動した。
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人生に行き詰まりを感じる美大生が、襖絵の復元模写に取り組む物語でした。
日本画についてほとんど知らなかった私にとって、描かれ方や歴史を知れる点も新鮮でした。
主人公は「何者にもなれない自分」に囚われていましたが、復元模写を通じて自分や人、そして過去の絵師と向き合っていきます。
特に、ひとつのことに没頭する感覚を「命の輪郭が輝く瞬間」と表現していたのが印象的で、最後にその感覚を得た主人公に共感し、思わず胸が熱くなりました。
模写の技法的な説明はやや難しかったですが、その分、最後に清々しく終わる展開が心地よく、美しい読後感を残してくれる一冊でした。 -
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ネタバレ音楽って本当に深くて面白いなと改めて感じた。
大夢が演奏するときのどんどんと膨らんでいく曲のイメージが目の前に広がっていき、読んでいるだけでも胸が高鳴る。その人にしか生み出せない音楽がある。答えがないからこそ、音楽は難しくて面白い。今まで音楽が作られた時代背景や作曲家の心情などについてあまり学んだことがなかったけれど、この本を読んでとても興味を持った。背景を思い描きながら聴くと、同じ音楽も全然違うように聴くことができる。
ふとした出会いが人生を変える。音楽を通して、色々な出会いが重なって、大夢の世界が広がっていく。幸せも苦しさも味わいながら、必死に努力して、時にもがきながらも、前を向いて生きていく尊さを感じられる素敵な本だった。 -
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面白かったけど、人には勧めないかな…
どなたかも感想に書かれていたが、日本画の難しさをそのまま伝えるからこ難しくて読みたくなくなる。
きっと最後は感動だろうな、と思い読み進むが全体的な硬さが涙を生まない。
話はとても面白く、日本画の修復作業の大変さ、模型を作ったり、その時代背景はもちろん、作者の環境や心持ちまでも考えての復元、奥が深く興味深い!
表紙は今風にてらって、タイトルも賞の時とは変えて現代風なのに文体が硬いからギャップが生じているように感じた。それが星一つ削る理由
こちらも映画化して、こ難しさを取り除いたら万人受けするかも笑
従弟の凛太郎に連れ出され、美大休学中に日本画の修復作業に参加する稲葉真。バンドメンバーがプロ化する時唯一デビューできなかったことが尾を引いて引きこもりに。
保存修復研究陵域、修士、土師俊介はじしゅんすけ、蔡麗華さいれいか香港からの特待留学生と三人で協力するうちに自身を振り返り自信を取り戻して行く。
日下部悟氏が、人見先生を頼って、家宝の襖絵の修復を依頼する。日本画の巨匠の家系や修復については詳細に書かれ、岩石から色味、絵の書き方など細かい描写も多い。
日本絵画、江戸時代が終わるまでの絵画
日本画、日本の伝統的な画材と擬方を用いて描かれた明治時代以降の近代絵画
日本絵画史上最大の絵師集団は、狩野派
狩野正信、永徳、山楽さんらく、探幽、芳崖ほうがいは日本画家
フレスコ、壁に直接の描く技法、ルネサンス期のラファエロ「アテナイの学堂」ミケランジェロ「最後の審判」
モザイク、絵の具を使用せず、大理石や陶磁器、貝殻などの小さな破片を組み合わせて絵を表現する
守景の女、清原雪信、花鳥図屏風など
清原春信は遺作が3点、
もう一人の娘は、平野雪香せっか この人の襖絵設定
「鎌倉時代の「北野天神縁起絵巻』の雷神を引用して屋宗達が描いた二曲一双を、百年後に尾形光琳が模写し、さらに百年後に、その尾形光琳の模写を酒井抱一ほういつが模写しました」 琳派
卓越した腕を持つ画家の行いをなぞることで、冷静になり、自分を客観的に捉えることができます。未熟さや傲慢さ、どこに神経を研ぎ澄まさねばならないのか。色々と気付かされて、視界が晴れます。これは、生きている限り必要になる、画家のメンテナンスです
『真』とは、中国五代後梁の山水画家・荊浩けいこうが記した『筆法記』にて論じられた言葉だ。
画家は物の形を観察してその真を取るべきだ、と荊浩は記している。華やかな物はその華やかさを、質素な物はその質素さを描く。華やかな物を質素に描いてはその真をとれているとは言えない。すなわち、物の正確な形を通して、その精神性までも表現すべきなのである。どうやら「筆法記」は、絵画の専門的理で書のようだ。画家が写実の精度のみならず、真を求めて制作する重要性を説いている。
将来息子は芸術と無縁の人生を歩むかもしれない。それでも良い。どんな人生であれ、物事の表面だけを見て判断するせず、その本質を見抜いて判断できる人間になってほしい。この字をかりて『真』と命名する。
一路連科- 科挙の試験に次々合格する『蓮池水禽図』の花鳥は蓮と白鷺。
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この作者さんの作品、読むのは2作目。
前回読んだのはチェロの世界を描いたもので とても親しみを持てた。
今作は復元模写の世界。しかも日本画で襖絵で。主人公は油絵学科の美大生(休学中)
もう主人公以上に馴染み無さすぎる世界で日本画の流派や画材の話でついて行けず止めようかと思った。
が、土師先輩の言葉が格好よく響き主人公が すごく成長していく様子が とても清々しくラストは感動しました!これは日下部さん目線になってみたい。そして復元模写の奥深さを知りました。
ところで この作品、発表当時から改題してるのだけれど(改題して大正解だと思う)どうもあの水墨画の世界を描いた作品を思い出させる。カバーイラストも似てる気がするんだけど、調べたら別の方でした。