愛野史香のレビュー一覧

  • あの日の風を描く

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    復元模写という仕事について、私は大きな勘違いをしていたのかもしれない。
    本物をコピーしたかのように、どれだけ似せていくかということだけを考えるのかと思っていたけど、そんな表面的なことではなかった。
    傷んで失われた部分に、作者がどんな意図を持って何を描いたのか想像する。筆使いにその時の心情、疲労をも反映させる。技術はもちろん、自分の作風や思い込みを捨てて作業に取り組む姿勢がストイックで感心してしまった。
    復元士と作者が一体となった時の喜びは、素人ながらわかるような気がする。
    これは、決して芸術家のなり損ねではないなと。
    これから復元された作品を観るときの目が変わりそう。

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    2026年01月23日
  • 天使と歌う

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    大夢は隣の芝生が生い茂る平家に越してきた、チェロを引退したおじいさん、ルカと出会う。ルカとチェロだけの世界にのめり込んだ大夢だが、国宝級のルカが祖国クロアチアに帰還ことになり、更に2年後のルカ主催チェロコンクールで入賞しなければ、ルカのチェロを、国に返さなければならない。チェロから視野を広げていく大夢の、成長ストーリー。

    「私以外の世界を知りなさい」ルカの教えを忠実に取り入れようとする大夢の真っ直ぐさ。こういうのをひたむきって言うのだろうと、大夢を支える人の気持ちになれた。真剣に取り組むって素敵なことだ。

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    2026年01月07日
  • あの日の風を描く

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    復元模写、という世界に触れてみたくてこの本を手に取りました

    日本画に詳しくないので人物や絵図がわからなく、何度もどんな人か、どんな絵なのかを調べていたのでなかなか読むのに時間がかかりましたがとても良かったです

    完成したこの襖絵を、想像でしか描けないのがこんなにも悔しい
    世界各国で復元というものは行われているけれど、改めて、なくてはならない技術だと思えました

    主人公が過去に傷つきながらも、どんどん前を向いていく姿も良かったです

    この作者さん、次作も出版されていますがそちらも気になるほどの作品でした

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    2025年12月06日
  • 天使と歌う

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    音楽が聴こえてくる小説が大好きです。初読みの作家さんですが、大当たりでした!始めはスポ根ものか?と、ちょっと間違ったかななんて思いながら読んでいたのに、どんどん夢中になっていました。いつもは二三冊を並行して読むのですが、これは一冊集中して読みました。ちょっとラッキーすぎる流れも、主人公の音楽に対する真摯さへのご褒美だと思えるいい話でした。曲の背景や解釈など、お勉強させられている感なく頭に入ってきましたし、演奏曲を聴きながら読むと格別でした。次の作品が今から楽しみです。


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    2025年10月31日
  • 天使と歌う

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     「データ化された私の音だけでなく、その瞬間しか聴けない生演奏の面白さを知ったはずだ。
     大夢も、彼女たちも、もどってきた弦も、みんな世界に息づく音楽のひとつだ。
     すべてに物語がある」

              (本文より)

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    2025年10月18日
  • 天使と歌う

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    いつのまにか読み終わった。この物語を読んだ後、心が透き通って、心が軽くなった気がした。読めてよかったなと
    音楽が好きになる本だな

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    2025年10月17日
  • あの日の風を描く

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    古い襖絵の修復再現に参加することになった主人公の再生の物語。日本画の世界にどっぷり浸れて楽しかった。

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    2025年10月14日
  • あの日の風を描く

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    古典絵画の模写や修復、自然科学調査等の日本画研究にのめり込んでいた父は、異国の地で亡くなったが、真は美大の油画科を休学して引きこもっていた。
    そんな真を修復を仕事にしている従兄の凛太郎が、襖絵の復元模写制作のメンバーとして参加させる。

    大学の修士二年の土師と一年の蔡と一緒に十二面の花鳥図を完成させなければならないが、現存するのは九面と切り貼りされた一部のみ。

    狩野探幽の血縁であり、父が狩野派を破門された雪信の娘・平野雪香が描いた襖絵を復元できるのか…


    真が引きこもっていた心情…価値がないと烙印をおされて何者にもなれない辛さに苦しんでいたことなどを乗り越えたのは、いっしょに頑張った二人がいたからだろう。
    日本画に触れて感じたことで父のことを理解できたのだろうとも思う。
    ものづくりの苦労がひしひしと伝わってきた。
    人の想いまで復元したいという気持ちに感動した。



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    2025年10月13日
  • あの日の風を描く

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    人生に行き詰まりを感じる美大生が、襖絵の復元模写に取り組む物語でした。
    日本画についてほとんど知らなかった私にとって、描かれ方や歴史を知れる点も新鮮でした。

    主人公は「何者にもなれない自分」に囚われていましたが、復元模写を通じて自分や人、そして過去の絵師と向き合っていきます。
    特に、ひとつのことに没頭する感覚を「命の輪郭が輝く瞬間」と表現していたのが印象的で、最後にその感覚を得た主人公に共感し、思わず胸が熱くなりました。

    模写の技法的な説明はやや難しかったですが、その分、最後に清々しく終わる展開が心地よく、美しい読後感を残してくれる一冊でした。

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    2025年09月21日
  • 天使と歌う

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    とても素敵な作品。完全にタイトルだけに惹かれて読み始めたらバレーボールからチェロという大好きな題材。そして親しみやすい文章と真っ直ぐな主人公。優しい人々。優しい音楽。泣ける。。愛野史香さん、今作が2作目なのかな?次作も楽しみです!

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    2025年09月18日
  • あの日の風を描く

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    これって白川通りの芸大がモデルだよね
    自分が知っている風景と合わせながら読んでいく
    基礎知識を物語に入れ込むのはちょっと嫌だなーと思ったが
    復元に関してのミステリーにつながっていくところから面白くなってくる
    フィクションと思えど実際にありそうな設定だもんね

    襖絵の復元模写制作の哲学がリアル感を持って表現されていた
    以前に見た名古屋城の襖絵ドキュメンタリーを思い出して納得する事もあった
    著者は現場と関係無さそうなのに(薬剤師らしい!)
    何だかこれもミステリーだなぁ笑

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    2025年09月16日
  • 天使と歌う

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    天使とは誰のことかなって思いながら読む。
    作品の中に答えはあるけど、
    あの人もあの人も天使だなと思いながら読む。

    世の中とつながるとは、
    人とのつながりだけではない。
    あらゆるものとのつながること。

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    2025年08月12日
  • 天使と歌う

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    ネタバレ

    音楽って本当に深くて面白いなと改めて感じた。
    大夢が演奏するときのどんどんと膨らんでいく曲のイメージが目の前に広がっていき、読んでいるだけでも胸が高鳴る。その人にしか生み出せない音楽がある。答えがないからこそ、音楽は難しくて面白い。今まで音楽が作られた時代背景や作曲家の心情などについてあまり学んだことがなかったけれど、この本を読んでとても興味を持った。背景を思い描きながら聴くと、同じ音楽も全然違うように聴くことができる。

    ふとした出会いが人生を変える。音楽を通して、色々な出会いが重なって、大夢の世界が広がっていく。幸せも苦しさも味わいながら、必死に努力して、時にもがきながらも、前を向いて生きていく尊さを感じられる素敵な本だった。

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    2025年07月29日
  • あの日の風を描く

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    面白かったけど、人には勧めないかな…
    どなたかも感想に書かれていたが、日本画の難しさをそのまま伝えるからこ難しくて読みたくなくなる。
    きっと最後は感動だろうな、と思い読み進むが全体的な硬さが涙を生まない。

    話はとても面白く、日本画の修復作業の大変さ、模型を作ったり、その時代背景はもちろん、作者の環境や心持ちまでも考えての復元、奥が深く興味深い!
    表紙は今風にてらって、タイトルも賞の時とは変えて現代風なのに文体が硬いからギャップが生じているように感じた。それが星一つ削る理由
    こちらも映画化して、こ難しさを取り除いたら万人受けするかも笑

    従弟の凛太郎に連れ出され、美大休学中に日本画の修復作業に参加する稲葉真。バンドメンバーがプロ化する時唯一デビューできなかったことが尾を引いて引きこもりに。
    保存修復研究陵域、修士、土師俊介はじしゅんすけ、蔡麗華さいれいか香港からの特待留学生と三人で協力するうちに自身を振り返り自信を取り戻して行く。
    日下部悟氏が、人見先生を頼って、家宝の襖絵の修復を依頼する。日本画の巨匠の家系や修復については詳細に書かれ、岩石から色味、絵の書き方など細かい描写も多い。


    日本絵画、江戸時代が終わるまでの絵画
    日本画、日本の伝統的な画材と擬方を用いて描かれた明治時代以降の近代絵画

    日本絵画史上最大の絵師集団は、狩野派
    狩野正信、永徳、山楽さんらく、探幽、芳崖ほうがいは日本画家

    フレスコ、壁に直接の描く技法、ルネサンス期のラファエロ「アテナイの学堂」ミケランジェロ「最後の審判」

    モザイク、絵の具を使用せず、大理石や陶磁器、貝殻などの小さな破片を組み合わせて絵を表現する

    守景の女、清原雪信、花鳥図屏風など
    清原春信は遺作が3点、
    もう一人の娘は、平野雪香せっか この人の襖絵設定

    「鎌倉時代の「北野天神縁起絵巻』の雷神を引用して屋宗達が描いた二曲一双を、百年後に尾形光琳が模写し、さらに百年後に、その尾形光琳の模写を酒井抱一ほういつが模写しました」 琳派


    卓越した腕を持つ画家の行いをなぞることで、冷静になり、自分を客観的に捉えることができます。未熟さや傲慢さ、どこに神経を研ぎ澄まさねばならないのか。色々と気付かされて、視界が晴れます。これは、生きている限り必要になる、画家のメンテナンスです


    『真』とは、中国五代後梁の山水画家・荊浩けいこうが記した『筆法記』にて論じられた言葉だ。
    画家は物の形を観察してその真を取るべきだ、と荊浩は記している。華やかな物はその華やかさを、質素な物はその質素さを描く。華やかな物を質素に描いてはその真をとれているとは言えない。すなわち、物の正確な形を通して、その精神性までも表現すべきなのである。どうやら「筆法記」は、絵画の専門的理で書のようだ。画家が写実の精度のみならず、真を求めて制作する重要性を説いている。
    将来息子は芸術と無縁の人生を歩むかもしれない。それでも良い。どんな人生であれ、物事の表面だけを見て判断するせず、その本質を見抜いて判断できる人間になってほしい。この字をかりて『真』と命名する。


    一路連科- 科挙の試験に次々合格する『蓮池水禽図』の花鳥は蓮と白鷺。

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    2025年02月13日
  • あの日の風を描く

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    絵画の復元模写を通じて、
    主人公が亡くなった父親の仕事に対する思い、
    自分自身の進むべき道を見つける。

    あの日の風を描く素敵なお話でした。

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    2025年02月08日
  • あの日の風を描く

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    主人公が、挫折から立ち直る所から始まるのが小気味良い。周囲の人物は、異なるキャラ。共通するのは、目的が同じ事。接していくうちに溝が埋まっていく。出会いを恐れない事が大事か。

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    2025年01月06日
  • あの日の風を描く

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    美大を休学している真に舞い込んできた襖絵の修復の手伝いを通して、人生の再構築をしていく。
    二条城、いきたいなぁー。復元模写も原本も見てみたいなぁ。
    京都行きたいなぁ。

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    2024年12月14日
  • あの日の風を描く

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    美術品の修復に関わる人の精神って
    こんな感じなのかあと新鮮。
    画家と大事にすることが違うんだな。
    新鮮で面白かった。

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    2024年11月23日
  • あの日の風を描く

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    この作者さんの作品、読むのは2作目。
    前回読んだのはチェロの世界を描いたもので とても親しみを持てた。
    今作は復元模写の世界。しかも日本画で襖絵で。主人公は油絵学科の美大生(休学中)
    もう主人公以上に馴染み無さすぎる世界で日本画の流派や画材の話でついて行けず止めようかと思った。

    が、土師先輩の言葉が格好よく響き主人公が すごく成長していく様子が とても清々しくラストは感動しました!これは日下部さん目線になってみたい。そして復元模写の奥深さを知りました。

    ところで この作品、発表当時から改題してるのだけれど(改題して大正解だと思う)どうもあの水墨画の世界を描いた作品を思い出させる。カバーイラストも似てる気がするんだけど、調べたら別の方でした。

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    2026年09月24日
  • 海が天に届くとき

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    遺骨から個人を特定するための復顔。小さな骨格から読み取って復顔していくこと、生活婚を読み取っていくこと、 そして顔を生み出していくことが繊細でていねいな仕事なんですね。ちょっと納棺師に似ているなと感じた。

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    2026年09月04日