愛野史香のレビュー一覧

  • あの日の風を描く

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    とても良かった……。
    アート小説であり、お仕事小説でもある。
    苦悩の先にたどり着いたラストは清々しく、温かな充足感に満たされました。今、心地よい疲労感に包まれています。

    「古典模写」「古典修復」の世界を描いた作品。
    読みはじめてすぐ、新たな「知」の扉を開いた感覚。良作に出会えたときの確信にも似た予感を早くもひしひしと感じていました。

    休学して引きこもっていた主人公の生活は、従兄に頼み事をされた日を境に一変!
    大学の保存修復日本画研究室に通い、模写制作メンバー二人と一緒に模写に取り組むことになります。

    その過程は想像以上に大変で、描き始めるまでも描き始めてからも、彼らのひたむきで真摯な姿勢

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    2025年11月09日
  • 天使と歌う

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    高校生の私が、自分の将来の夢を考える上で参考になればいいなと思い、読んでみました。
    自分らしさは出そうと思って出すのではなく、滲み出てくるものだから、感じたままに表現し続けることで自分の個性に繋がるのかなと思いました。

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    2025年10月14日
  • 天使と歌う

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    描写や表現の熱量がちょうどよく、とても読みやすかったです。
    先生の病やかつての生徒との確執等、
    読んでいて苦しくなる部分が絶妙に抑えられていて、全般に清々しい愛と成長の物語です。
    チェロを弾けない私にとって、演奏部分の描写は本当に適量でした。

    この方の描かれる物語をもっと読んでみたいと思いました。

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    2025年09月12日
  • 天使と歌う

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    愛野史香さん2作目です。
    音楽と情景が見えてくるようだった。
    大夢の成長する様子が良かった。
    大夢と師匠ルカとの関係
    周りの登場人物・・・。

    チェロに注目して、観てみよう。

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    2025年09月07日
  • 天使と歌う

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    ネタバレ

     自分は青春小説はこれまであまり読んできてなくて、今回この本を読んで、「音楽は自分一人で全てできるものじゃなく、周りの人たちの協力によって初めてできる」ということを改めて思い知らされました。
     主人公の雨宮大夢は苦しい家庭環境の中でチェロと元世界的に有名だったチェリストと出会い、それからその人のことを先生と呼び、先生の助言でバレーボール部に入って仲間ができ、高校生活を楽しく謳歌できたと思います。高校卒業してからも周りとの縁が切れることはなく、先生はクロアチアに帰って自分の名がついた国際コンクールを主催してくれてそれに雨宮大夢を遠回しに読んだって自分で勝手に思ってます。コンクールだから当然ライバ

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    2025年09月01日
  • 天使と歌う

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    「なんていい本を読んだんだろう」という気持ちが心に広がります。音楽やチェロにまつわる物語、師弟関係やチェロを弾く上で関わってくる人達との繋がりが進むにつれ見えてきて、終わるのが勿体なくて、この本を読み終えたくなくなりました。
    次は紹介されている曲と一緒に読みたくなりました。

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    2025年08月30日
  • 天使と歌う

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    ネタバレ

    個人的にとても好きなお話でした。
    パッと出てきたのがコミックにはなってしまいますが、「この音とまれ!」や「4月は君の嘘」などが好きな人は、本作も好きなのではないかなと思いました。
    先生と繋がっているため、だったチェロは
    いつの間にか大夢自身の夢へと変わっていく。
    介護士になると決めていた大夢が、
    自らの選び掴み取っていく様は胸にグッときました。
    先生だけではなく、父親との関係性や兄弟子との出会いにより、大夢の視野がパァーーーっと広がっていくのを目の当たりにした気分。
    読んでる自分も前向きに明るくなっていく作品で、本当に素敵でした。

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    2025年07月22日
  • あの日の風を描く

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    角川春樹小説賞受賞作品だそうです。
    この前情報を受け取ってしまっていたのでバイアスがかかっているのですが…

    とても良かったです。美大生の主人公のウジウジした心に模写を通して風が吹いて、共に模写をする仲間と成長していく様がとても爽やかでした。
    第三章、襖絵の謎に迫る場面がこの作品の中でも1番印象的でした。著者は薬学部卒とのことでしたが、この場面の土師の言葉には実は美大生だったのでは?というくらいの実感があります。

    「真君みたいに『何者にもなれないノイローゼ』になってる人を、何人も見たよ。そういう未練や執着は、熱に変換できなければ、何の役にも立たない。それどころか、重たくなって筆を折らせる。だ

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    2025年06月06日
  • あの日の風を描く

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    挫折を味わい大学を休学中の主人公が、あるプロジェクトに参加して、再起する物語でした。一緒に作業をする仲間や見守ってくれる人たちとの間で、徐々に強くなる姿が印象的でした。

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    2024年11月09日
  • あの日の風を描く

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    日本画の奥深さと
    若者の成長や見守る大人たちの
    ドラマが相まって、とても魅力的な小説。

    クリエイティブとは?を考えさせられた。

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    2024年11月04日
  • 天使と歌う

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    音楽が聴こえてくる小説が大好きです。初読みの作家さんですが、大当たりでした!始めはスポ根ものか?と、ちょっと間違ったかななんて思いながら読んでいたのに、どんどん夢中になっていました。いつもは二三冊を並行して読むのですが、これは一冊集中して読みました。ちょっとラッキーすぎる流れも、主人公の音楽に対する真摯さへのご褒美だと思えるいい話でした。曲の背景や解釈など、お勉強させられている感なく頭に入ってきましたし、演奏曲を聴きながら読むと格別でした。次の作品が今から楽しみです。


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    2025年10月31日
  • 天使と歌う

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     「データ化された私の音だけでなく、その瞬間しか聴けない生演奏の面白さを知ったはずだ。
     大夢も、彼女たちも、もどってきた弦も、みんな世界に息づく音楽のひとつだ。
     すべてに物語がある」

              (本文より)

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    2025年10月18日
  • 天使と歌う

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    いつのまにか読み終わった。この物語を読んだ後、心が透き通って、心が軽くなった気がした。読めてよかったなと
    音楽が好きになる本だな

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    2025年10月17日
  • あの日の風を描く

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    古い襖絵の修復再現に参加することになった主人公の再生の物語。日本画の世界にどっぷり浸れて楽しかった。

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    2025年10月14日
  • あの日の風を描く

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    古典絵画の模写や修復、自然科学調査等の日本画研究にのめり込んでいた父は、異国の地で亡くなったが、真は美大の油画科を休学して引きこもっていた。
    そんな真を修復を仕事にしている従兄の凛太郎が、襖絵の復元模写制作のメンバーとして参加させる。

    大学の修士二年の土師と一年の蔡と一緒に十二面の花鳥図を完成させなければならないが、現存するのは九面と切り貼りされた一部のみ。

    狩野探幽の血縁であり、父が狩野派を破門された雪信の娘・平野雪香が描いた襖絵を復元できるのか…


    真が引きこもっていた心情…価値がないと烙印をおされて何者にもなれない辛さに苦しんでいたことなどを乗り越えたのは、いっしょに頑張った二人が

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    2025年10月13日
  • あの日の風を描く

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    人生に行き詰まりを感じる美大生が、襖絵の復元模写に取り組む物語でした。
    日本画についてほとんど知らなかった私にとって、描かれ方や歴史を知れる点も新鮮でした。

    主人公は「何者にもなれない自分」に囚われていましたが、復元模写を通じて自分や人、そして過去の絵師と向き合っていきます。
    特に、ひとつのことに没頭する感覚を「命の輪郭が輝く瞬間」と表現していたのが印象的で、最後にその感覚を得た主人公に共感し、思わず胸が熱くなりました。

    模写の技法的な説明はやや難しかったですが、その分、最後に清々しく終わる展開が心地よく、美しい読後感を残してくれる一冊でした。

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    2025年09月21日
  • 天使と歌う

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    とても素敵な作品。完全にタイトルだけに惹かれて読み始めたらバレーボールからチェロという大好きな題材。そして親しみやすい文章と真っ直ぐな主人公。優しい人々。優しい音楽。泣ける。。愛野史香さん、今作が2作目なのかな?次作も楽しみです!

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    2025年09月18日
  • あの日の風を描く

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    これって白川通りの芸大がモデルだよね
    自分が知っている風景と合わせながら読んでいく
    基礎知識を物語に入れ込むのはちょっと嫌だなーと思ったが
    復元に関してのミステリーにつながっていくところから面白くなってくる
    フィクションと思えど実際にありそうな設定だもんね

    襖絵の復元模写制作の哲学がリアル感を持って表現されていた
    以前に見た名古屋城の襖絵ドキュメンタリーを思い出して納得する事もあった
    著者は現場と関係無さそうなのに(薬剤師らしい!)
    何だかこれもミステリーだなぁ笑

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    2025年09月16日
  • 天使と歌う

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    天使とは誰のことかなって思いながら読む。
    作品の中に答えはあるけど、
    あの人もあの人も天使だなと思いながら読む。

    世の中とつながるとは、
    人とのつながりだけではない。
    あらゆるものとのつながること。

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    2025年08月12日
  • 天使と歌う

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    ネタバレ

    音楽って本当に深くて面白いなと改めて感じた。
    大夢が演奏するときのどんどんと膨らんでいく曲のイメージが目の前に広がっていき、読んでいるだけでも胸が高鳴る。その人にしか生み出せない音楽がある。答えがないからこそ、音楽は難しくて面白い。今まで音楽が作られた時代背景や作曲家の心情などについてあまり学んだことがなかったけれど、この本を読んでとても興味を持った。背景を思い描きながら聴くと、同じ音楽も全然違うように聴くことができる。

    ふとした出会いが人生を変える。音楽を通して、色々な出会いが重なって、大夢の世界が広がっていく。幸せも苦しさも味わいながら、必死に努力して、時にもがきながらも、前を向いて生き

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    2025年07月29日