バーバラ・ブッチャーのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ2024年の28冊目は、バーバラ・ブッチャーの「死体と話す」です。1992年から2015年までの23年間、ニューヨーク市検察局で死体調査官として5000体以上の死体と向き合った著者によるノンフィクションです。
殺人、自殺、自然死から事故による死まで、様々な死のシチュエーションが綴られて行きます。かなり精神的なタフさが求められる仕事だと思います。
ひるむな。考えるな。感じるな。感情をオフにしないとやって行けないのでしょう。
2001年9.11同時多発テロに関して、著者も事件の処理を対応していますが、現場にいたからさこそのリアリティを感じる文章です。
「あなたは、行動や成果によって測られる人間ではなく、存在することに意味がある人間」という言葉で締めたいと思います。生きてこそなんぼです。
☆4.7 -
Posted by ブクログ
アルコール依存症からのサバイバーが就いた職。それは死体と向き合う日々だった。どうやって死に至ったか原因を調べ報告する仕事だが、実に淡々と黙々と眼の前に起きた事実を述べている。しかしながら、最終章に近づくにつれ、心身の不調につていも描かれる。しかし、それは誰にでも起きうる事象だ。会社の誰かが辞めたり、組織の不調和が起きたり、自身の病気が発覚したり、入院したり、リハビリしたり。彼女は自身が体験したことを表現したり伝えたりする技術も手に入れた。だからこそ、この本があるのだ。死はいつも私たちの眼の前から隠されるが、いろいろな人の死は社会の一部であり、自然の一部でもある。人の死はアメリカの現代社会を物語っているようにもみえる。
-
Posted by ブクログ
NYの女性死体調査官。どうも、検視官とか監察医とかとは違うみたいで、それと協力して現場でご遺体を確認する仕事なのか。
難事件を検視の知見から解決していく事例の話かと思ったがどうにもそうではなかった。
著者は若くしてアル中になり、その復帰プログラムの中で、死体調査官という仕事に出会った。それが、彼女にぴったりだったらしく、見事に復帰しながら、バリバリ仕事をこなしていく。
なんで、米国のこういう奴って、日本人とは全く違う感覚で、とんでもない時にくだらないジョークとかいうクソみたいな言葉の弄びで笑うんだろうと思っているんだが、本人たちに言わせればそうでもしないと気持ちが持たない。
なんだかなあ、と思ってたら、そんな仕事を続けていくと、やっぱりキッチリ気持ちは病んでいったらしい。感情がすっかり死んでしまう。あるいは、そういう仮面が自身になってしまった。
そこで出会ったのが、9.11。その凄惨な現状。リアルだ。
お前ら、それ以上のことを、戦時中に民間人にやったん忘れんなよ、と思って読んでたら「原爆で破壊されたような」的な記述があって、そこだけは、はあ?と思ったけども。
権力争いで組織を追い出され、新しく仕事も始めて立派に立ち直ったと思ってたら、頼ってた元上司を病気で失い、うつ病を発症。
最後はそこからも離脱することは出来たが。
死、というものとずーっと向き合って来てはいるが、基本的にはそれと向き合ってきた、筆者の物語であった。
理性的で、自分と、文章を書くことで向かい合い続けて来れたことが良かったのだろうと感じた。タイトルから期待する内容とはちょっと違うが、読みがいのある一冊だった。