雨糸雀のレビュー一覧

  • 全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。III

    Posted by ブクログ

    口絵を見た瞬間、「またクソデカ感情持ちが増えるのか…」と慄いてしまったものだけど、中身を読んでみたら意外な印象を覚える展開に
    改めて考えると、ウォルカに他者をクソデカ感情持ちにさせてしまう素質は確かにあるのだけど、それ以上にウォルカの死を見た者とそれ以外での明確過ぎる差異を感じてしまったよ


    今巻、最初に登場したクソデカ感情持ちのシャノンは生来の生真面目や素直さが悪い方へ作用した印象
    作中で既に言及されているけど、申請書類をそのまま通したら知人を重体にしパーティを崩壊させてしまった、なんて少し突飛というか自責が過ぎる話
    しかし、彼女がそこまで自分を責めるようになったのはそれこそ教会へ向かった際、仲間達が悲しむ教会に入る事もままならず、入ったとしても仲間達から拒絶されるように突き返された経験が大きかったのだろうね。シャノンはリゼル達に混じって悲しむ資格を与えられなかった。だから独り自分を責めるしかなかった

    それだけにウォルカが聖都まで帰ってきて「シャノンはなにも悪くないだろ」と言ってくれ、拒絶したリゼル達がシャノンに寄り添うように謝ってくれたのは彼女にとって自責を止められる契機となったのかな
    また、ウォルカはシャノンが「生きて帰っただけ」なんて感じてしまった身体でも、再び歩き出そうとしている、まだ前を向いている。それらはシャノンにも前を向く力を与えるね
    こうした点はリゼル達とは大違いと感じられた

    この傾向はルエリィとシアリィにも見られるね
    特にルエリィなんて挿し込まれるエピソードからクソデカ感情予備軍になりそうな要素も見えるのだけど、現状ではリゼル達のようには成らず。この点は目覚めたばかりで有りながら、あまりに平常運転へ移行しているシアリィの姿がそう感じさせる部分もあるのだけど、彼女らもウォルカに助けられた事を契機に前をむこうとしているね
    ルエリィはまだ罪悪感が消せないし、シアリィとて少し振り返れば震えが抑えられない。またウォルカに助けられる際、彼にどれだけ迷惑を掛け彼を傷付けてしまったかも知っている
    けれど、ウォルカが真剣に彼女らを助け、特にシアリィに発した言葉は2人にちゃんと届いている。彼女らは辛い経験が感情に影響していても前を向こうとしている
    やはりリゼル達とは異なるね

    ならば責任感から来る経験や感情がそうさせるのかといえば、それも違うのではないかと感じさせるのが〈炎龍爪牙〉の顛末か
    長々と語られたフリクセルの後悔。それは一種のパーティ崩壊の経緯でもあるね。あの時ああしていれば、そんな後悔は容易に抱けてしまうからこそ心から中々消えてくれない
    けど、ここでフリクセルが感じた「あの時に別の行動が出来ていれば」なんてのはこれまで本作に登場した女性陣の多くが感じている悩みでもある。いわば、フリクセルの後悔はリゼル達が抱いた後悔をなぞるもの

    〈炎龍爪牙〉に感じる不満はすぐ近くに問題なくパーティの交友を深めている〈銀灰の旅路〉が存在した事で余計に強くなったのだろうね。おまけに遠くから焦がれるように見守っていたその〈銀灰の旅路〉を自分達の不始末で壊滅させかけたというのはあまりに罪深い経験
    フリクセルが少しだけでも異変に気付けていれば、もう少し仲間と向き合えていたら。自分への怒りにも似た感情はアルファナへの怒り、次いで自分達に非難を向けないウォルカへの怒りによって異なる方向性を持つように成るね
    だから彼女がウォルカ達と同じ恐怖を味わおうとしたのは決して自罰の為ではなく、散々に後悔した後に前を向く為のやり直し
    いわばリゼル達と同じ道を辿りつつ、更にその先へ行こうとしている形

    そして最後に登場したラムゼイはリゼル達と似たような道を辿った上で前へと進めていなかった者か。微妙に経験は異なるからリゼル達のように自責の念に囚われているわけでは無いけれど、片目片足になっても剣を極める心に一切の揺らぎが無いウォルカの姿に刺激される点は有ったようで
    だから彼がウォルカに求めた決闘はウォルカに友人が味わった現実を突きつけるようでも、ウォルカを傷付ける事で友人を助けられなかった自分を更に傷付けるような行為でも有り
    それだけにウォルカがラムゼイの汎ゆる攻撃を受け付けずむしろ神域の剣によって跳ね返したのは彼にとって救われる心地となる経験だったんじゃなかろうか。そうして彼はようやく前へと進められた訳だ

    こうして見るとリゼル達とシャノン達、そしてラムゼイの違いが見えてくるような気がするね
    シャノンやルエリィ、フリクセルは皆してウォルカにクソデカ感情を持っているけど、そのまま病みへと至っていないのはウォルカの生還を見た、今も生きている事を知っているからなんて捉えられる。だからか、ウォルカと似た状態となった友人の死を知るラムゼイは病むように暮らしていた訳で
    逆にリゼル達はウォルカの生還は眼の前で見ている訳だけど、同時に〈摘命者〉も目の前にしてしまった。ウォルカがほんの少しの違いで命を無惨に落とす現実的な可能性を見てしまった。それが彼女らにとってウォルカの生還は奇跡であり、なのにウォルカの生還に自分達は一切の寄与をしておらずむしろ助けられた、なんて当て所もない罪悪感を抱くに至ったのかも知れない
    これ、ウォルカの方は原作を知っているが故にリゼル達こそ命を落とす現実的な運命が有ったという認識なだけに余計に擦れ違うポイントだね


    今回、ウォルカは多数の迷える冒険者の後悔を断ち切れたわけだけど、リゼル達の後悔を正しく認識して彼女らから病みを晴らしてやれるのはいつに成るのかねぇ…
    なんか、病みが晴れる前にクソデカ感情持ちが更に増えそうな予感がして、そちらの方が恐ろしいような楽しみなような複雑な感情にさせるのだけどね(笑)

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    2025年12月23日
  • 全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。

    Posted by ブクログ

    最初にタイトルを見た時は全滅エンドを回避した程度でパーティが病むとか有り得るのか?なんて疑ったのだけど、読んでみればこりゃ病むわと納得させられましたよ…

    リゼルアルテ達が単純に異性としてウォルカに惚れているだけだったら、ああは成らなかったかもしれない。けれど、彼女らは異性としてより先にウォルカの剣技に惚れていたわけだ
    しかも単純に惚れるだけじゃなく、その剣技は歴史に残るものに成るだろうと確信の念を抱いている。だからこそ、崇高な剣技が無力な自分を守る為に失われた事実に耐えられず、病んでしまうと……

    これって辛いよなぁ……。ウォルカとしては元ネタ漫画にて命を喪うより手酷い仕打ちに遭うリゼルアルテらの姿を知っている。そうした事態を回避できた時点でウォルカにとって僥倖なのだけど、彼女らはそんな知識ないから自分達が何から助かったかよりもウォルカが何を失ってしまったかばかりを見てしまう
    その意識差はウォルカに彼女らの荒む心境を理解させず、尚更に彼女らに病みの暴走を許す土台となってしまうね

    また、本作の構成は面白いね
    全滅未遂のシーンから始まり、少しだけリゼルアルテらの極端な反応を描いてから、リゼルアルテ達がどのようにウォルカと出会い彼に心酔するようになったかを描いている
    急場から始まって過去回想なんてまどろっこしいと感じてしまうかもしれないけれど、過去の出会いにて語られるのはリゼルアルテ達がウォルカの男性としての面に惚れるよりも先に剣士としての面に惚れた点を丁寧に描いている
    あの過去編を見れば、剣を振るのが難しくなったウォルカに対する衝撃も察せられるし、その原因に自分の無力が絡む点を加えれば彼女らがその衝撃を受け止めきれないとも理解できる

    リゼルアルテは元々重い素養を持っていた為にウォルカへの依存が深まったようだけど、ユリティアとアトリはどちらかというと自分はどこに存在して良いのか、自分をこの世界にどう認めさせるかという迷えるアイデンティティをウォルカが肯定した、つまりは彼が拠り所となった形と感じられる
    ユリティアとアトリもリゼルアルテとは形が違いながらも依存が見えるが、面白いのは魔法使いであるリゼルアルテと異なり2人はウォルカが死中で見せた絶技に感銘を受けている。あれがどれだけ貴重なものだったかを理解している
    既に存在せず、自分の為に失われた剣技に焦がれてしまった彼女らは下手をするとリゼルアルテよりも重症かもしれない

    と、ここまでアカン病み具合の3名を描いて表題にも「パーティ」とあるのだから、病みの被害者はこれ以上広がらないだろうと思っていたら、全くの別方面から被害者が現れた…
    しかも、アンゼの場合はウォルカの認識としては深い交流も何も無い相手だから何で妙な反応を示すのか判らないというのがもう重症
    彼女の過去編も描かれているのだけど、これまたウォルカとの交流は少ないと云うか、あの出会いで病みの種が蒔かれてしまうとなれば、ウォルカの方に何か天賦の才が有るのではないかと思えてくるよ(笑)


    ヒロイン達を病ませてしまうのは歴史に残る筈だった剣技が自分のせいで失われたという衝撃からなのだけど、なら当のウォルカはこの事態を本当に受け止めきれているのかという点が遅れて描かれる展開は真に迫っているね
    最初はリゼルアルテ達を助けられた事で満足していた。でも、実際に自分が剣を振れなくなったと成れば絶望に似た衝撃が襲い来る
    でも何度振り返ってもあの全滅未遂のシーンにおけるウォルカの動きはこれ以上無いのだから、彼は過去を悔やむ事は出来ない。未来を見遣るしか認められない

    この点は彼の前向きな人柄を示す流れとなるのだけど、こうした姿を見て余計にリゼルアルテ達が病むのは本当にどうしようもないな……!
    こうなってくるとウォルカがパーティから病み要素を取り除くにはあの欠損があったとしても以前と同じかそれ以上に強くなって満足に戦えるようになるしか無いと思えるのだけど、それはそれでロッシュが案ずるようにリゼルアルテ達の拒絶を生む可能性があって

    だとしたらウォルカが戦う羽目になるかもしれない<ならず者>の罠はパーティの病み具合にどう作用するのだろうね?

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    2024年11月02日
  • 全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。

    購入済み

    ヤンデレ大集合

    え~っと、作品のタイトルどおり。(笑)
    主人公は格好良いです。
    体を張って仲間を守るって瀕死で生還するし、新しい剣術流派も創始するし。(と言っていいのか?)

    ただ、ほぼ全編がヤンデレヒロイン達の病んでいく内面描写ってのが凄い。
    次巻もまた鬱展開っぽい。

    でも面白いです。期待します。

    #ダーク #カッコいい

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    2024年09月02日
  • 全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。1

    Posted by ブクログ

    ラノベ原作だとよくありがちだけど、1巻でぎゅっと詰め込んでテンポがかなり早い形ですね。いくつか話を省略しつつ、原作1巻の8割方まで一気にいってる感じ。

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    2026年07月12日
  • 全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。

    Posted by ブクログ

    誰かがTwitterか何かで感想書いてたのを見かけたけれども、確かにどちらかというと日常回みたいな感じよねと。
    あと、別に1巻とかついてはないけど、明らかに次の巻に続くって終わり方で、まぁ、仮に続刊でなくても直近の展開はこんな感じかなと読め、また、『病んだ』といっても、そこまでくどいやりとりがあるわけでもないので、読むのに疲れるとか、ストレスが溜まるというようなことはないかなと。(少なくとも自分は。)

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    2024年09月28日