あらすじ
日本から転生した冒険者ウォルカ。ダンジョンで突如強大な魔物に襲われた彼は、仲間を庇って瀕死の傷を負ってしまう。その瞬間ようやく気づいた――ここが前世で読んだダークファンタジー漫画の世界で、自分が仲間もろとも全滅するモブキャラだったのだと。
バッドエンドを強く嫌うウォルカは、仲間のために死に物狂いで魔物を撃破。片目片足を失うという代償を払うも、パーティ全滅の運命を覆せたことに安堵していた。ところが、仲間の少女たちの様子がなんだかおかしくなってしまって――
「今度こそ絶対に守るから! だからお願い、見捨てないでぇ…!」
「先輩は何もしなくていいんですよっ。ぜーんぶ任せてくださいっ」
「キミのために生きて、キミのために死のうって…そう決めたの」
ハッピーエンド至上主義な転生者と、彼に激重感情を抱く少女たちの【曇らせ】異世界譚!
【原作者書き下ろし小説も収録】
・書き下ろし小説『ウォルカの幻肢痛でみんなが曇った話』
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
原作小説ってヒロイン達の病みに病まれた主観的心情描写が魅力と思えていただけに、客観表現となるマンガではどうなるのかと身構えていたのだけど、原作小説とは異なるアプローチで魅力を披露出来ていた印象
ウォルカはあの異世界の原作となったマンガだと無残に殺されるしかなかった状況から絶技を発現する事によってどうにか生き残った。それは目出度い事象の筈ながら、ウォルカだけ重傷を負い身体を欠損し他の少女達はほぼ無傷という点が両者の心情を断絶させる要因となっているね
ウォルカっていわば別ルートの未来を知っているようなものだから、全滅エンドを避けられただけで僥倖と感じてしまうんだよね。でも、リゼルアルテらはそんな原作ルートを知らず自分達が体感した絶望だけを見ているからウォルカと心情を共有できないという
この点、ウォルカとリゼルアルテ達はどうしても判り合えない。見ているものが違うから
そうした違いがリゼルアルテらの病みを誘発してしまうのは不幸としか言い様が無いが
ただ、この病み具合は彼女らの魅力を増すものになっているのは作品として成功している証か
いや、本当に良いよね。表情が曇った上で病んでいる彼女らの様子は。割と高頻度で目からハイライトが消えてるもん
見て判るレベルで彼女らの精神は追い詰められている。なら、その変貌に直面したウォルカは彼女らに「自分は大丈夫だ」と証明する為に少しでも頑張ろうとするのだけど……
それが尚更にリゼルアルテらの病みを深めていく構図はもはや芸術的
ウォルカがちょっとでも動けばリゼルアルテは顔を青白くして心配し、「そんなに心配しなくても…」と返せば自虐に走る
ユリティアとアルテはウォルカの知らん場所で極まった表情になりつつ、彼の絶技を思い出しては更に心を追い詰めると
最早ちょっとやそっとの言葉では取返しが付かない状況になってしまっている。それが良い
パーティ内だけでも既にどん詰まり状態であるというのに、パーティ外からも病み少女がおかわりされる構図はもう清々しい
アンゼってウォルカ視点だとそこまで親密な相手ではないから、「何故そこまで?」と疑問を覚えてしまう為にフォローしきれないのだけど、逆に抑えが効かない彼女によって更にウォルカ過保護計画は進んでしまうという
ウォルカにとって、やはり自分が回復しないと皆の病みを止められない状況であると再確認できてしまう
リゼルアルテ達は看破しているけど、ウォルカって本当に剣が好きだし、剣を振れない自分を想像できない
だから彼女らを安心させる為というのは建前で、実態は剣を振りたいから振ってしまうわけで。そうして漏れたのがあの一言だったんだろうけど……
自分達を原因と感じ入るリゼルアルテ達としてはやり切れないよなぁ……
病み要素は隅々にあるけれど、他方で各ヒロインの可愛らしさも充分に表現されているのは良いね
特に6話でのリゼルアルテなんて、のじゃロリお師匠様として存分に活躍しているし
偶然見掛けたウォルカを心配して魔法を教えて、もっと一緒に居たいからパーティを組むなんてちょっとしたラブコメの導入にすら見えてしまう。てか、本当にリゼルアルテ可愛いし
……まあ、その分だけウォルカの生き甲斐を奪ってしまった罪悪感に押し潰されそうな彼女の様子にも魅力を感じてしまうわけだけど
こうした魅力的な表現がされる少女達がまだ3人も残っており、更には聖都への旅路にて更に病み少女も現れるだろう事を考えると、本コミカライズは充分に楽しめそうだと思える第1巻でしたよ