宮崎徹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
AIMについて、発見に至るまでの経緯と、発見後の進化について語られる一冊。
たゆまぬ努力はもちろん、諦めない執念と、様々な偶然が織りなす奇跡のような発見の軌跡。
それはまるでプロジェクトXを見ているかのような、引き込まれる展開だった。
読者からすると、本を通じてものの数分で知り得ることだが、実際には年単位での時間がかかっていることを鑑みると、研究者の方々の研鑽には頭が下がるばかりである。
猫の腎臓病の救世主として期待されているAIM。
瀕死の猫の回復具合を見るに、素晴らしい効果である。
しかしそれだけでなく、人間も、あるいはアルツハイマーといった現状治療が難しい病気にもその特効性が見出されて -
Posted by ブクログ
欧米の大学では、研究者どうしが廊下で立ち話する光景がよく見られるという。そこから研究のヒントが見つかることも少なくないだろう。しかし、日本ではこれがほとんど見られない。自分の専門領域に踏み入られるのが気に食わないのだ。
本書はまさに、2人の科学者がお互いの分野を超えて自由闊達に語り合うといった雰囲気で、読んでいてとても面白い。とくに、養老さんが「蝶などの完全変態する昆虫は、進化の過程で別の生き物が混ざってしまった結果ではないか」という仮説を展開する。それにとても興味を持った宮崎さんが、実際に実験をするのだ。もし幼虫と成虫で違う生き物由来だとすれば、両者のゲノムが異なるのではないか。
対談は3回 -
Posted by ブクログ
AIMとは血中タンパク質
健康時のAIMはAIM+lgM 2つが結合している
人の病気前兆が始まった時のAIMはAIMとlgM 2つの結合離れAIM+体内のゴミが結合し、この状態を貪食細胞が食べゴミを排除する
猫のAIM
AIM+lgM 2つの結合離れないため体内にたまったゴミを排除できない 。この離れないAIMを切り離すことが出来れば、猫の病気を改善することが出来る
AIMを切り離すアミノ酸がある
L-シスチンが猫のAIM+lgM結合の片方(結合強い方)を外してくれる
AIMを切り離してくれるサプリAIM30の成分
シスチン( L-シスチンの素になる必須アミノ酸)
メチオニン(L- -
Posted by ブクログ
この本棚を見て想像できそうですが、私は無類の猫好きです。一番初めに飼った猫も、腎不全や糖尿病で亡くなりました。可愛くてしかたなかった子です。いつか亡くなる命だとしても、慢性的経過を辿り少しずつ悪くなっていく姿を見るのはそれがたとえ人であっても猫であっても辛いものです
こういった新しいものが注目されたり、開発が上手く行ったりするときには本当に不思議な縁が繋がっていくものですよね。だからこそ、出会いを大切にしようと思います
医学的なことも書いてありますが、とてもわかりやすくかみ砕いて書いてあるので読みやすいと思います。実用化が進んでくれることを願っています -
Posted by ブクログ
「猫が30歳まで生きる日 治せなかった病気に打ち克つタンパク質「AIM」の発見」の著者である宮崎徹さん。
気軽に読める本ではないと諦めていたところ、この本が出た。
対談テーマを「ネコの進化や寿命について」として、養老孟司さんから宮崎徹さんのAIM研究の評価を引き出そうという企画だった。
ところが、「生物の仕組みには、ほかにも不思議なものがある。」と言って、養老先生が昆虫の「完全変態」の話を持ち出した。
私も子供の頃から神秘的だと感じていて、今でもわけが分からないことの1つが「完全変態」。
オタマジャクシに足が生えて、手が生えて、尾が吸収され、カエルに姿を変えるのも凄いが、
蝶という昆虫が、幼 -
Posted by ブクログ
ネタバレ猫と暮らしている人間として、とても興味深く読ませて頂いた。本の印税が、ネコと人間の腎臓病研修費用などに充てられるというのも購入した理由の一つだ。
著者の宮崎先生はとにかくすごい。
治せない病気を治したいという信念を貫くために努力を惜しまない。人間を診るお医者様だが、様々な偶然や縁を経て、今やネコのためにも全力を尽くして下さっている。そしてその知識をコロナ対策にも活かそうと尽力されている。私に財力があったら迷わず宮崎先生の研究のために寄付したいとさえ思う。
また、宮崎先生の素晴らしい努力の道筋を辿るうちに、日本が海外と比べてどれだけ医学の研究という分野で遅れをとっているかを窺い知ることができ