ジャックヒギンズのレビュー一覧
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ジャック・ヒギンズの名作冒険小説『死にゆく者への祈り』です
ジャック・ヒギンズといえば『鷲は舞い降りた』があまりに有名なんですが、ヒギンズ本人は自身のベストとしてこちらを挙げたそう
ありがちでシンプルなストーリー展開
そうなんです「ありがち」
でもねこれってとんでもないことなんですよ!
刊行が1971年ですからね
つまりこの作品を「ありがち」って感じるっことは、この後に出版された冒険小説にどんだけ影響与えてるかってことなんですよ!
すごいんです
しかもシンプルなのに奥深い
そして、この作品の最大の魅力はとんでもなく魅力的な登場人物たちなんです
主人公の元IRA兵士ファロウ、彼の殺し -
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カッコいい!
出てくる人、みんな、カッコいい!
第二次世界大戦中の1943年秋ドイツ、東部戦線の失敗・イタリアの敗北で戦況は悪化するなか、イギリス首相のチャーチルをイギリス本土から誘拐する計画が持ち上がり、ドイツ軍落下傘部隊の精鋭たちが……。
この小説は「歴史小説」ではない。
チャーチルは誘拐されていないし、ドイツは1945年春に降伏する。
ましてや、この物語にある事柄はどこにも記録されていない。
だからと言って「架空戦記」というわけでもない。
歴史とは「紙もしくはそれに準ずるものに書かれた事柄をもとにして推測され、広く認められた過去の出来事」
「記録されていない(認められていない)こと -
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“たとえどのようにいわれようと、彼は、勇気のある立派な軍人であった“
もちろんかの悪名高きナチス・ドイツにもいたのです
誇り高く、勇気があり、友情に厚く、公平で、命に真っ直ぐな人物が
そしてもちろん『鷲は舞い降りた』は冒険小説の歴史に燦然と輝く名作でした
3人の主人公とも言えるドイツ落下傘部隊長クルト・シュタイナ中佐、アプヴェールZ部第3課課長マックス・ラードル中佐、IRAの兵士リーアム・デヴリン、この3人がとんでもなく魅力的で、心を鷲掴みなわけです鷲だけに(いらないやつ)
特にシュタイナ中佐はもうめちゃくちゃに格好良くて部下たちが彼のために命を投げ出すのを有無を言わさず納得させられて -
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ネタバレ冒険小説の古典的名作.
物語は,歴史に埋もれた驚愕の出来事の手がかりを,作者であるヒギンスが発見する1章で始まり,ヒギンスが主人公たちの後日談を知る20章で結ばれる.
劣勢が明らかになってきたドイツ軍が「チャーチル誘拐計画」を立案する.ここに一癖も二癖もある主人公たちが巻き込まれてゆくのだが,ステレオタイプの「ナチ」的な人物は1人もおらず(いや,主人公たちの”邪魔をする”のはヒムラーやSSをはじめとする典型的な悪党なのだが),彼らはみな血が通った普通の格好いい人たちとして描かれている.オルガンが特技だったり,バードウォッチングが趣味だったり,溺れた地元の子供を助けたりするのだ.
チャーチル -
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ネタバレ冒険小説、と言われているが、冒険というより『戦争もの』という表現のほうがやはりしっくりくる本。
そして、第二次世界大戦を扱った小説としての、オールウェイズベスト。星5つ。
なお、評者は「その当時の価値観のとおりに描写してるんだから、女性やら外国人やらへの扱いがアレで何が悪い。ポリコレとかいう歴史改ざんは文化への冒涜」という立場である。
そして本作におけるそういう点は、
「変な改ざんをしてないからGood!」
である。
主人公クルト・シュタイナの「軍人とは何か」という筋の通し方が際立つ。
それはやはり、名脇役リーアム・デヴリンの「俺ぁアイルランド人だから、産まれた時からクレイジーなんだ」とい -
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元IRA将校のおたずね者マーチン・ファロンは、逃亡用のパスポートや切符と引換えに殺しの依頼を請負った。仕事自体は簡単にすんだ。が、たまたま現場に居合せた神父とその姪のため、やがて彼は冷酷な依頼主と対決するはめに……。拳銃だけをよすがに血と暴力の世界をさすらう一匹狼の姿を熱く謳い上げる!
ヒギンズ祭りで、再読を続けてきたが、やはりこの作品は完成度が高い。他の作品との差はどこから生まれたのだろうか。
翻訳されていない作品の中に、ニック・ミラーを主人公にした警察小説の三部作がある。勝手な想像だが、おそらく、本作の登場人物と同一ではないか。
92歳で逝去と聞いた。ご冥福をお祈りします。 -
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1973年上梓、ヒギンズの魅力を凝縮した畢生の名作。
冒険小説史に燦然と輝く「鷲は舞い降りた」(1975)のような重厚な大作ではないが、ロマンとしての味わいでは突出しており、恐らく大半のファンはベストに推すだろう。1981年に「ミステリマガジン」が行ったアンケートでは、ヒギンズ自身が最も好きな作品に選んでいる。その理由は、一読すれば納得できるに違いない。デビュー以来、修練を重ねて深化した技倆と独自の美学が結実し、揺るぎない世界観を確立している。
物語は、ヒギンズ節ともいうべき馴染みの情景描写から始まる。
「通りのはずれから警察の車が姿を見せると、ファロンは本能的にいちばん近い戸口に身を寄せ、 -
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もう何十年前になるのでしょうかその位前からお気に入りの一作です。
舞台は第二次世界大戦のドイツとイギリスです。戦局が思わしくない事から英国首相チャーチル氏の誘拐もしくは殺害を企てます。しかし、それはヒトラーからの指示ではなく親衛隊長官による秘密の作戦となります。
国防軍情報部に務める隻腕・隻眼のベテラン士官ラードル中佐は親衛隊ヒムラー長官によってこの突拍子もない作戦を実施するよう強要されます。
計画を遂行する為には優秀な指揮官が必要ということで白羽の矢が立てられたのはクルトシュタイナ中佐です。彼も開戦から戦って来たベテランです。本国へ帰国する際に立ち寄ったポーランドにてユダヤ人少女を助けた事 -
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文句なしに面白い!とはこの小説のことだろう。
第二次世界大戦中のドイツ軍落下傘部隊による英国本土でのチャーチル誘拐、という暴挙とも言える作戦に、
作戦を指揮するドイツ軍将校も落下傘部隊の歴戦の勇士も諦観の域で死に場所を求めるかのように、士気高く遂行していく。
抗いきれない立場であろうとも、自分の意思に信念を持って行動することこそが人間の最も優れた価値であることを極上に面白い娯楽小説の形で明朗に伝える。
なんといっても魅力あふれる登場人物の面々。男も女も皆とにかくヒロイックで、自分の思っていることを闊達にシニカルに語る。そして例え獄中であっても決して信念を曲げない。
また航空機、船艇、小火器など -
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冒険小説を読みたくなって、とりあえず傑作といわれる本書を読んでみた。第二次世界大戦中にドイツ軍が英国のチャーチル首相を誘拐(または殺害)を企てて実行するまでの物語。登場人物が実在の人なのでとてもリアリティーに満ちた展開となっている。一方で、史実ではチャーチル首相が誘拐されたり殺害されたりしたことはないので、作戦が失敗することも分かっている状態で読み進めることになる。普通は結末が分かっていたら楽しく読めないものだが、本書は登場人物の内面を含めて丁寧に描写することで、その結末に至った過程をドキドキさせながら読ませてくれる。ドイツ軍と英国の人びとをどちらが敵かという観点で描いていないのがいい。純粋に
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Posted by ブクログ
ネタバレ第二次世界大戦の最中、ドイツ軍は落下傘部隊を英国本土に降下させ、時の首相チャーチルを誘拐する作戦を立案します。
この荒唐無稽で無謀な作戦に参加することになったのが、シュタイナ中佐率いる部隊。
歴戦で活躍した英雄ながら、ある事件でユダヤ人少女を庇った格好になり、部隊ごと危険任務につかされ冷遇されていたシュタイナは、「自分は冒険家だ」の言葉とともに、この空前絶後の任務に挑みます。
作戦決行のその日まで、厳しい訓練を繰り返し結束を固めるシュタイナと部下、作戦に関わる他のメンバーの姿に、手に汗握り胸を熱くしながら「がんばれ、がんばれ」とエールを送っている自分がいました。
「鷲は舞い降りた」
部隊が -
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私は冒険小説は嫌いだと信じ込んでいた。
そんな思い込みを覆してくれたのが、同じくドイツ在住で私のミステリファン仲間のY子ちゃんなのであります。
今回、手術後、家で療養すると聞いたY子ちゃん。「いいから何も言わず読みなさい!」と送ってくれたのであります。(感謝してるよん、Y子ちゃん)
それにナチが出てくるし、著者はイギリス人でしょ~っていうことはどうせドイツ人が悪者で・・・と思いながら読み始めると~メチャ面白いのよ!
ナチかぶれの非人道的なドイツ人ばかりじゃないということを書いてくれて、私はとってもうれしかったのであります。
極秘で遂行されたチャーチル誘拐作戦。
念には念を入れて計画されたことだ