ピーター・ブラウンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ仕事で使ったので一度丁寧に読んでみようと思った次第。少し前に映画化された模様。アニメーション映えしそうだったので機会があれば映画も観てみたい。
なんといっても読みやすい。本文は全部で八十の章に分かれており、ご丁寧にそれぞれ副題も付いているが、一つ一つが短めで中には一ページ以下の長さのものもある。細かく章が分かれているおかげで場面や視点の転換が分かりやすく、中断・再開にも心理的負荷が少ない。短時間でいくつもの章を読み進めることができるので達成感もある。本書のターゲット層は小学校中学年から一般まで、であるからして、上記のようなメリットは意図的に設計されたものだろう。
細かな設定は内容にも通ずる。表紙の袖にあるあらすじを読んだ限りでは、「児童書あるあるファンタジーで動物も当然のように喋るんだろうな」と漠然と思っていたものが、なんと序盤は全く喋らない。人間にとっての動物らしく、キーキーと鳴くばかりである。人工知能を携えたロボットのロズが、野生動物たちを細かく細かく観察するにつれて動物言語を獲得していき、段々と意思疎通が叶うようになっていくのである。
また、「明け方協定」というような可愛らしい設定はあるものの、野生動物たちがお互いに狩って狩られて生活する様子や、冬の厳しさに耐えられず死んでいくさまは自然そのものであるし、その中で知恵のあるロズが無双するわけでもない(役立ちはするが)。
言語にしても生活にしても、コミュニケーションの難しさや自然の厳しさを大前提に「ロボットが野生化したらどうなるか」を思考実験した結果が本書なのだと、作者の拘りを感じた。
個人の感想か企業の紹介文か忘れたが、「人間の自然破壊についても考えさせられる」というような文章を見た。確かに「冬はますます寒くなり、夏はますます暑くなる」という言葉や、海面上昇についての話題も出てくる。しかし、本書の主題はやはり、ロズがどう生き延びて野生動物たちとどう信頼関係を築いていくか、その過程を背景に「生きること」を問い直す、これに尽きると思う。ロズが自然や命と真摯に向き合う姿には学ぶべきものがある。
本書には人間が登場しない。キラリの回想で語られるだけである。しかし、ロズがどのようにして生まれたのか、レコを送り込んできたのは誰なのか、その存在は随所に感じられ、不吉とまでは言わずとも濃い影を落とす。故郷を守るために旅立つロズがいずれ出会う人間たちは、果たしてどのような形で登場するのか。その人間の在り方によって、本書の見方も大いに変わる予感がする。今から続編が楽しみだ。
それにしてもロズはいつの間に感情を獲得した(ように見えるだけ?)のか。レコも最後に忠告してくれるあたりささやかな感情を有していたように思う。こういうロボットものは大抵「人間的」になっていくのがセオリーだけど、それが我々人間のロマンなのかなあ。 -
Posted by ブクログ
ロボット運送船が嵐で遭難し、箱に入れられた5つのロボットが無人島に漂着する。4つの箱は壊れ一つだけが島に打ち上げられる。好奇心に満ちたラッコたちがやってきて、箱をいじっているうちにロボットの起動ボタンを押してしまう。そして、ロボットが動き始める。
ロボット・ロズは、無人島で一人(一体?)動き始める。次の嵐の日に、ロズは強風で木から落ち卵を温めていたガンとその巣を壊してしまう。親鳥と卵も死んでしまうが、ただ一つ残った卵がかえりヒナが生まれる。ガンの雛は、ロズを母親と思い二人は家族として暮らし始める。
人工知能として野生動物たちの言葉を理解するロズ。冬になると仲間と南へ向かう雛(キラリ)を送り出すロズ。やがて南から帰ってきたキラリから、自分と同じようなロボットがいる他の土地を知る。そして、ロボット工場から嵐で失ったロボットを回収するロボットがやってくる。
SFというよりは、まさにファンタジー。サイエンス部分が無くはないのだが、ほっこりさせる。最後もロズがいつか帰還するのでは、という希望を持たせる終わり方です。