寿なし子のレビュー一覧
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ネタバレ赤い部屋ですから赤地に白文字なのがいい。勿論、黒地に白も。「その部屋は、私を、丁度とほうもなく大きな生物の心臓の中に座っている様な気持にした。私にはその心臓が、大きさに相応したのろさを以って、ドキンドキンと脈うつ音さえ感じられるように思えた。」こんなに好奇心を押し殺した深くて長い呼吸にぴったりの表現があるとは。しかも同じ思惑、趣味嗜好をもった集団だと言うのもこれだけで気持ち悪ほどありありと想像できる。あれだけ格式高かった赤い部屋が最後一気にチープになるのは夢から覚めたようで心地いい。割と最初から給仕の女性が描かれて殺人者の内面を表現するようにそれから何度も描かれているのが不思議だったが、最後ま
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乙女の本棚シリーズを買う前には、どんな物語か事前に読んでおくことが多い。(イラストはどれも素晴らしいのは折り紙つきなので)
これも事前に読んだのだが、途中までは「ああ、これはちょっとやめておこうかなぁ…内容がエグい」といった感じだった。(江戸川乱歩もミステリーも、ホラーや怪談の類も好んで読んでいるんだけど)
しかし、ラストまで読むと「あ、これは買おう」となる不思議さよ。
後日、素敵なイラストがついた、この「赤い部屋」を購入。
この終わり方は結構好き。
そして、寿なし子さんの描く花ちゃんがとても可愛くて良い。終わりがけのイラストがまた良いなぁ。 -
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ネタバレ語りと仕掛けが巧みな良質サイコホラーだった。江戸川乱歩ってほんとすごい。
「赤い部屋」で夜な夜な催されている、怪しげな会員制倶楽部。新入会員のT氏は、そこで自分が犯してきた罪を飄々と告白していく。
〈この場合可哀想な老人を殺したものは果して何人でしょうか。〉
いわゆる、未必の故意。(大好きなテーマ!)
まるで悪戯でも仕掛ける子供のようにつぎつぎと繰り返された、死神のようなサイコパス男による99の所業。そして100番目の殺人。すべて作り話ですよ、と種明かしはされたけれど、誰がそれを信じられるだろう?
一体どこまでが本当で、どこからが嘘なのか。
〈「赤い部屋」の中には、どこの隅を探して見ても -
Posted by ブクログ
江戸川乱歩文学忌、享年70歳
1925年 大正14年 「新青年」初出
「赤い部屋」に集う7人
常識では語れない体験を語る
新入の男が語る「未必の故意」的完全犯罪
倫理と心理の妄想
この「未必の故意」とは、直接的に殺す意図はないが、結果として殺害が起こることを認識しつつ行動する心理状態を指す。語り手は、自己の行為を正当化せず、むしろその曖昧さと罪の重さを深く自覚している。
語り手の告白は、単なる犯罪談ではなく、人間の意志と無意識、倫理と罪の境界を問う。
心理戦が面白いと言えば面白い
イラストは寿なし子さん
妖しげな雰囲気はよろしですけど
女の子が可愛い感じすぎるかなあ
狐面は妖しさ増し -
Posted by ブクログ
乱歩作品は乙女の本棚シリーズと相性が良いようで、現在47冊中4作が乱歩作である(太宰作品はもっと多い)。
本作『赤い部屋』は江戸川乱歩の初期の短編小説。僕は『D坂の殺人事件』に収録されているのを読んだ事がある。
推理小説黎明期を思わせる少しぎこちなく、しかし才気走った語り口が面白い。谷崎潤一郎の初期犯罪小説にも通じるものがあると思う。
とは言え、乙女の本棚シリーズで気になるのはやはりイラストや装丁。銀糸を漉き込んだ和紙の見返しも雅、黒地に白抜きの文字や、えんじに白抜きの文字はそのまま薄暗い赤い部屋の描写と共鳴し、妖しい雰囲気を醸しだす。ランプや階段など静物のイラストも良い。特に人をはねた直