アンドレ・レトリアのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本は物語ではなく、「戦争は〜」という一文ずつで淡々と語られる作品だった。けれどその一つひとつが胸に迫り、どれも確かに「戦争の顔」を映していると感じた。戦争にはいろんな側面があるのだと、読むたびに考えさせられる。
絵はシンプルで色も限られているのに、不気味さや緊張感がにじみ出ていて、言葉の重みとともに強い印象を残す。文章が短く少ないからこそ、読み手に「あなたはどう思う?」と問いかけてくるようでもあった。
私は戦争を知らない世代だ。けれど、今の平和は過去の痛みや犠牲の上に成り立っているということを、この本を通じて改めて考えさせられた。戦争を体験した人たちの声が届きにくくなってきている今、こ -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初は絵だけなので、一瞬イラスト集?と思ってしまった。
けど、この絵だけのページがじわじわとくる。
イラストは色が少なくて不穏な空気を描いている。そこに添えられる文章は「戦争は、×××」と続いていく。
これが全て頷けてしまうのだから怖い。
『戦争は、物語を語れたことがない。』『戦争は、鋼と影の子どもたちを生み出す。』
私がいいなと思ったのはこの二つ。そこについているイラストも本を燃やししていたり、工場で人が作られていたりとゾッとする感じがする。
全てがリアルすぎる。
戦争の現実しか書かれてないので、おそらく幼児向けや小学校低学年向けではない。高学年ぐらいから読めるのかなと思った。
こ -
Posted by ブクログ
岩波「図書」8月号に訳者木下眞穂さんの解説が載っていて、紐解いた。ポルトガルの絵本。
「戦争は、」に続く幾つかの短詩と、禍々しいイメージ絵で構成される。鼠色と褐色しか出てこない。
先ずはこの詩篇にドキッとした。
戦争は、日常をずたずたにする。
「進行していますね」と耳元でささやかれる病気のように。
←あゝ、私にはこの体験はないけど、かつての父親を見ていて、正に彼の心の中に「戦争」が進行していたのだと、まざまざとイメージを持つことができた。
「もののけ姫」の猪神がたたり神に侵されてゆくときの黒い蛇みたいなものが、大陸の林の間をずっと進んでいき、群れをなし、禍々しい鳥の導きにより、街の中の