信国遥のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
御蔵島から約1時間の距離にある無人島。
その島には綾辻先生の館シリーズ、中村青司のモデルとなったとされる建築家
が最後に建てようとしていた館が建設途中のまま放置され、
件の建築家も行方不明となっている。
まさに未完成の状態で、広間を中心に8つの部屋を作りかけたような基礎を露わにしている。
X大学ミス研メンバーは合宿のうちの1泊を過ごすつもりで来島するが…
クローズドサークル。絶海の孤島もの。かつ館もの。
ワクワクしかない。
島に到着してからはサバイバルで、いかに水を確保するのかが最重要課題。
火をおこすにも、食料を確保するにも、岩礁のような島で、道具も限られていて。
臨場感により、読んでいて喉が渇いているような錯覚を起こしました。
無人島に行く事などないだろう人生を送っているのですが、
何だか危機感にかられて蒸留水の作り方の動画などを見て、
これは一生の知識として保管しようと心に誓いました(笑)
登場人物たちが二転三転する推理を繰り広げ、展開が読めず。
ラストも予想外。
館もの…にしては少し館成分が物足りない感じがしますが、
方舟、十戒が好きな方にはおすすめです。 -
Posted by ブクログ
★5 ミス研メンバーが孤島に誘われる定番ミステリ、ありがちな題材を品良くオマージュ #未館成の殺人
■あらすじ
X大学の推理小説研究会のメンバーは、夏合宿で孤島でキャンプをすることになった。そこは著名な建築家が所有する島で、奇妙な館を建築中ながら、未だ基礎工事までしか進んでいないらしいのだ。
ミス研のメンバーが島に到着すると、突然船が爆発炎上! 残された水や食料は少なく、連絡手段も破壊されてしまう。生き残るべくサバイバルを始めるのだが、ひとり… またひとりと…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 おもろい! 本格ミステリーファンには堪えられない作品すね。そうそう、こういうのを待ってたんだよ!ってヤツ。
信国遥先生はデビュー作『あなたに聞いて貰いたい七つの殺人』で光るものを感じてたんですが、やっぱり花開きましたね。いまのところ本作が今年の本格ミステリーの筆頭じゃないかな。
本作は大学ミステリ研究会のメンバーが孤島に誘われ、脱出&連絡が不可能になるという古からの基本設定。『未館成の殺人』とあるから館ものかなーと思いきや、そうであるような、ないような… ちなみに平面図は用意されてません。ただクローズドサークルではあり、やっぱり予定調和どおりに殺人事件が発生して――という筋立て。
定番っぽさを強めでご紹介しているんですが、これには訳があるのです。本作は本格ミステリーあるあるを上手にパロディにしており、ファンであればあるほどニヤニヤがとまらない仕掛け。
有名な建築家が奇妙な建物を建て続ける&行方不明なんて設定、綾辻行人先生の「館シリーズ」そのまんま。さらにはミステリー批評なんかも「人物か描けてない」とか、書いてる側の苦労も知らずに好き勝手いわれたりさ。あと他にも、事件に関わる重要な部分においても、「ありがちな題材」がでてくるんすよね~
また進行についてもあれこれ展開が多い訳ではなく、比較的にはスタンダード。サバイバルシーン以外は、ずーっと事件について議論してるんだよね。ひとつずつ疑問提示、考察、理解、再検討…って感じで、丁寧に謎解きを楽しませてくれます。なので、結構パワフルな本格ミステリーだと思いますよ。
キャラクターもミステリーのキャラって感じで魅力たっぷり! 涌井の嫌われっぷり、三雲との不仲っぷりなどなど、もはや想像通りで大好き。舌戦からイガミ合いまで、めいっぱい味わいました。
謎解きも練られていましたね~。当然ロジックはしっかりしてるし、シンプルには終わりません。犯人が想像以上というか、ある作品と比べちゃうこともあって「この人を使っちゃうのねー、意外」という感想。
そして一番唸ったのは、クローズドサークルで水も食料も少ない状況なのに、なぜ殺害しなければいけないのか? という真相部分。ちゃーんと伏線も書かれているし、なるほど感が高い。参りました。
これ以上は楽しみを奪っちゃうので、ぜひ読んてみて下さい。本格ミステリーファンは必読の一冊ですよ!
■ぜっさん推しポイント
本格ミステリーって、動機が比較的シンプルなことが多いんだけど、本作は拘りを感じました。元々どんな出来事があって、こんな大きな事件に発展してしまったのか。そして過去これまで誰が、何を想って、どんな行動をしてきたのでしょうか…
物語を振り返ってみると、現代ならではの業が渦巻いてることに気づかされるんすよね。生きることに必死な感じがして、ちとしんどくなりましたね。
■人物表
人物表がついておらず、序盤は混乱しがちかもしれません。書いておくのでご参考までに。
●X大学の推理小説研究会
涌井正義 四年 男性
三雲清世 四年 女性
遠藤恭平 三年 男性
北見律 二年 男性
西京晴希 一年 男性
白波瀬真緒 一年 女性
名瀬朝日 OG 女性(故人)
●黒澤家
黒澤泰洋 建築家(行方不明?)
泰明 長男
洋高 次男
日和子 長女
●その他
雨鷺 船長 -
Posted by ブクログ
ネタバレ孤独のクローズドサークルものかなと思ってたら、島に着いた途端、船が炎上して荷物がほぼなくなり、サバイバルゲームまでスタート。予想外。
船の炎上で死亡扱いの西京君は絶対生きててどこかで美味しく使われるはずと思ってたら、やっぱり犯人当て段階でも西京くん生存説&犯人説が挙げられてて、このままみんなの予想通り実は生きてて犯人でしたではないんだろうけれども、どうなるのかなと予想つかずワクワクした。
ミス研グループのためか殺人事件に対しても外部犯説、内部犯説、事故説と議論が分かれてそれぞれの矛盾点もしっかりあげられてたので、そこからどう読者が納得する展開に持っていってくれるのかと思ってたんだけど、正直、暗闇の中ヘッドホンの明かりで首元を正確に一撃で狙えたり、上からジャンプしてブラックジャックで肥満体系の男性を殴り殺したりはちょっと結局無理があるのではと思った。
そしてこの未完成の館『八つ手館』の構造のイメージが浮かばなかったので、館の見取り図欲しかった…。
各部屋で何が起きているのかわからない位には壁があるのに真緒が上から飛んでこれる位には低いの?
夜方の仕掛けは面白いなと思ったけど、雨鷺=黒沢は王道すぎるし、男性陣はまだしも、女性陣がキャラ付けできていないせいか、誰が誰だかわからなかった。
そして終盤雨鷺、真緒、律の残り3人になったときの律の生存可能性の低さ…笑
サバイバルシーンやその中で起きる連続殺人、それに対する登場人物たちの推理は面白かったけど八つ手館の仕掛けありきで動機やらができてて途中面白かっただけに期待したほどは読後感があまり良くなかった。
なんで最後急に狂気的なふたり…な厨二ぽい感じで終わるん… -
Posted by ブクログ
今年読んだ中で(今のところ)一番震えたミステリ。
はいはい、大体結末分かっちゃったな…と終盤まで思っていたところからの見事などんでん返しでした。
これは、今年のミステリランキングに絶対入ってくるんじゃないかなぁ。とても面白かったです!
そして、これまで読んだ中で一番過酷なクローズド・サークルでした。
合宿で訪れた無人島に閉じ込められたミステリ研究会のメンバーたち。ここまではミステリではよくある設定だと思いますが、今作のロケーションは泊まる館も水も食料もなく(水は500mlのペットボトル6本と1.5Lのペットボトル1本のみ)、電気やガスはおろか火さえ起こせない(しかも、真夏!) 。勿論携帯の電波は通じません。しかも、彼らが遭難したことに少なくとも1週間は誰も気づかないだろうという状況。そもそも生き残ることが絶望的に思える絶海の孤島なのです。
そんな中で殺人事件が起こります。このまま何もしなくても近いうちに全員死ぬのに、なぜわざわざ殺したのか…?犯人は誰?という謎を解いていくミステリです。
なんとなく、某人気ミステリを思い出すラストでした。
読んだ人とあれこれ語りたくなるミステリ。 -
Posted by ブクログ
力作! 後半から一気に重厚感がレベルアップする骨太本格ミステリ #あなたに聞いて貰いたい七つの殺人
■あらすじ
インターネットラジオを通して殺人のライブ配信をするという事件が発生、若い女性たちが次々と犠牲になっていた。駆け出し私立探偵の鶴舞のもとに、ジャーナリストであるライラが事件解決の依頼にやってくる。彼女は舞鶴に対して、犯人と同じようにインターネットライブ配信での捜査を提案する。
一方、警察内部でもこの事件に対して騒ぎになっており、本当に殺人が行われているか議論になっており…
■きっと読みたくなるレビュー
力作ですね、タイトルや装画からは想像できない骨太な作品でした。
新人先生ということもあってどんなもんかと思いながら読み進めますが、正直序盤から中盤あたりまでは大丈夫なのかこれは…と思ってました。劇場型犯罪や猟奇殺人といった設定は多少は考えられてるけど、筋や文体は月並みだし、ロジックもぱっとしない、登場人物も派手なのか地味なのかよくわからない。うーん、なんか心配だなぁと…
ところがどっこい中盤以降から、一気に面白味と重厚感が増してくるんです。なるほど、だから前半はありきたりに感じたのか、まさにこれが狙いなんですね! ミステリーにおける探偵や推理の不安定さを表現してる。技ありですね。
さらに終盤に至るまで事件は混沌としていて、真相がさっぱりわからないんですが、突然するするとロジック展開がされる。やり取りに会話も綿密だし理解しやすい、想像の斜め上をいく真相なんです。そしてこれまでの提示された情報が回収され、これぞミステリーって感じで解き明かれる様が気持ちいい!
キャラクターも実はしっかり考えられているんすよね~ 一見キャラ小説かと思いきや、当初は見えづらかった背景が明るみになってくると…ガッテンガッテン、納得ですよ。いやー策士でした。
鋭角な角度で切り込む策略が詰まった本格ミステリー、これからの作品も楽しみです。ちなみに先生は愛知県出身ですかね、登場人物の名前を見ればすぐにわかります。桜通、鶴舞、東山、名城、青波、犬山、飯田… ん~、聞いたことある。私も同じなのですぐにピンときましたよ。
■ぜっさん推しポイント
YouTube、スポティファイをはじめ、各種SNSがはびこる現代。誰でもどこでもいつでも、すぐに自身がメディアになれてしまう。音楽も文芸もお笑いもバラエティも、何でもかんでも世に出せるいい時代です。
でも…思い通りにならない人生、生きることの難しさを肌で感じましたね。どんな時代であっても、またどんな環境に身を置くことになっても、結局は自身の選択によって、それからの未来が決まるということを忘れずにいたいですね。