パトリシアハイスミスのレビュー一覧

  • 11の物語

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    ハイスミスの短編は、タイプの異なる独特な世界観がコンパクトに詰まっていて、とても面白かった。

    ハイスミスの魅力は何と言っても心理描写。
    主人公の頭の中を覗くように「なぜそんなことをしてしまうのか」が見えてきて、人間の本質が浮き彫りになる。

    最初は「この人ヤバい」と思っても、だんだん「でもそうなる気持ちも…」と共感してしまうこともあって、善と悪の境目がグラグラしてきてクセになってくる。

    私は頭の中で、不安や心配なことを自問自答して脳内反省会をしてしまう癖があるので、登場人物たちの不安や、それを必死に落ち着かせようとする姿に共感してしまった。

    これで自分が読むハイスミス作品は4冊目。『太陽

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    2025年09月10日
  • 11の物語

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    以前「見知らぬ乗客」だったかな?デビュー作、めずらしく投げ出してしまったが、数年ぶりに手に取ってみて正解でした。きっと自分が成長したのだろう(と思いたい)。
    かたつむりに魅せられた男の奇妙な話とか(なぜかカタツムリの話が二編も入っている。ハイスミスはカタツムリに何か思い入れがあるのだろうか)、日常の延長線上に待ち構えていそうな、夫婦の最悪な結末が描かれている「モビールに艦隊が入港したとき」とか、私が好きな主題のひとつである”いかれた人”たちが描かれている「ヒロイン」「アフトン夫人の優雅な生活」とか。不気味、とは違うんだけど、どこか一本ずれているような世界に酔い続けていられる短編集でした。

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    2014年06月09日
  • 11の物語

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    全部読み終わってみると星ごこ付けずにはおれんかった…。やはりかたつむりです。かたつ無理。
    単純に端的に最大の こわい・きもちわるい かたつ無理が表現されているとおもいます。たまらん。
    全体的には救いようがない感じ。もやもやぞわぞわしながら、悪いことがおきそう、だめなオチがきそう、と思いながら読んで、あ、だめなパターンやな、となります。「すっぽん」「からっぽの巣箱」とデビュー作やという「ヒロイン」がよかった。ぞわぞわしながら読みました。あっ、いちばん好きなのはかたつ無理の2作ですっ!

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    2012年10月13日
  • 11の物語

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    何といってもかたつむり・・・。食欲をなくすにはぴったりの作品をはじめとした短編集。文学的なものを読みたいけど、長編は、というときにいいかも。 心の中の不安をゆっくりとかき混ぜられるられるような。 狂気のふちを爪先立ちで歩くような。その境目は決して高くない。いつ向こう側に渡っていても、気づかないくらいの危うさ。

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    2011年09月19日
  • 11の物語

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    変な言い方かもしれないが、上品でしっかりしたクラシックなホラーで心地いい。ちょっと長いが星新一みもある。短いスティーブン・キングみもある。

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    2025年10月02日
  • 11の物語

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    ネタバレ

    ヴィム・ヴェンダース監督「PERFECT DAYS」(パーフェクトデイズ)にて、平山(役所広司)の妹の娘ニコ(中野有紗)が、平山の部屋の文庫本を読んで、
    「おじさん、わたし、この『すっぽん』って話好きかも。ヴィクターって男の子の気持ちがわかるっていう意味」
    母が迎えに来たとき、
    「おじさん、ねえ、おじさん。わたし、ヴィクターみたいになっちゃうかもよ」
    という場面が強烈だったので、積読を崩してみた。
    勝手に初読のつもりでいたが、実は「厭な物語」(文春文庫)で「すっぽん」のみ既読だった。
    再読してみて、確かにこの作品への言及は大きい要素だなと思った。
    また、他の短編も読んでよかった。
    作者が同性愛

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    2025年07月22日
  • 11の物語

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    ミステリー仕立ての純文学という感じで普段あまり読まないタイプ、というか似てる人があんまいない感じがする。たまにはこういうのも良い。
    『ヒロイン』という短篇が一番印象に残ったなーと思いながら解説を読むと、デビュー作だったらしい。初めて触れる作家だとばかり思ってたけど、映画『太陽がいっぱい』やヒッチコック『見知らぬ乗客』の原作者であったとのこと。改めて観直してみたくなった。

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    2025年04月13日
  • 11の物語

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    シャーリイ・ジャクスンから毒気を少しばかり抜きとり、世にも奇妙な物語をひとさじ足したような作品集。
    「すっぽん」は他の短編集で読んだことがあったけれど、ハイスミスの作風がここまでバラエティ豊かだとは!

    ヒッチコック風の「かたつむり観察者」、シャーリイ・ジャクスンみを感じる「愛の叫び」「野蛮人たち」、切ない読後感の「もうひとつの橋」が特に好き。
    日常に得体の知れないなにかが入り込み、もう今までの日々には戻れない...という「からっぽの巣箱」もよかった。
    ある事象が起きたときに、なぜか過去のやましい記憶を(ほんとうはなんの関係もないとしても)関連づけてしまう、不思議な感覚に共感を覚える。

    すっ

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    2025年02月13日
  • 11の物語

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    映画「perfectdays」にて取り上げられた本。
    それを機に読む人も多いだろうが、私もその1人。
    映画の中で、「不安を描く天才」と評されていたハイスミスだが、まさにその通りだと感じた。
    人間の根底にある、軸としてある恐怖や狂気を短編で上手く表現している。ハイスミスならではの、含みのあるラストは読者の不安感を拭わせることは無い。

    短編でサクッと読めて、それぞれ違った物語が展開されつつも、全体的なテーマとして不安がある。バッドエンド好きには刺さりそう。

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    2025年01月04日
  • 11の物語

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    面白いね
    解説で稀有な作家と評されるがまさにその通りだと思う。
    いわゆる人間の心理を描く繊細さが群を抜いて優れている。
    11個の短編の登場人物全てが印象的だった。
    それはなぜか。
    その答えは彼らが唯一無二であるからだ。
    現実の個人が全て異なるのならば、小説の世界の個人もまた全て特異であるべきだ。
    この理想にパトリシア・ハイスミスは究極的に漸近した作家といえる。

    つまり、登場人物のそれぞれが何かの経験をした時に生じる心理的運びが異様で、奇妙である。
    「そうはならないだろ」と突っ込みたくなるが、ふと思い直す。

    他者の心理など理解できないのが普通だ。他者とは本来的に奇妙で理解できない存在のはずだ

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    2024年08月21日
  • 11の物語

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     短編なのに読み応えがあり、世界観が出ているのが凄い。作者自身がカタツムリ好きなのが分かる。カタツムリが出てくる作品って珍しいのに、11の物語の中で2回も出てくるなんて。「クレイヴァリング教授の新発見」は衝撃でした。あっさり見つかるところから始まるのが意外。
    個人的には「すっぽん」と「ヒロイン」が好きでした。

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    2024年05月07日
  • 11の物語

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    映画『太陽がいっぱい』の原作であるトム・リプリーものなどで知られるパトリシア・ハイスミスの短編集。タイトル通り11作品を収録している。原題は“Eleven”(アメリカでは“The Snail-Watcher and Other Stories”として刊行)。原著は1970年刊、短編集としては最初のもののようだ(短編自体はずっと以前から書いており、例えば収録作の1つである「ヒロイン(The Heroine)」は1945年に発表されている)。日本での刊行は1990年、その後、2005年に改版されている。
    サスペンスやミステリとして評価されがちなハイスミス作品だが、本人はそう見られることを必ずしも快

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    2024年04月15日
  • 11の物語

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    ハイスミスが1970年に出した短篇集。処女長篇『見知らぬ乗客』以前に書かれたものも含む。グレアム・グリーンの序文付き。


    ハイスミスって短篇もこんなに上手いのかと驚く(長篇もまだ『キャロル』しか読んでないけど)。ものすごく型がきっちりしているので展開は読めるのだが、スリリングな語り口に引き込まれ、不安を掻き立てられてしまう。津原泰水が自作『11』の解題で『ナボコフの1ダース』と一緒にこの『11の物語』を引き合いに出していたけれど、たしかにナボコフを連想させる技巧派だなぁ。
    しかし何が面白いって11作収録のうち2つもヒトがかたつむりに殺される話が入ってるとこ(笑)。普通サイズのかたつむりが大量

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    2020年07月08日
  • 11の物語

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    別のアンソロジーで「すっぽん」を読んでから、ハイスミスの短編が読みたくて探していた一冊。
    後味が悪いというのとはちょっと違う、自分が今立っている地面がゆらゆらするような不安感というか、異常と正常を隔てる薄い膜が双方向にたわんで、破れそうでギリギリ保ってるようなヒリヒリ感というか。読んでて疲れる一冊。

    前書きと解説を読んで、何故か藤村操を思い出した。
    "万有の真相は唯一言にしてつくす、曰く、不可解"

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    2020年03月08日
  • 11の物語

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    「太陽がいっぱい(リプリー)」の作者でもあるハイスミスの短編集。
    デビュー作「ヒロイン」を含む11編が収録。
    「かたつむり観察者」では、淡水に棲むというカタツムリ(料理用)の生態に興味を持った主人公が書斎をカタツムリに占領され。。。
    どんどん繁殖していく様子が丹念に描かれて恐怖感をあおる。
    「クレイヴァリング教授の新発見」では、南海の孤島に棲むという巨大カタツムリを探しに行った教授が味わう恐怖を描いている。実際何メートルもあるカタツムリが襲ってきたらいくら動きがのろくても怖いだろうな。

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    2015年10月22日
  • 11の物語

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    気持ち悪いです。
    かたつむり恐怖症になることうけあいです。
    ありえない展開にどきどきします。
    短編集なので、読みやすくておすすめです。

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    2009年10月04日
  • 11の物語

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    「もうひとつの橋」がよかったかな……。個人的には好きなのはあの2人のお婆ちゃんたち。次のチャンスを虎視眈々と狙う。

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    2025年09月01日
  • 11の物語

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    11の物語からなる短編集。
    映画「PERFECT DAYS」に出てきたことをきっかけに本書に興味を持ち、読んだ。
    11ものストーリがあるので、好みのものとそうでないものがあるから、星を付けるのはなかなか難しい。
    一番良かったのは、最初の「かたつむり観察者」。何とも言えないおどろおどろしさに、読んでいる最中にゾクゾクし、読み終わってからもジワジワと脳裏に残った。
    全体を通して不穏な空気がそこはかとなく感じられるのは彼女の技量であり、らしさなのであろう。

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    2025年06月20日
  • 11の物語

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    「太陽がいっぱい」で有名なハイスミス。といってその作品は読んだことがないし、映画もまた観たことがない。なんとなく手に取った本作ですが、意外や意外楽しめました。

    とにかく・・・かたつむり!!気持ち悪くって忘れることができないほどのインパクト・・・

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    2025年04月28日
  • 11の物語

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    題名通り、11編を収録した短編集。
    心を壊してしまった人の話や、人が心を壊していってしまう話が多めなので、読後感はあまりよろしくない。

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    2025年01月19日