上阪欣史のレビュー一覧
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■「鉄は国家なり」というかつての栄光を自ら解体し、真のグローバル企業へと転生を遂げる日本製鉄の壮絶な記録。特筆すべきは、USスチール買収を巡り、米国政府すら事実上の喧嘩相手とするほどの強硬な姿勢。そこにあるのは単なる規模の拡大欲求ではなく、現状維持を死と定義する極限の危機感に他ならない。
■中国勢の台頭という地政学的リスクを冷徹に見据え、技術的優位を確実に収益へと変換する構造改革の断行。そして成長の軸足をインドへと移す果敢な決断。過去の成功体験という重石を捨て去るための、経営陣による徹底的に合理的な狂気とも言える凄まじい執念が全編に横たわる。
■結局、組織の命運を分けるのはシステムや -
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アメリカの鉄鋼大手USスチール買収で度々話題に上る日本製鉄。
八幡製鉄所を源流に持ち、日本の製造業を屋台骨で支えてきた企業だが、その巨大さゆえに意思決定と変化に時間がかかり、2020年前後には主力の鉄鋼事業で2期連続の赤字となる。
橋本社長のもと抜本的な改革を進め、高収益体質に生まれ変わりつつある日本製鉄の改革の裏側が、綿密な取材を基に綴られている。
冒頭に鉄鋼の加工工程や業界の簡単な解説があり、その読後は鉄鋼業界に馴染みのない私でも、明らかに読みやすくなった。
変革にあたっては大きく3点がポイントとなった。
1点目はいきすぎた顧客至上主義のもとで、適切な価格設定ができていないという点を改善 -
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かっての日本の「戦艦大和」とも言うべき「新日鉄」が海底から再生復活した。
そんな驚きとインパクトのある「日本製鉄の転生」は1990年から続く閉塞日本再生の狼煙!
要点は①国内スリム化の断行②グローバル進出と買収の加速を迅速かつ大胆に!
2024/03/21 「日本製鉄の転生」☆ 秀逸だが「日立の壁」が上
橋本英二社長 一橋大学卒で反骨精神から海外事業の亜流へ
だからこそ会社の危機にしがらみを断った「スクラップ&ビルド」革命
三枝匡氏を経営の師として仰ぐ 一橋祭委員長 熊本人吉高校
やはり危機時のTOPに人を得られるか
Harvard大学院留学と海外事業・ブラジル勤務経験のキャリア
1.橋本革命 -
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USスチールの買収でその手腕が注目される日本製鉄だが、その前段の収益改善に関する取材をまとめたノート。単なる事実の羅列ではなく、新聞記者ならではの経営者への深い食い込みが本書の魅力だ。
特に印象的なのは、コロナ禍という逆風の中で、日本製鉄の橋本英二社長が顧客との価格交渉に粘り強く臨んだ舞台裏の描写だ。かつて「公的なインフラ」としての役割も期待された鉄鋼メーカーが、いかにして「収益を最優先する企業」へと変貌を遂げたのか、そのトップダウンでの強力なリーダーシップと覚悟が、臨場感をもって伝わってくる。
コスト削減のために高炉の休止・整理という、苦渋の決断を下すに至った社内の葛藤や議論の様子も克明 -
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US スティールの買収に絡んで、米国大統領を訴えた男、橋本英二氏。異端な人とされているが、立派な経営者だと思った。一時的な感情に過ぎないが、日本製鉄で働きたくなった。
日本製鉄は、社内に「物事を慎重に進め、あらゆる局面で社内調和を重んじるカルチャーがある」(p.89)という点で、典型的なJTC(Japanese Traditional Company)と言える。そんな中にあって、異端児と目された橋本英二社長だからこそ、経営の改革を実行し、攻めの経営を実践できたのだと思う。釜石製鉄所勤務時代には、「人は現状に安住して変化を嫌うということを身に染みて感じた」そうである。まさにJTCの典型である。 -
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■「転生」とは生まれ変わること。典型的な重厚長大産業が、生まれ変わるほどの社内変革を遂げた。
■それを指揮した橋本英二社長の決断の物語。彼の決断を支える人たち。
■記者が同社の様々な人にインタビューして話をつなぎ合わせて、見えてきたもの。
■どのように課題を特定し、優先順位を付けて、どんな仕組みを作って、どう運用したのか。どこに重点があると見たのか、何が転機になったのか、もっと浮彫にしてほしいところ。
■転生の物語だが、一番興味深いのはやはり第9章のリーダーシップが書かれているところ。結局、会社の変革はトップの覚悟なんだと思わされる。
■この裏には大量に解雇された人員がいることも、文中にさりげ