あらすじ
USスチールを2兆円で買収する大胆な決断は、この変革の延長線上にあった!
過去最大の最終赤字4300億円を計上した年から約5年、瞬く間に復活し戦線を拡大する日本製鉄。
その裏には、血のにじむような構造改革とやるべきことを最短距離で実行する企業風土への変容があった。
「動きが重い」と言われてきたかつての姿は、もうそこにはない。
重厚長大産業の中でも、代表格である日本製鉄の「転生」を描いたノンフィクションが誕生。
日本の伝統的な大企業はこんなにも変われる!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
橋本英二という偉大な男が、日本製鉄を再生させる過程を知ることができる。
「利益を最大化する方法を常に考え抜き、決めたことはやり切る」姿勢を、入社当時から一貫。強い日本の復活のために、尽力する姿勢がひたすらカッコいいです。
Posted by ブクログ
アメリカの鉄鋼大手USスチール買収で度々話題に上る日本製鉄。
八幡製鉄所を源流に持ち、日本の製造業を屋台骨で支えてきた企業だが、その巨大さゆえに意思決定と変化に時間がかかり、2020年前後には主力の鉄鋼事業で2期連続の赤字となる。
橋本社長のもと抜本的な改革を進め、高収益体質に生まれ変わりつつある日本製鉄の改革の裏側が、綿密な取材を基に綴られている。
冒頭に鉄鋼の加工工程や業界の簡単な解説があり、その読後は鉄鋼業界に馴染みのない私でも、明らかに読みやすくなった。
変革にあたっては大きく3点がポイントとなった。
1点目はいきすぎた顧客至上主義のもとで、適切な価格設定ができていないという点を改善したこと。長年の慣行により自動車メーカーをはじめとして顧客に価格決定権があり、原料事情や日本製鉄が製造で生み出す付加価値を適正に価格転嫁できていなかった。
原料価格の高騰というのっぴきならない状況もあり、場合によっては価格を上げなければ供給は続けられない、という旨を伝えることも辞さないくらいの姿勢に転換し、価格決定力を持つようになった。
2点目は、日本製鉄の象徴でもある高炉にもメスを入れ、不採算の高炉は廃炉とするなど、徹底的な構造改革したこと。
3点目は、利益率の高い高級鋼へのシフトを強めつつ、それらの競合に簡単には代替できぬよう、顧客に対してはその加工方法などもセットで提案し、付加価値をつけたこと。
これらは製鉄業界に限らず、メーカー全般の意識改革として活かせるものであると思うので、自分自身の今後の営業の考え方としても記憶に残しておきたい。
Posted by ブクログ
USスチール買収騒動でメディアを賑わす日本製鉄。アメリカ政府との徹底抗戦の姿勢は素晴らしいと思ったが、このまま両政府首脳会談の結果で微妙な感じに終わるのか。個人的には、秘策があるはずだと思っている。そして、その確信は本書を読んで強まる。何かと応援したくなるが、そう思うなら、既に本書や会社の術中にハマっているのかも知れない。こういう本や取り組みはリクルートにも良いだろう。貰い火による、正統派炎上商法とも言える。
ミスミをV字回復させた三枝匡に影響を受けたのだという。同様に日本製鉄をV字回復させた社長橋本英二の取り上げ方は、さぞかし名誉なことだろう。社長だけではなく他の社員、スタートアップを立ち上げた若手、現場の職人まで満遍なくスポットを当てていること、また、構造改革の取り組みにおいては、最初に合理化を進め、次にM&Aを進めという、ドラマティックな描きが本書の面白さ。文字で読むプロジェクトXみたいだ。
ー 値上げ交渉が完全に暗礁に乗り上げた顧客にはどう対応したのか。通常なら価格優先でシエアを追いたくなる。だが、橋本は違った。「値上げで取引数量を減らされてシェアを奪われるなら、それはそれで構わない」。営業の面々をこう論したのだ。そして、最後にこう付け加えた。「俺が責任を取る」と。さらに、「営業が努力しても黒字化の見込みが立たない場合は撤退する」という選択肢も議論するようになった。橋本はシェアには目もくれなかった。販売動向が気にかからないといえば嘘になる。それでも橋本は、「営業にシェアは一切聞かない」と自らを戒めた。シェア至上主義から解き放たれた営業部門の面々は、顧客と堂々と渡り合うようになった。
コスト高や賃金アップの渦中、値上げに関しては似たような会社が今は増えただろう。だが、当時このようなスタンスは珍しかったと思う。また、電磁鋼板の件でトヨタを訴えたことも、今の日本製鉄のUSスチール騒動を期待させる。
ギガキャストやホットスタンプ、水素還元などの技術的な内容も分かりやすかった。全体的に、満足感の高い内容。
Posted by ブクログ
会社を変えるのはトップのリーダーシップであり、民主的な意思決定ではなく、型破りでスピード重視の行動。
重厚長大なレガシー企業に身を置いているが、自社ではとても実現できないだろうと感じた。
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大企業で、人の心を動かすのが難しい、変革が難しいなか、パワフルに社長が物事を変えていく。結果がうまくいくかどうかは分からないなか、ハラハラだったけど、その選択肢を取らねば会社が駄目になるよりは、という決意。自分の仕事はそのようなことに全くおよばぬが、気持ちは心に入れておく。
Posted by ブクログ
・使命感、責任感、優れた説得力を持ち、具体的な行動に移せるリーダー
・論理と数字が全て
・集中治療室(特に収益体質が脆弱な拠点)
→課題と打ち手を細部にわたって幹部と共有し、甘えを許さずに実行を促す。現場からも意見を吸い上げて拠点ごとのマネジメントに反映して
・国内自動車メーカーとの理不尽な値決めの慣習を破る
♯あるべき論に立ち返る。橋下さんは海外にいたから、正しい姿を体感していて、だから実践もできる。
♯私は何か見落としてないだろうか、やるべきことをちゃんとやろう。
Posted by ブクログ
M&Aを含む企業変革の中で、一種の大企業病に侵された企業を再興する非常に興味深いノンフィクションストーリー。
・資産圧縮、リストラを含むコスト改善
・大得意先にも怯まぬ値上げ交渉
・改善により生まれた資金による更なる成長投資
同じ製造業で働く身として、非常に参考になる、勉強になる内容であった。
Posted by ブクログ
かっての日本の「戦艦大和」とも言うべき「新日鉄」が海底から再生復活した。
そんな驚きとインパクトのある「日本製鉄の転生」は1990年から続く閉塞日本再生の狼煙!
要点は①国内スリム化の断行②グローバル進出と買収の加速を迅速かつ大胆に!
2024/03/21 「日本製鉄の転生」☆ 秀逸だが「日立の壁」が上
橋本英二社長 一橋大学卒で反骨精神から海外事業の亜流へ
だからこそ会社の危機にしがらみを断った「スクラップ&ビルド」革命
三枝匡氏を経営の師として仰ぐ 一橋祭委員長 熊本人吉高校
やはり危機時のTOPに人を得られるか
Harvard大学院留学と海外事業・ブラジル勤務経験のキャリア
1.橋本革命のポイントは二点
①国内事業は高炉の廃止によるスリム化
②海外は積極展開-特にアジア・・・インド・東南アジア
直接投資とM&A
判りやすい 問題は実行力=胆力
3.理論の裏付け
固定費の削減
キャッシュの捻出
環境変化 固定費7割→変動費7割 原料費の高騰
3.「デジタル製鉄所」
「職人芸=暗黙知」をデータ化・見える化して「AI化=形式知」
製鉄業の新たなビジョン
吹っ切れて改革へ邁進
4.人材の豊かさ
さすが新日鉄 そもそも高レベル人材 育成の投資 成長
いままでは実践の機会が少なかった閉塞感
5.新しいビジョン・戦略→やはりDigital&Global
30年の低迷を経て世代交代
新たな挑戦の時代へ
組織の力・エネルギーを解放
→今、日本経済の活性化に繋がりつつあるように思える
Posted by ブクログ
「鉄の巨人」と称される日本最大の鉄鋼メーカー。従来は、伝統的な日本の会社として堅実な経営方針を取っていた。しかし、日本経済の停滞とともに業績悪化に見舞われることになる。そこで、新社長になった橋本氏を筆頭に会社改革に舵を切る。最近は米首位の鉄鋼メーカー、USスチールの買収など積極的かつ大胆な経営が行われているその裏側を追ったのが本書である。鉄鋼業界のトレンドや日本製鉄社員の様々な思いなどが綴られた大作となっている。
Posted by ブクログ
良書。著者のものづくりへのリスペクトが底流に感じられる。危機に直面した大企業がトップのリーダーシップで再生するという点で日立製作所に似た印象を受けた。
日立の川村隆元会長の著書『ザ・ラストマン』も併せて読むことをおすすめします!
Posted by ブクログ
USスチールの買収でその手腕が注目される日本製鉄だが、その前段の収益改善に関する取材をまとめたノート。単なる事実の羅列ではなく、新聞記者ならではの経営者への深い食い込みが本書の魅力だ。
特に印象的なのは、コロナ禍という逆風の中で、日本製鉄の橋本英二社長が顧客との価格交渉に粘り強く臨んだ舞台裏の描写だ。かつて「公的なインフラ」としての役割も期待された鉄鋼メーカーが、いかにして「収益を最優先する企業」へと変貌を遂げたのか、そのトップダウンでの強力なリーダーシップと覚悟が、臨場感をもって伝わってくる。
コスト削減のために高炉の休止・整理という、苦渋の決断を下すに至った社内の葛藤や議論の様子も克明に描かれており、読後は彼らの「覚悟」を追体験したかのような読後感を得られる。日本製鉄のファンはもちろん、製造業の経営戦略や、日本経済の未来に関心があるビジネスパーソンにも一読の価値あり。
Posted by ブクログ
US スティールの買収に絡んで、米国大統領を訴えた男、橋本英二氏。異端な人とされているが、立派な経営者だと思った。一時的な感情に過ぎないが、日本製鉄で働きたくなった。
日本製鉄は、社内に「物事を慎重に進め、あらゆる局面で社内調和を重んじるカルチャーがある」(p.89)という点で、典型的なJTC(Japanese Traditional Company)と言える。そんな中にあって、異端児と目された橋本英二社長だからこそ、経営の改革を実行し、攻めの経営を実践できたのだと思う。釜石製鉄所勤務時代には、「人は現状に安住して変化を嫌うということを身に染みて感じた」そうである。まさにJTCの典型である。
本当は変化をさせた方が改善され効率化が進むのに、変化させると新たに覚えたり、それまでの行動や思考も変化させなければならなくなることがあるので、これを面倒に感じるということが変えたくない理由だろう。まさに安住である。勤務先にも一定数、このような人は観察される。
橋本氏は、「社員の給与をどれだけ増やせたか、それが社長としてこだわる指標」とも述べている(p.270)。同じような発言をした社長は他にも複数いる。共通しているのは業績を伸ばしている、ということである。
Posted by ブクログ
JTC代表のような会社の復活劇、現在USスチール買収で急に海外の会社を取り込もうとしているように見えていたが、様々な海外の会社の取り込みを順次やってきたから今があることが分かった。国内だけでは成長出来ず、世界規模でポートフォリオしないと生き残っていけないこと、また強烈なリーダーシップが必要なこと、JCTも変革していることを学ぶことが出来た。
Posted by ブクログ
日本製鉄という大企業のヒストリー、世界から注目されるUSスチール買収。
日鉄側のインタビューに基づくものなので、俯瞰して読むようにしましたが、徹底した取材により日鉄の内部を覗き見しているように入り込め、買収成功を願わずにはいられなくなります。
Posted by ブクログ
思っていたよりもさらにスゴかった
改革が実を結びそれが賃金として
跳ね返ってくるとか最高だよなと思う
改めて人の大事さと共に全員が全員
そうではないと気づかせてくれる
Posted by ブクログ
リーダーとはどうあるべきかを学べた。鉄は国家なりという言葉があるが、全くその通りでありそれを支えているのが日本製鉄。様々な取り組みにおける規模感においては相当な覚悟がなければできないと思った。行動で人を動かすリーダーであった。
Posted by ブクログ
なかなかに面白かった。
こういうビジネスに関わる本は読んできてなかったので余計に良かった!
日本製鉄の再生の物語。
正直言って、まだこんな会社が日本にはあるんだって思った。
決断、戦略、根気、忍耐。
かっこよすぎる部分はあるものの面白い。最後はやり切る力。
国内の需要を整えるだけでなく、海外に製造から加工までできる拠点作る積極性。
事務系から現場の人間まで活躍している人物が多岐にわたっている点も素晴らしい。
Posted by ブクログ
■「転生」とは生まれ変わること。典型的な重厚長大産業が、生まれ変わるほどの社内変革を遂げた。
■それを指揮した橋本英二社長の決断の物語。彼の決断を支える人たち。
■記者が同社の様々な人にインタビューして話をつなぎ合わせて、見えてきたもの。
■どのように課題を特定し、優先順位を付けて、どんな仕組みを作って、どう運用したのか。どこに重点があると見たのか、何が転機になったのか、もっと浮彫にしてほしいところ。
■転生の物語だが、一番興味深いのはやはり第9章のリーダーシップが書かれているところ。結局、会社の変革はトップの覚悟なんだと思わされる。
■この裏には大量に解雇された人員がいることも、文中にさりげなく書かれている。
Posted by ブクログ
日本製鉄が2020年頃にメチャクチャな経営危機にあったことも、そこから華麗なV字回復を決めたことも全然知らなかったが、その道筋を非常に興味深くまとめた一冊。改革としてやった内容は、固定費削減・価格競争からの脱却・低利益率顧客の整理・海外展開のためのM&A等、王道と言えば王道なのだが、それを10兆円企業で柵の塊である日本製鉄でやり切ったのがとにかく凄い。当時社長の橋本さんの剛腕が光る。
橋本さんは何となく富士フイルムの古森さんや日本電産の永守さんを思い起こさせる。やはり有事には、こういう強いリーダーが必要なんだなと改めて実感した。
Posted by ブクログ
鉄鋼業界については全く把握していなかったが、分かりやすく理解しながら読むことができた。
高コスト低利益だった企業体質の改善に向けた取り組みは他業界にも流用できる考え方だったし、企業のトップとしてのマインドは勉強になった
Posted by ブクログ
長期的視野を重視することは簡単なことでは無いと感じます。経営者は自身の代で成果を挙げるために短期的な活動をする傾向があると思います(これは四半期決算に端を発する気がしますが)。
日本製鉄トップの判断はある意味異端で、他の日本企業経営者も同様に安易に真似できることでは無いです。国が一丸となって企業文化として、長期的経営判断を助長するような仕組みが必要不可欠だと感じました。
Posted by ブクログ
これは久々に胸が熱くなる企業再建ストーリー
新日鐵が鹿島の高炉を休止するニュースは聞いて驚いたが、まさかここまで巨額の赤字を出していて、会社が潰れかけていたとは。。。
売れば売るほど赤字の名古屋製鉄所
価格は買い手が決定
トヨタには特許を無断使用され、、、
トヨタを訴えるところまでやったのは、本当に、英断だと思う。
日本製鉄何十万人の雇用を守った現社長は、日本の経済を救ったとも言える。
Posted by ブクログ
投資先を検討していた際に、
目につき手に取る。
変わることの難しさを改めて教えてくれた。
その中で変化していく企業は強いんだと信じたい。
工場も見学してみたい。
Posted by ブクログ
強い信念のもとでブレずに働く事で周りを巻き込んで大きな事を成すことができることが改めて良くわかった。
細かい取材と様々な立場の方々のインタビューに基づいた説得力のある本でした。
ただ、中盤が専門的過ぎてついて行けなくなった事と、持ち上げすぎにも感じた。
Posted by ブクログ
序盤だけ面白かったけど、途中から技術の細かい話ばかりになって急速につまらなくなった。
最近読んだユニクロみたいな本と違うところは柳井さんみたいに巨大な熱量を持った人にフォーカスしてないところなのかな。
この本だとただの企業史という感じ。