三木三奈のレビュー一覧
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ネタバレ表題作と、「アキちゃん」の二作。
表題作は芥川賞候補作。
読んでいて、ずっとイライラするような、嫌な気分になるようなお話。
お客さんのおばさんはムカつくし、仕事を紹介してきた友達も話が違うし、めちゃくちゃストレスがたまる。でもこういうことって、生きていればあるよな…って思うけど、それだけではなくて、主人公はどこか変。遠距離の恋人とは、もう別れている感じなのに、事前に行くことも言わずにクリスマスに高速バスで来ちゃうし、結局会えずにすぐに他の友達?との約束を取り付けてまた新幹線に乗って戻るし、貯金カツカツなのに美容院の予約(しかも結構高い)しちゃうし。
持ち物も置いたところに置いてきちゃうし。
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Posted by ブクログ
芥川賞候補作の「アイスネルワイゼン」では、諸事情あり会社を退職したピアノ講師・琴音が主人公。生徒、友人、仕事先、それぞれの相手と厭な含みを感じさせる会話のやりとりが巧みだと思った。適当に生きているように見える人も、実は重たいものを一人で抱えながら地獄を歩いているのだろう。ラストは急に安倍公房みたいでちょっと笑ってしまった。
文學界新人賞受賞のデビュー作「アキちゃん」は、小学5年生時のクラスメイト・アキちゃんに対する主人公の恨みつらみが綴られていく。性格の悪いアキちゃんのサンドバッグ的役割を担わされた、転校するまでの暗黒の1年間。叙述トリック要素があってやや驚かされた。
二作とも盛り上がりやカタ -
Posted by ブクログ
ネタバレ嫌な感じ(孤立する人間性、孤立させる己の傲慢さ)を徐々に浮き彫りにする手腕はそのまま、やっぱりどうしてもキャリーバッグのくだりが腑に落ちず。。
怒りの矛先がわからなくなる、急に大きな声を出す、在処のわからない強い感情をぶつけてしまう、そんな彼女がマックで若い女の子に「ただの良い人」として認定されるその一瞬、彼女は自分の感情の名前がわからなくて泣ける。
彼女のわからなさ、自分は何と戦っているのかわからないが故の不気味さと苦しさを、個人的には物理的な重さにたとえてほしくなかったけど、しかし移動するキャリーとその中身がずっと伏線(中身が軽くなるほど行き場がなくなる)としての小道具であるし、彼女自