三木三奈のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
まず、会話劇が多かったので一気に読み切ってしまった。
内容についての感想を一言で表すなら、自分の腹黒さをグワっと明るみに出された小説、だ。普段人前では出さない自分の意地悪感情だったり人から隠したい羞恥心だったりを、この小説の主人公は丸出しにしている。「こうゆう意地悪なこと友達に言いたくなっちゃうなあ(言わないど)」「こうゆう意地悪なこと考えちゃうなあ(態度にはださないど)」みたいな、自分の中の黒いドロドロした側面を、小説の主人公はこれでもかと表に出している。
そんな主人公に共感し自分の中の腹黒性格に向き合いつつも、だからといって自分は行動に移したりしないなーと若干引いたスタンスで一気読み。
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Posted by ブクログ
女同士の電話のやりとりや
密やかなおしゃべりを
わざわざ聞かされているようで
そこには嘘や駆け引き
見栄、嫉妬みたいなものが
むせるほど渦巻いているから
ずっと息苦しくて落ち着かなかった。
主人公を含めた女の人たちみんな
幸せそうではなく
情緒不安定な感じで
ときどき感情を爆発させながらも
それぞれの関係は
なんとかバランスを保っていて
それがいつ、どのように崩れるのか
最後まで緊張感があった。
PTSD→PPAP
人間じゃない→人間味がない
友人の言い間違いに吹き出していたら
主人公の鬱屈や焦燥の中
もがき、苦しみ、怒り、あきらめ…
いろいろな感情をぶつけられた。 -
Posted by ブクログ
アイスネルワイゼン
琴音の、苛立ち、揺れ、仮面、悪意、不本意な選択…。上手くいかない日常に潰されそうな、どうしようもない状況。
このどうしようもなさを諦めず超えるには大きな苦しみを伴う。完全に壊れてしまわないように自分を大切にし、時間をかけて超えて欲しい。そして、苦しんでいるからこそ、彼女の弱さや、脆さ、浅はかな行動が、優しさ、強さ、思慮深さにいつか繋がって欲しい。でもやはり、できれば全てをそのまま包み込んでくれる信頼できる人に出会えることを祈る。
アキちゃん
「人を憎むということは、ほとほと疲れ果てることなのだ。 それは火柱を遠くからながめることではなく、自らを燃やして火柱をつくることなの -
Posted by ブクログ
ネタバレアイスネルワイゼン⭐︎⭐︎⭐︎
初めは彼女に同情させられていたものの、物語が進むにつれ何かがおかしいと感じていく。彼女が見ている世界を認識させられ、共感したくないのに共感してしまう。
登場人物の性格の悪さが際立つ中で、琴音の性格の悪さが群を抜いている。読んでいても、なんでそんなこと言うんだ。なぜそんな行動を?と言いたくなるような行動しかせず、琴音から目が離せない。
琴音に同情するのなら、幼少期から自分が本当に欲しいものではなく、母から託された夢を抱えて生きてきたが故、自分の手元に残る物が何もかも重く感じる。だからこそ自分にまとわりつく重たい物を全てを捨てたのに、追い打ちをかける最後の台詞。こ -
Posted by ブクログ
ネタバレアイスネルワイゼンとアキちゃんの二本立て。
アイスネルワイゼンは心情ゼロ。会話ベース。
いろいろ心無いこと言われて、最後は立つことさえできなくなってしまう。会話だけで、その人の考え、心だとは思わないようにしないと。
アキちゃん
いじめられたことがある人は共感できそう。普通に女子みたいなイメージで読んでたけど、男の子に産まれた心は女の子の話。でもそれにしたってイジメは最悪だよ。
憎しみについて詳しく書かれていておもしろい。憎しみにもパワーがいるんだよね。カルマとか宗教的なことも書かれていたんだけど、これってアレのことかな?と思ってしまった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ浅井リョウさんが、おすすめしていて読んでみた。確かに会話がずっと続いて、、、主人公の気持ちが一切書かれていないことに、歯痒さ、気持ち悪さを感じる。どうなの?どう思ってるの?と思わせる様な、災難や、相手との会話が淡々と綴られて最後、立っていられなくなるくらい泣くと言う終わりかたに、あぁ、やっぱりそうだったんだ。と自分ながらに、主人公の気持ちを汲み取って終わった。うーん、、、まだ続きがあるなら読みたい感じ。
二本立てのアキちゃん。
これは、素晴らしい!!自分も同じ様な経験した事のある!一喜一憂に、同調してしまうくらい、気持ちの再現、表現の仕方が素晴らしい!
小学校の苦い思い出を彷彿とさせる様に、憎 -
Posted by ブクログ
ネタバレ芥川賞候補とあるから、こういうのが純文学なのだろうか。
普段読まないジャンルの本だが、出版区の本ツイで朝井リョウがおすすめしていて気になった本。
朝井リョウ曰く「めっちゃ嫌な話」。
「主人公の心情が一切書かれない。濃淡なく出来事が描かれ、最後の最後で歩けなくなる瞬間が見られる。」
めっちゃ嫌な話なのに推すなんて気になる!と思い読んでみたら、比喩ではなく文字通り"歩けなくなる"話だった。
主人公の言動が裏表ありまくりな上、気持ちの起伏が激しく態度がコロコロ変わるので、なんか怖い、不気味だな…と思いながら読んだが、最後まで不安定さが落ち着くことなく、急に話が終わってびっくり。