ダニヤ・クカフカのレビュー一覧

  • 死刑執行のノート

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    4人の女性を殺害した死刑囚のアンセルパッカーの死刑執行12時間前から物語は始まる。
    彼は密かに刑務官のショウナを抱き込み脱獄の計画をたてていた。
    アンセルの死刑までのカウントダウンと彼と関わりを持った3人の女性の過去から現在まで。

    ・感想
    ミステリーだと思ってたからてっきりアンセルは冤罪で3人の女性視点からその事実が浮き彫りになる…的な作品かと思ったら全く違った。

    アンセル視点では常に二人称代名詞が「あなた」となっていていて、それがこの物語は「別の世界線の私だったかも」という気持ちにさせられる良い効果をもたらしていたと思う。
    絶対的な善人も悪人もなく、灰色の世界の中でこのアンセ

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    2024年07月06日
  • 死刑執行のノート

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    なんだこれは、なんなんだ。

    一言で内容を示せば、死刑執行まで残り12時間の、連続殺人犯の話、なのだが。犯罪の詳細や捜査がどうこうはそれほど重要ではなく、とにかく1人1人が重く鮮やかに見えてくる。実際に生きているこの現実の世界と、あったかもしれない世界、その両方が。

    二人称で語りかけられるとグサグサと身に迫る。
    同情でも非難でも足りず、グレーの境界線が、読んでいる誰にも見えるのではないだろうか。

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    2023年12月21日
  • 死刑執行のノート

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    落ち着いた美しい表紙とは裏腹に、衝撃的な内容だった。もちろん表紙は内容と深い関わりがある。女性の悲しい性や生きづらさも感じられた。

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    2024年12月25日
  • 死刑執行のノート

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    死刑囚と家族、命の物語… 少しだけ感情の扱いや選択を間違えてしまった人々の未来 #死刑執行のノート

    ■あらすじ
    死刑囚であるアンセルは、間もなく執行の時を迎えていた。彼は刑務官と通じており、直前に脱走する計画をしていたのだが…
    同時になぜ彼は死刑囚となってしまったのか、出生から現在に至るまで、家族や様々な人との関わり合いを描いてゆく。果たして脱走は実現するのか、そして関係者たちにはどんな未来がやってくるのか。

    ■きっと読みたくなるレビュー
    家族や命を実直に描いた作品。心の奥底にある善悪の価値観と、欲望、不安、恐怖といった人間の裏側にある感情が、静かに書き記されています。

    死刑囚なんて言う

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    2024年04月27日
  • 死刑執行のノート

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    時間経過や視点の切り替わり幾つもの仕掛けでアンセルという人物を探っていく物語。

    「実存的恐怖と自信喪失」
    最後の謝辞を呼んで腑に落ちた。

    この物語はアンセルがいかにも自分自身であるかのように描かれている。ーーーあなたはこう考えた…。
    まさにクカフカ自身が感じていた実存的恐怖を体感させられる。

    実存的恐怖とは、人生に意味がないのではないか、あるいは自分自身のアイデンティティに混乱を覚える内的葛藤のこと。
    アンセルは幼少期に体験したトラウマによって上手く形成されなかった部分をなんとか知識や哲学によって埋めようとしていた。それは恋愛でも殺人でも埋められず、結局は血の繋がりという確かなものを求め

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    2024年03月31日
  • 死刑執行のノート

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     コラン・ニエルの『悪なき殺人』やホレス・マッコイの『彼らは廃馬を撃つ』を読んだ直後に、その二つを取り混ぜたような雰囲気の本書を手にして、三つがごっちゃになりそうだとの不安を感じつつ、読み進める。三作とも毒が仕込まれたような作品なのだが、結局、毒性の強さは三作中では本書が一番深かったという気がする。

     ちなみに『悪なき殺人』はそれぞれ繋がりがなさそうな五人のキャラクターの短編小説が全部語られ終わって初めて全体像が見えるというような構成の妙。しかも各キャラ間の距離感が大きいのでダイナミックな展開が楽しかった。『彼らは廃馬を撃つ』は、章ごとに挟まれる裁判官の言葉が、本書の死刑へのカウントダウンの

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    2024年03月21日
  • 死刑執行のノート

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    連続殺人の罪で死刑囚となったアンセル。死刑執行の12時間前から始まる。アンセルに関わった三人の女性の視点で語られていくのだけれど、関わりかたや関係性はさまざまで、何がどうなって現在は至ったのかを辿っていくのが興味深く面白い。アンセルの生い立ちとその後の暴力的な人間性が起こしたもの。角度を変えて語られて見えてくるアンセルという人間。どこか不穏で不気味な感じもありつつ引き込まれていく。

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    2023年12月06日
  • 死刑執行のノート

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    犯罪に関わることだけじゃなく、どんな人の人生でもいろんな選択肢は至る所にあって「あの時こうしていれば…」と後悔することもあると思う。
    でも、この物語の登場人物たちはどこの選択をどう間違ったのかなんて簡単に言えるものでもなく、それが人の人生なのかな、とか思ったり。
    最初は状況の把握がなかなかできなくて読み進めるのに時間が掛かったけど、気づけば最終的にどうなるのか続きが気になる展開でした。

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    2025年11月25日
  • 死刑執行のノート

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    CL 2025.3.29-2025.3.31
    死刑囚アンセル•パッカーを取り巻く3人の女性。
    母親のラヴェンダー、元妻の双子の妹ヘイゼル、ニューヨーク州警察捜査官のサフィ。それぞれの視点から語られる物語がアンセルという人間を描き出す。幸せな人はひとりもいない。
    アンセルは、結局生まれながらの怪物のような存在だったのか。

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    2025年03月31日
  • 死刑執行のノート

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    どこまでも自分を特別だと信じている殺人者と、周りの人々の目に映るごくごく平凡な男の温度差と解像度の高さに乾いた笑い出た

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    2024年01月21日
  • 死刑執行のノート

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    死刑囚パッカーの執行までの12時間と並行し、彼の過去、現在が浮彫りになる。それに彼の母親、元妻と彼女の双子の妹、警察官のサフィら女性目線での独白が彼の人格の深みを際立たせる。
    が、主人公を二人称で呼びかけるのが、意図する点がわからないでもないがとても違和感を感じた。

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    2024年01月17日
  • 死刑執行のノート

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    ダニヤ・クカフカ『死刑執行のノート』集英社文庫。

    エドガー賞最優秀長篇賞受賞作。

    死刑囚アンセル・パッカーの46年の人生が何故か終始二人称で描かれるという不思議な風合いの作品。

    刑務官のショウナ・ビリングズを丸め込み、密かに進行していくアンセルの脱獄計画は成功するのか。或いはアンセルの犯行は全て冤罪で死刑執行の直前で無実が明らかにされるのだろうか。

    死刑執行が迫る中、緊迫の時限ミステリーかと思っていたのだが、結果としてアンセル・パッカーの未来は変わらず、何とも言えない消化不良の作品だった。


    死刑執行まで残り12時間となった連続殺人犯アンセル・パッカーの46年の人生が母ラヴェンダー、

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    2023年11月24日