エルブリッジ・A・コルビーのレビュー一覧

  • 拒否戦略 中国覇権阻止への米国の防衛戦略

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    エルブリッジ・コルビー博士の原著を防衛研究所の塚本氏等が訳出したもの。これは原文でなんと書いてあるのだろうという訳もたまにあるが、全体としてはうまく訳されていて、原著にあたるよりは大分楽に読めた。

    コルビー氏は、トランプ第一次政権で国家防衛戦略をリードし、対中シフトを軍事面から支えた人物であり、何を隠そうつい先日、議会承認を経て前回よりもランクを上げて、政策担当国防次官としてペンタゴンに帰ってきた。

    氏の筆致は冷酷なまでに論理的であり、リスクと便益の冷徹な計算に基づいている。大掴みの論旨は明快で、米国はインド太平洋の平和と安定に最も重大な国益を持っており、そこに覇権を敷こうとする中国に対し、自らの資源をほぼ全集中するとともに、日豪などとともに反覇権連合を作って侵略を拒否する(失敗させる体制を作る)ことにより対応する。その際、ロシア、北朝鮮、イランなどとの当時作戦については、欧州に対応させたり、韓国を強化したり基本的にローコストで仕上げ、米国は本土防衛・拡大抑止のほかはインド太平洋に全振りというもの。

    具体的な議論は、台湾を中軸に据えて、同盟の信頼性の問題(コミットメントをして守れないと信用が下がるので要注意)、軍事作戦の要領などについてアメリカの視点から分析しており非常に明快で理解できる。

    なお、日本については、反覇権連合の中核国であり、極めて重要だが、防衛投資が少なくもっと貢献してほしい、あまりアメリカ頼みだとリスクを負うアメリカ人がコミットメントから離脱したくなって抑止できなくなる可能性に言及。日韓への戦術核の共有の是非についての議論も面白い。

    世の中がますますキナ臭くなる中で、必読の一冊。

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    2025年05月01日
  • アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略

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    軍事力のみが人を強制的に従わせる力であり、その源泉は経済力。アメリカが自国の繁栄と安全のためには中国がアジアで覇権を握るのを防ぐ必要がある。アメリカの目線から見ると至極真っ当な論理。日本の目線で、中国による軍拡を、真剣にリスクとして捉えて、対処しようとしている政治家はいるのか?

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    2025年02月24日
  • アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略

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    「中国に勝つ」ではなく、「中国の拡大を止める」ための「反覇権連合」による「対中抑止」。
    これは、「自由で開かれたインド太平洋」戦略の延長線上であり、現実的な線なのではないだろうか?
    ただし、そのためのコストを日本がきちんと負担できなければ、絵に描いた餅である。

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    2025年01月24日
  • アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略

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    アメリカ国防省国防次官代理を務めた、アメリカの取るべき戦略提示。嘗てのような圧倒的パワーを持たなくなったアメリカは世界全域に影響力を行使するのではなくアジアにその注意を集中する事。アメリカの覇権を狙うのは中国であり、もはやアメリカ一国ではそれを阻止できない。著者は軍事力を決めるのは工業生産力であり、現代の脱工業化したアメリカでは中国に対抗できない。しかし、東南アジアから台湾、韓国、日本を含めたアジアは現在、高い生産能力を持ち、これらが反覇権国連合で合力、それをアメリカが後押しすれば、中国は武力での台湾侵攻を諦めさせる事ができる。このような中国の覇権に拒否示す「拒否戦略」をここ数年、著者は主張していた。彼の「拒否戦略」を日本人にガイダンスしようとするのが本書である。

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    2026年01月06日
  • アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略

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    アジア重視といえばいいように聞こえるが、要は中国が現実に侵略を起こす可能性があることを示唆。日本はその最前線に立つ。その割に危機感が乏しい。
    トランプ政権の軍事戦略の根幹となり得る。一読の価値は高いと考える。

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    2025年12月20日
  • アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略

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    中国を抑止する事がアメリカにとって最優先課題という話。
    今やその重要性は誰も否定しないと思うけど、問題はトランプがその戦略を追求するのに、自己規律を欠いている事であって、ロシアや中東に拘っている様にしか見えないし、言動も二転三転していて、まともな戦略がない様に映る。
    あと、日本も軍備拡張とか核許容の議論がそんなに急進的に進むと思えない。それも大きな問題か。

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    2025年10月26日
  • アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略

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    現米国トランプ2次政権の国防次官であるコルビー氏による(国防次官就任前の)著作。
    氏が提唱する国防・外交戦略である「拒否戦略(Strategy of Denial)」について平易、具体的に解説されている。

    「拒否戦略」とは一言で「中国の覇権を拒否すること」。
    誤解されがちだが、その目的は米国の覇権の確保・維持でも、中国(共産党)の崩壊でもない。
    中国が他国に(軍事力を背景に)自らの意志を押しつけてくるのを「反覇権連合」によって防ぎ、中国がアジアの覇権国にならないようにできるのであれば、「中華民族の偉大な復興」を実現しても構わない、とさえ著者はいう。

    冷戦が冷戦で済んだのは、戦争の可能性を前提に軍事力を整備・強化したからであり、その教訓から、中国の軍事的暴発を防ぐには「反覇権連合」、とりわけ日本、台湾、韓国、豪州の軍備増強が急務。
    想定敵国のロシアに対し圧倒的に大きい経済規模を持つ欧州や、経済規模の小さいアフリカ、中東に力を注ぐのは不合理。
    地域的にも経済影響力が大きく、成長途上であり、かつ覇権的野心を抱く中国の存在が大きい(特に東、東南)アジアに持てる資源を集中すべき。

    という氏の主張はそのままトランプ政権の方針となっているようにみえる。

    中国に覇権を握られるということは、一党(一人)独裁の強権政治の影響下に入ることを意味し、日本がその主要な標的となっていることに日本人はもっと危機感を持つべきだという氏の指摘には、背筋が凍る思いがする。

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    2025年09月25日
  • アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略

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    現在、米国の国防次官として活躍するコルビー氏の一冊。彼は、トランプ政権における安全保障戦略の軸となる考えを提唱した人である。それは、ウクライナ、中東よりも、喫緊の課題であるアジアに集中して対処すべきというものである。本書執筆後、2次トランプ政権のブレインとして、様々な場で交渉を行っている彼が、その前提となる考え方を発表したのが本書の位置づけである。
    複雑化する国際安全保障について、問題を冷静に分析し、目標を明確にして、すべき対処を組み立てていく。彼のロジカルな論の展開に圧倒される。

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    2025年05月02日
  • アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略

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    彼の議論は彼の主著『拒否戦略』や彼のポスト、インタビューから相当読んだものの、日本向けに書かれたものであるために入ってきやすさがある。また、2021年の主著からウクライナ戦争が始まり、中東の泥沼化が進む今日の世界。どう見てもアメリカが現在の2正面で必ずしもうまくいっているとは言えない状況。そこにおいて本来割くはずだった中国や西太平洋への優先度が下がっている。また、日本が拒否戦略としての防衛戦略を選択したのもこの間。そうした中であえて言えば「拒否戦略のあとで」と言える新著。来週迎える総選挙にも関わる内容であり、多くのことを日本人に考えさせる。特に最後の5章「日本には大軍拡が必要だ」は彼の持論で私としては嫌というほど見たが、そのロジックには納得させられる。また、彼の議論を読むと常々思うのは戦略家とはこういうものなのかと思わせられる。奥山真司氏は「現代のジョージ・ケナン」に例えられることがあるという動きを紹介しているが、完全には一致できないが、そのロジックには常々納得させられたような気になってしまう。日本のメディアだとついつい「○○年までに台湾有事が起きるか否か」の議論に終始しまいがちであるが、「起きるか否か」よりも従前の備えの重要性を改めて説いている。私としては驚くものではないが、それを知ってほしい人には届かないのだろうとも思う。ワイドショー的な争点が重要視されている今回の総選挙。投票する前に一度立ち止まって、開き日本の明日を考えるきっかけにもなるであろう一冊だと思う。民主党政権か共和党政権か、コルビーが政権入りするかはさておき、アメリカの戦略家のハンディーな本を読むことに損はないのだと思う。

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    2024年10月20日
  • 拒否戦略 中国覇権阻止への米国の防衛戦略

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    筆者であるエルブリッジ・コルビーはアメリカのトランプ政権のNational Defense Strategy作成メンバーの1人である。そんな彼が書いた本であり、英語版は多くの文献で引用されている。そのような本が英語版が出てから2年程で日本語版が出たのはありがたい限りである。
    内容としては中国の地域覇権を阻止するために何ができるかである。アメリカのすべきこと、各地域ができること、また我が国日本に求められることなどが書かれる。また、想定される軍事行動に対してどう対処するのか、またそのために何ができるのか、するべきなのか、もしくはしてはならないのかが書かれている。
    英語版が出されてから2年が経った今、日本語版が出たこのタイミングで読むのは原版が出た時よりも考えさせられる。2022年から本格化したロシア・ウクライナ戦争や2023年からのガザをめぐる戦争はこの本が「してはならないこと」という部分から考えさせられ、悩ましいものである。

    日本人への提言、もしくは日本に関しての提言もある。そこから考えさせられることも大きいのではないだろうか?

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    2024年01月19日
  • アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略

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    国防総省のブレーンが提唱する中国に対する戦略「拒否戦略」の概要が説明されている。


    アメリカはもう一極に集中した覇権国家ではない
    アメリカ1国では中国に対抗できない
    これからのアジアはパワー集積地
    パワーとは経済力から来る軍事力

    だから中国が覇権国家とならないように、反覇権国家勢力として様々な国と同盟を組まないといけない、と言ったことが主な内容。

    ただ、中国が覇権を取らず米国の利益を損なわいのであればそれで良く、自分達はあまり積極的には関わりたくない。
    だから危機に直面する台湾、韓国、とりわけ日本は自衛に励みなさいよと、突き放した言い方のようにも受け取れる。

    トランプ大統領がどこまでこの戦略を慮って発言をしているか分からないが、石油を掘りなさい、工業に回帰しなさい、貿易赤字を減らしなさいと言ってるのかが、この本を読むと分かってくる。

    また日本政府の防衛費増額、資源の脱中国依存、高市首相の台湾に関する発言なども、拒否戦略の観点からみると納得感がある。


    今後の地政学的な見方として、アメリカと中国の対立は避けられないが、ウクライナの様に表立って対立はしない構図になってきたなと感じる。

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    2026年02月13日
  • 拒否戦略 中国覇権阻止への米国の防衛戦略

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    C国の覇権を阻止するための米国の戦略について、かなり理論的に詳細に検討していて面白い。

    のだが。

    これは現覇権国たる米国が、自国の安全自由繫栄を脅かさないために、覇権挑戦国を許さないという本で、ぶっちゃけ、「中国」を「米国」に差し替えても国によっては首肯できる。昨今の、某大統領貿易についての横暴ぶりを見るに、一皮むけばさほど変わんねえと思うところもある。

    ただ、我が国としてはそれでも米国の方がかなりまし、という話であって、C国の覇権なぞ現実化なぞ目も当てられないのも事実。

    なぜかは、C国が胸に手を当てて考えてもらいたいものだが。

    米国は、自領土自体は相当程度安全という前提が薄ら透けているのが本音だろう。
    「拒否戦略」というのは、覇権挑戦国を体力で凌駕するのでなく、侵略を「拒否」することで意志達成を阻害できるのだと読んだ。全面戦争も、競争も必要ない。

    それこそ「自衛」であろう。当事国にとっては。

    「戦力」と「自衛力」の違いをそこで分けることもできるなとちょっと考えた。

    興味ある人はしっかり読み込める本だと思う。

    そうして、敵と味方を間違える天才の米国については、もうちょっとちゃんとして欲しいもんだ。

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    2025年08月20日
  • アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略

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    アメリカは中国に勝てないから逃げ出すので日本や韓国や台湾が盾になれや、と言っているようにしか見えない。
    とは言え逆説ながら日本人が中国と戦争する覚悟を決めないとこの本の通りになるだろう、というのが悲しい現実ではある。

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    2025年04月25日
  • アジア・ファースト 新・アメリカの軍事戦略

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    アジアが世界の中心
    PPP購買力平価  中国がアメリカを超えている 
    世界のGDPの40% 東アジア沿岸部から東南アジアにかけて ヨーロッパ20%以下
     重要な理由:マーケット、ライバル(=中国)、アンバランス(=対中国)

    拒否戦略 (中国の偉大な復興は否定しない 台湾独立も賛成しない 現状維持)
     戦狼外交の中国への服従を拒否する
     反覇権連合 侵略を不可能にするパワーバランス
     経済パワーの代替え手段は軍事力しかない  台湾の次はフィリピン

    ITや金融サービスや娯楽は紛争が起こったらパワーに直結しない
    アメリカ一極は無理 GDP25%
    経済制裁やプロパガンダではなく ハードパワーが必要

    準備をすること
     アメリカの再工業化 同盟全体で 小さな政府から大きな政府へ 
     平和主義 ではなく、集団防衛  侵略者が行動を起こす前に 抑制するために
     中国のミサイル備蓄量はここ3年で倍増 日本の防衛費GDP2%は焼け石に水

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    2025年02月16日