エルブリッジ・A・コルビーのレビュー一覧
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エルブリッジ・コルビー博士の原著を防衛研究所の塚本氏等が訳出したもの。これは原文でなんと書いてあるのだろうという訳もたまにあるが、全体としてはうまく訳されていて、原著にあたるよりは大分楽に読めた。
コルビー氏は、トランプ第一次政権で国家防衛戦略をリードし、対中シフトを軍事面から支えた人物であり、何を隠そうつい先日、議会承認を経て前回よりもランクを上げて、政策担当国防次官としてペンタゴンに帰ってきた。
氏の筆致は冷酷なまでに論理的であり、リスクと便益の冷徹な計算に基づいている。大掴みの論旨は明快で、米国はインド太平洋の平和と安定に最も重大な国益を持っており、そこに覇権を敷こうとする中国に対し -
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現米国トランプ2次政権の国防次官であるコルビー氏による(国防次官就任前の)著作。
氏が提唱する国防・外交戦略である「拒否戦略(Strategy of Denial)」について平易、具体的に解説されている。
「拒否戦略」とは一言で「中国の覇権を拒否すること」。
誤解されがちだが、その目的は米国の覇権の確保・維持でも、中国(共産党)の崩壊でもない。
中国が他国に(軍事力を背景に)自らの意志を押しつけてくるのを「反覇権連合」によって防ぎ、中国がアジアの覇権国にならないようにできるのであれば、「中華民族の偉大な復興」を実現しても構わない、とさえ著者はいう。
冷戦が冷戦で済んだのは、戦争の可能性を前 -
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彼の議論は彼の主著『拒否戦略』や彼のポスト、インタビューから相当読んだものの、日本向けに書かれたものであるために入ってきやすさがある。また、2021年の主著からウクライナ戦争が始まり、中東の泥沼化が進む今日の世界。どう見てもアメリカが現在の2正面で必ずしもうまくいっているとは言えない状況。そこにおいて本来割くはずだった中国や西太平洋への優先度が下がっている。また、日本が拒否戦略としての防衛戦略を選択したのもこの間。そうした中であえて言えば「拒否戦略のあとで」と言える新著。来週迎える総選挙にも関わる内容であり、多くのことを日本人に考えさせる。特に最後の5章「日本には大軍拡が必要だ」は彼の持論で私
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筆者であるエルブリッジ・コルビーはアメリカのトランプ政権のNational Defense Strategy作成メンバーの1人である。そんな彼が書いた本であり、英語版は多くの文献で引用されている。そのような本が英語版が出てから2年程で日本語版が出たのはありがたい限りである。
内容としては中国の地域覇権を阻止するために何ができるかである。アメリカのすべきこと、各地域ができること、また我が国日本に求められることなどが書かれる。また、想定される軍事行動に対してどう対処するのか、またそのために何ができるのか、するべきなのか、もしくはしてはならないのかが書かれている。
英語版が出されてから2年が経った -
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C国の覇権を阻止するための米国の戦略について、かなり理論的に詳細に検討していて面白い。
のだが。
これは現覇権国たる米国が、自国の安全自由繫栄を脅かさないために、覇権挑戦国を許さないという本で、ぶっちゃけ、「中国」を「米国」に差し替えても国によっては首肯できる。昨今の、某大統領貿易についての横暴ぶりを見るに、一皮むけばさほど変わんねえと思うところもある。
ただ、我が国としてはそれでも米国の方がかなりまし、という話であって、C国の覇権なぞ現実化なぞ目も当てられないのも事実。
なぜかは、C国が胸に手を当てて考えてもらいたいものだが。
米国は、自領土自体は相当程度安全という前提が薄ら透けて -
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アジアが世界の中心
PPP購買力平価 中国がアメリカを超えている
世界のGDPの40% 東アジア沿岸部から東南アジアにかけて ヨーロッパ20%以下
重要な理由:マーケット、ライバル(=中国)、アンバランス(=対中国)
拒否戦略 (中国の偉大な復興は否定しない 台湾独立も賛成しない 現状維持)
戦狼外交の中国への服従を拒否する
反覇権連合 侵略を不可能にするパワーバランス
経済パワーの代替え手段は軍事力しかない 台湾の次はフィリピン
ITや金融サービスや娯楽は紛争が起こったらパワーに直結しない
アメリカ一極は無理 GDP25%
経済制裁やプロパガンダではなく ハードパワーが必要