金ヨンロンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
学術的で難解なところ、興味が持てないところも多々あったが、総じて学ぶところの大きな読書だった。体験者「ゼロ」の時代に戦争責任を論ずるためには、体験者「ゼロ」という認識をしないこと、という禅問答のような結論だったが、極めて重要な指摘だと思った。「戦争」とは実際の戦闘のみを指すわけではなく、その背景となる植民地主義帝国主義は、責任を問われることもなく未だ継続する現象で、被植民地住民にとっては未解決の問題でもあるからだ。文学や現代史を学ぶことによって、過去の証言や記録をどれほど自分の問題として捉えられるか、という非体験者のあり様が改めて問われている。最近の戦争を語る軽々しい言葉に危機感を募らせている今、心に染みる言葉が多かった。
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Posted by ブクログ
先の大戦に対する戦争責任をいかに未来の日本人が負っていくかを論じた本ではあるのだけれど、
私はこれを読んで今後起こりうるかもしれない戦争について思いを馳せた。
今まで先の大戦に関して民衆には責任がないと思っていたけど、この本を通じて民衆にだって責任はあるんじゃないかと思い始めた。
確かに今とは時代が違うし、民衆が知らされていなかったことが多かったとは思う。
ただ無知でいること、無関心であること、戦争反対と思っても声をあげないこと、空気に流されること、その一つ一つが日本を戦争に進めていくのかもしれないとこの頃の日本を見て思う。
民衆にも戦争責任があるなら、先の大戦に対する責任を負うことだけでなく、未来に戦争を起こさせない責任も負わなければいけないと思った。戦争責任についてもっと勉強したい。
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Posted by ブクログ
戦争体験者がいなくなった時に、如何なる戦争責任論を以て、戦争を防ぐか。碩学の論文・討論集。
印象に残った点を二つ挙げる。
一つは、従来日本で語られてきた戦争責任論は、個人の体験・証言に依存したものであるということだ。個人の戦争体験は、圧倒的な迫力を以て聞き手の感性に訴えかけるものだが、普遍性に乏しい。論理的に構築された、普遍性のある戦争責任論を打ち出していく必要があると感じた。
もう一つは、「戦後責任」というワードは、韓国語に翻訳不可能であるという点だ。韓国では未だ朝鮮戦争が終結しておらず、戦後は訪れていない。世界を見渡せば、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争、ウクライナ戦争など、1945以降も戦争は起こっている。戦争を過去のものとし、忘却に走らせる負の側面が戦後という言葉にはあるのかもしれない。
戦争は明白な人権侵害行為であり、決して発生させる訳にはいかない。「日本の戦争は間違っていなかった」などの矮小な議論に終始するのではなく、人類の最悪の犯罪行為を如何にして防ぐか。これについて考えるヒントが、本書にはある。 -
Posted by ブクログ
日本において、戦争について書かれた文学(小説に限らない)を読み解いていく。解けているかはわからないが、とりあえず戦争に関連した文学作品が並べられる。
本書の紹介に「新たな文学史を描くことに挑む」とあり、それがどの程度成功を収めているか、微妙なところである。
ただ、ブックガイドとしてはいいのかもしれない。著者は韓国人ということもあってか、あまり現代日本で言及されることのない作品にも手を伸ばしている。日本人が日常的に使うことのないことわざや漢字を外国人が知っているような感じだろうか。
なにか一貫した解法があるわけでなく、作品紹介的な風味が強いが、だからといってそんなに悪いものではない。 -
Posted by ブクログ
太平洋戦争をリアルに体験していない多くの人は歴史書や時代小説などから情報を得るしかない。私も戦後生まれで、古くは学生時代の歴史の授業で戦争に興味をもち、大学生の頃にはなぜ戦争が起こり、そしてどの様にして集結させるのがベストな選択なのだろうと、今の私から見ても学生の自分には少し重たく感じる難題を抱えていたのを記憶している。偶々大学がお茶の水・神保町に近かった事もあり、古本屋で戦争に関する本を見つけては読み漁るような学生時代を過ごした。読めば読むほど複雑で、背景も深く理解していなかった私に、ちっとも答えは見つからなかったのであるが。
本書は太平洋戦争を文学から裁くというテーマで記載されているが、当の戦争には日本人が犯した罪深い出来事が多く、更にそれらをテーマとした文学作品は山の様に存在する。よって分析対象に事欠かない分野であるものの、それが逆にどの書籍を題材として選択しているかについても興味を唆る内容だ。
代表的な事件で言えば、戦争勝利者のアメリカが日本を裁く東京裁判やBC級戦犯に対する裁判、その背景にある捕虜虐待や南京事件における民間人殺害の罪、そして慰安婦問題と歴史の教科書に掲載される出来事だから大半の読者には事件の全容も原因も結果も理解した上で読む事ができる。
本書の興味深いところは、取り上げた文学作品が各出来事に対する代表作であり、描かれた時代が戦後間もないものから、平成に至るまで時代を超えて網羅している事がひとつ。そしてそれぞれの筆者がさまざまな立場に立って、伝えたかった真実を小説の主人公や設定に自由に記載されている点を鋭く観察し、我々読者に教えてくれる点である。勿論、対象文学を既に読んだ方であれば、自分が気づかなかった点と比較してみても良いし、反論するのも自由である。
小説の良いところは、筆者が考えを自由に記載できる事であり、時には非現実な設定(例えば昭和天皇が裁判に出席するなど)であっても可能な点である。歴史の事実の描写に重きを置くフィクション性が高ければ高いほど、筆者の想いよりは事実描写に力を入れざるを得ない。小説はその辺りを軽く乗り越え、筆者の意図を文字に練り上げていく。どちらかというと私は歴史書・ノンフィクションを客観的に傍観者的に見る立場が好きではあるが、本書を読む事で、偶には小説ライクな読み物に触れたくなってくる。そうしたきっかけにもなるのでお勧めしたい一冊だ。