葉山博子のレビュー一覧

  • 南洋標本館

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    ネタバレ

    すごかった。遠い遠いところまで長い旅をした気分。日本統治下の台湾から戦中のインドネシア、そして戦後の混乱。あのスカルノも出てくる。二人の男性の境遇、生き方がまた対照的。運命に翻弄されることの辛さ、その中でも自分はどう生きたいか考えた。良心に恥じないよう、差別はしないよう生きたい。読み終わった後、改めて挿画を見ると泣けてくるなぁ…。

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    2026年03月24日
  • 南洋標本館

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    日本が台湾を利用するために生物情報を集めていたようすは、NHK連続テレビ小説「らんまん」でも描写されていました。
    軍事的な意味での弱肉強食がまかり通っていた時代。そんな中での、二人の主人公の植物とのふれあいにひきこまれました。

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    2026年03月04日
  • 南洋標本館

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    一気読みはできないけど、
    こういう本こそ読みたい

    たまたまだけど、
    保坂さんの「昭和陸軍の研究」の
    後に読めたのはよかった

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    2026年02月15日
  • 南洋標本館

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    日本の台湾統治50年。とても長い。それによって生まれる歪みは、人々を翻弄する。それでも植物学者たろうと生きる陳と琴司。おもしろい。もうちょっと陳の米国での葛藤も読んでみたかった。

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    2025年11月15日
  • 南洋標本館

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    著者のアガサ・クリスティー賞受賞後第一作。在台日本人と台湾生まれの本島人の男性二人が共に南洋探険と植物学研究を志すも、一方は戦争のために、もう一方は本島人というアイデンティティゆえにそれぞれの壁にぶつかっていく、というストーリー。
     
     物語の展開もさることながら、歴史的背景のディティールが現在の研究の水準に拮抗するレベルで精緻に、かつ生彩ある形で書き込まれていて、著者の力量を感じさせる。中でも著者は、在台日本人・琴司のパートよりも、本島人・陳永豊のほうにより焦点を当てていく。陳(台湾語読みで「タン」と読ませる)の実父は台湾民主国のリーダーのひとりで、彼はその父の最期を知る本島人の通訳によって台湾の民族資本の担い手の家にもらわれ、こんどは経済と政治の面で植民地支配の現実と直面させられる。一方で、その陳を救った男は大陸に渡り、国民党の諜報機関の元締めとして陳を抗日戦争に動員しようと画策する。その誘いを断った陳は、アジア太平洋戦争が始まると日本名「永山」を名乗り、インドネシアを支配する日本の軍政府と結びつきながら、研究を継続しようと企てていく――。こうした展開の積み重ねによって、戦時下の中で心ならずも生きるための選択を強いられただろう多くの台湾人たちの姿を浮かび上がらせていく。
     琴司のパートよりも、陳の台湾脱出後、アメリカやカナダでの学究生活のことを読みたいと思ってしまったが、それはさすがに要求しすぎかもしれない。

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    2025年11月02日
  • 南洋標本館

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    前作「時の睡蓮を詰みに」で感動し、待ってました、この作品!もう圧巻!これほんとにフィクションなの?そいでお一人で書いてるの?…凄すぎる。今1番気になる作家さんです!語彙力なくてすみません。日本人必読。やっぱり学校の歴史って公平に教えてないのだなと思う。いやそれはどの国も仕方のないことか…。ただただ戦争は起こらないでほしいと、みんな仲良くしようぜ…と祈るだけのへなちょこ日本人です…。お会いしてみたい。ダ・ヴィンチあたりで特集してもらいたい。そして、個人的に当たりの本はいつも坂野公一さん装幀だ!

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    2025年10月18日
  • 南洋標本館

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    戦時中の出来事は全然知らないので少しずつ知識を深めていきたいと思わせるような小説だった。1週間もかかって読み終えた2人の植物学者のドラマは波瀾万丈でお金があってもこの時代、占領下にあったらなくなってしまう。生きていくのにお金ではなく意志の強さ、情熱が必要でしぶとさもなくてはいけない。すごく考えさせられる内容と分厚さで久々に長く付き合った一冊だった。
    でも諦めずに読んでよかったし、途中でやめることができないぐらいに没頭した。

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    2025年09月21日
  • 南洋標本館

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    〈「琴司君、どうだろう。きみはこれから内南洋の植物を究めて、僕は外南洋を究める。そうしていつか、僕らで南洋植物専門の標本館を作らないか?」〉

     父親を不当に処刑されて、富豪の陳家の貰い子となり、陳永豊と名乗るようになった台湾人の少年は、大正十一年、総督府高等学校尋常科に入学する。ほとんどが日本人が占める学級内で、夏目漱石を愛読し、清らかな日本語を扱う陳と同級生になった台湾で生まれ育った生田琴司は友情を育んでいく。植物を愛するふたりにとって、植物をひたむきに追いかけ続ける人生こそが、一番の望みだったのかもしれないが、戦争の暗い影はそれを許してはくれなかった――。

     彼が陳永豊と名乗るまでの壮絶な経緯から幕を開ける本書は、時代の残酷さと闘いながらも、自身のアイデンティティと最後まで対峙することになるひとりの台湾人青年を描いた物語で、ただ苦難だけが綴られるだけではなく、もうひとりの主役である琴司との夢を語り合う青春や未知への冒険、大切なひととの出会い、と様々な煌きが散りばめられています。植物を愛した青年たちが辿った人生に、何度も目頭が熱くなりました。

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    2025年07月18日
  • 時の睡蓮を摘みに

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    なんて素晴らしい!相応の知的レベルを求められるが、頑張りました。素晴らしさを伝えるためには、絶対に漫画か映画になさったほうが良いかと思います。漫画は大和和紀先生イメージ!学のない一般人から申しますと、、それぞれの方の人生の続きが読みたかったなです。歴史、戦争を学ぶため軽いうわべだけの多様性?を叫ばれる今こそ、たくさんの方にもっともっと読まれるべき。ベトナムにへらへら旅行した自分を恥じました…。

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    2025年06月08日
  • 南洋標本館

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    長い物語で読み終えた時の達成感が半端ない。
    おじさんふたりが仲良く植物標本館を運営する話だと思ったら全然違っていた。
    どこかでドラマ化してほしい

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    2026年09月04日
  • 南洋標本館

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    平台でほんとによく見かけて、でもスルーしてしまっていた。

    仕事で、中国・台湾関係の相続手続きをすることになり、恥ずかしながら初めて概要を調べた。沖縄のときも思ったけど、日本国との関係。え⋯?学校で習いましたっけ。
    これは知らないままではいけないなと、すぐに読めそうな本を調べたら本作が出てきた。こういうジャンルの本だったんだ!

    池澤春奈さんによると
    『読むことは知ることだ。知ることは考えることだ。考えることは進むことだ。』

    時代や民族、出身地により見え方が変わる不統一な価値観を、植物学者という線がつないでくれる。

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    2026年08月28日
  • 南洋標本館

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    1916年台湾で独立運動に関わっていた一人の男が処刑され、息子が一人残されたところから始まる物語。息子は張星という男に拾われ、台湾の金持ちに売られるが、運良く息子として育てられる。陳永豊と名付けられ、優秀に育つ。一方台湾は日本に支配されておりそこの役人の息子として育つ生田琴司。台湾を舞台に2人の植物学好きな男が国という縛りに翻弄されて生きる大河小説でした。大正時代~終戦までの台湾がどのような状況に置かれていたのかが読み終わるとわかります。そして、利権とはほど遠い学問である、植生を調べるという学問が中心に据えられることで、戦争が人々の生き方を否応なしに変えてしまう巨大なうねりを味わえました。
    小説の流れが大きく緩やかで、戦争ものなのに殺戮や強制収容の悲惨さなどに寄ってないので、静かに時代を読む本というイメージを受けました。500ページ強のボリュームと相まって、なかなかに読書力必要な本です。
    ということで、基本は大人向き。台湾や時代、植物に興味あれば高校くらいから。

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    2026年05月16日
  • 南洋標本館

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    時代に振り回されながらも、自らの情熱と努力で好きな事を全うした主人公に感銘を受けると同時に、自分の子供も何か主体的にやりたいと情熱を注げる何かを探してほしいと感じた。

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    2026年04月16日
  • 南洋標本館

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    日本統治下の台湾で大日本帝国民として生まれ育った「本島人=台湾人」の植物学者と、やはり台湾で生まれ育った「内地人=日本人」の植物学者の、時代に翻弄された人生。当時の台湾で公然とあった、日本人による台湾人差別を考えると、今、台湾の人が日本にわだかまりを感じさせずに接してくれるのが不思議になるほど。2人の学者の長年にわたる交流が救いになった。
    この時代に、日本が台湾やインドネシアでしたことにはたいへんな嫌悪感と、恥を感じる。今のいわゆるネトウヨ達にも、当時の一部の日本人と同じような傾向(強いものには盲目的に従い、弱いものを攻撃する卑怯な性質や、合理的な思考の欠如、強い差別意識など)が見て取れるのが、恐ろしい。改めて、日本をまた独裁や戦争の方向へ進ませてはいけないと、同じ過ちを犯してはならないと、思った。一旦、国(社会)がこの頃の日本と同じような空気になってしまうと、抗えなくなるのは必至なので、そうならないように、なんとか民主主義を守らなくてはならない。

    「ああ、私は本当のことを言うつもりだ。司政長官として行ったすべての事実を。それは私一個人の生命にとってというよりは、人類の歴史に対する誠意だからだ。強権的な国、覇権的な国では、政治はおろか歴史を語る者たちの口まで噤まされるものだ。そうしているうちに、人は《円滑な関係を維持するため、お互い歴史は話題にしない》ことが正しいと思い込むようになる。だが、それで満たされるのは当座の利害だけだ。打算が優先された結果、真実が消され、後世には、人民への脅迫に他ならない、独裁者の《ありがたい語録》だけが残される。私は、二度とは覇権的指導者の思い描く独裁的未来には加担すまい。そのために私は、未来の日本のため、これから独立するインドネシアのため、世界のため、すべてを包み隠さず語ることにしよう」(447~448頁)

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    2026年04月16日
  • 南洋標本館

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    2人とも似たような部分がありながらも、決定的に違う部分がいくつかあることで互いの心情を際立たせており良かった。

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    2026年04月11日
  • 南洋標本館

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    日本統治下の台湾に生まれて育った「内地人」の琴司(キンジ)と革命に夢破れた男の息子でありながら、裕福な「本島人」の息子としてエリート教育を受けた陳(タン)の二人の生涯を描いた力作。植物に掛ける情熱を下敷きに、統治下及び戦時下台湾出身者がどのような扱いを受けていたのか、想像したことはあっても、ここまで書き込まれたものを手にしたのは初めてで、とても引き込まれた。

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    2026年04月02日
  • 南洋標本館

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    読み終わるのに偉く時間がかかったが、面白くないわけではない。むしろ面白い。そして、今まであまり読んだことがない舞台設定の物語が新鮮だった。行間の密度が濃く、斜め読みが効かない。1ページ1ページ、時代のうねりに目が離せない。

    物語は大戦前の台湾に始まる。彼の地は日本の植民地であった。主人公は台湾の裕福な家庭に拾われて育つ陳という男の子。そして台湾で生まれ育った日本人の子供、琴司。

    日本の植民地であるから、島の人間である台湾人の位は低い。日本語を使うことを強制される。そんななか台湾人である陳は日本の総領事側と上手くやる実業家の家系に育ち、日本人の学校に通える上位数%の台湾人になるべく猛烈な努力をする。一方で南方の台湾の風土のなかでのんびり育った日本人琴司は偏見もなく、学校で出会った陳と意気投合する。二人とも、植物が好きだった。

    植物学への憧憬を募らせながら、やがて二人は大人になる。日本人なのに内地(日本)に居場所を見いだせない琴司は、親の反対を押し切り台湾の大学に進学し、植物学を専攻する。一方で、陳は親の期待に応えるべく内地の帝大の医学部に進学し、差別を受けながらも植物学への思いを断ち切ろうとする。

    その後日本はどんどん世界大戦への道を歩み、2人も時代の運命に翻弄される。そこには乗り越えられない人種の差が生じつつ、台湾に住む日本人の琴司にも、被統治人である陳にも、日本人としての赤紙が届く。

    植物学者としての南洋探検、そして戦時中は出征した軍人としての南洋の地での務め。時代のなかで守られる植物学者としての矜持、捨て去られる植物学者としての矜持。そして戦後の2人は…

    500ページを超える壮大な話。それを彩る密度の濃い鮮やかな南洋の植物たち。戦争の無意味さと傲慢さと日本軍司令部の愚かさ。

    ちょうどこの物語を読み終わった直後にシンガポール出張があり、植物園に立ち寄った。生き生きとした深い色の南洋植物を眺めながら、80年以上前にこの地に日本が繰り広げた酷い行いとそれに翻弄されたであろう若者たちに思いを馳せた。

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    2026年03月10日
  • 南洋標本館

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    戦争に翻弄された植物学者の物語。
    抑圧された台湾を舞台に物語は進む。
    戦中になると一気に暗い話になり、暗澹たる気持ちになるが、香港に逃れた陳がアメリカ〜カナダに渡り植物学者としての生涯を全うした事で気持ち的に救われる。

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    2026年02月23日
  • 南洋標本館

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    日本統治下の台湾から始まり戦前、戦後にかけて時代に翻弄されて自身のアイデンティティが何かをずっと探していた陳永豊。やはり彼のアイデンティティは植物学者であったと思う。最後に旧友である生田琴司に自分の学名をつけた標本が送られてきたことは陳永豊のアイデンティティの証明がなされたようでグッときた。
    大河ドラマを見ているような大作だった。

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    2026年01月12日
  • 時の睡蓮を摘みに

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    2作目の「南洋標本館」がとても良かったので、こちらも読むことにした。
    スケールの大きい読み応えのある1冊だった。
    第二次世界大戦下のベトナム、ハノイ。元々の知識がほとんどないので、勉強しながら読んでいる感じだが、ヒロインを中心に、登場人物それぞれに興味を持ちながら読んだ。
    漫画になったものを読みたい気がしたのはなぜだろう。ヒロインの人物像のせいだろうか。

    戦前、戦中のアジアでの日本人のことをあまりにも知らないので、このような膨大な資料をふまえて書かれた小説は本当にありがたい。生き生きと動く登場人物によって、自分の体と心に直接響く感じがする。

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    2026年01月04日