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日本統治下台湾の植物学者たち──南洋探検が織りなす人生のランドスケープ 僕らで南洋植物専門の標本館を作らないか?──日本統治下の台湾。漱石を読み、端正な日本語を話す陳は、台湾生まれの日本人・琴司と共に植物学者を志した。だが養父母の期待を背負った陳は、意思とは裏腹に医学の道へ。琴司は台北帝大に進み、帝国委任統治領南洋群島への採集旅行に出掛けた。一方、自らの道に行くと決めた陳は、陸軍属の技師としてニューギニア探検へと向かう。波瀾の運命を生きる台湾人青年の大ロマン
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Posted by ブクログ
日本が台湾を利用するために生物情報を集めていたようすは、NHK連続テレビ小説「らんまん」でも描写されていました。 軍事的な意味での弱肉強食がまかり通っていた時代。そんな中での、二人の主人公の植物とのふれあいにひきこまれました。
一気読みはできないけど、 こういう本こそ読みたい たまたまだけど、 保坂さんの「昭和陸軍の研究」の 後に読めたのはよかった
日本の台湾統治50年。とても長い。それによって生まれる歪みは、人々を翻弄する。それでも植物学者たろうと生きる陳と琴司。おもしろい。もうちょっと陳の米国での葛藤も読んでみたかった。
著者のアガサ・クリスティー賞受賞後第一作。在台日本人と台湾生まれの本島人の男性二人が共に南洋探険と植物学研究を志すも、一方は戦争のために、もう一方は本島人というアイデンティティゆえにそれぞれの壁にぶつかっていく、というストーリー。 物語の展開もさることながら、歴史的背景のディティールが現在の研...続きを読む究の水準に拮抗するレベルで精緻に、かつ生彩ある形で書き込まれていて、著者の力量を感じさせる。中でも著者は、在台日本人・琴司のパートよりも、本島人・陳永豊のほうにより焦点を当てていく。陳(台湾語読みで「タン」と読ませる)の実父は台湾民主国のリーダーのひとりで、彼はその父の最期を知る本島人の通訳によって台湾の民族資本の担い手の家にもらわれ、こんどは経済と政治の面で植民地支配の現実と直面させられる。一方で、その陳を救った男は大陸に渡り、国民党の諜報機関の元締めとして陳を抗日戦争に動員しようと画策する。その誘いを断った陳は、アジア太平洋戦争が始まると日本名「永山」を名乗り、インドネシアを支配する日本の軍政府と結びつきながら、研究を継続しようと企てていく――。こうした展開の積み重ねによって、戦時下の中で心ならずも生きるための選択を強いられただろう多くの台湾人たちの姿を浮かび上がらせていく。 琴司のパートよりも、陳の台湾脱出後、アメリカやカナダでの学究生活のことを読みたいと思ってしまったが、それはさすがに要求しすぎかもしれない。
前作「時の睡蓮を詰みに」で感動し、待ってました、この作品!もう圧巻!これほんとにフィクションなの?そいでお一人で書いてるの?…凄すぎる。今1番気になる作家さんです!語彙力なくてすみません。日本人必読。やっぱり学校の歴史って公平に教えてないのだなと思う。いやそれはどの国も仕方のないことか…。ただただ戦...続きを読む争は起こらないでほしいと、みんな仲良くしようぜ…と祈るだけのへなちょこ日本人です…。お会いしてみたい。ダ・ヴィンチあたりで特集してもらいたい。そして、個人的に当たりの本はいつも坂野公一さん装幀だ!
戦時中の出来事は全然知らないので少しずつ知識を深めていきたいと思わせるような小説だった。1週間もかかって読み終えた2人の植物学者のドラマは波瀾万丈でお金があってもこの時代、占領下にあったらなくなってしまう。生きていくのにお金ではなく意志の強さ、情熱が必要でしぶとさもなくてはいけない。すごく考えさせら...続きを読むれる内容と分厚さで久々に長く付き合った一冊だった。 でも諦めずに読んでよかったし、途中でやめることができないぐらいに没頭した。
〈「琴司君、どうだろう。きみはこれから内南洋の植物を究めて、僕は外南洋を究める。そうしていつか、僕らで南洋植物専門の標本館を作らないか?」〉 父親を不当に処刑されて、富豪の陳家の貰い子となり、陳永豊と名乗るようになった台湾人の少年は、大正十一年、総督府高等学校尋常科に入学する。ほとんどが日本人が...続きを読む占める学級内で、夏目漱石を愛読し、清らかな日本語を扱う陳と同級生になった台湾で生まれ育った生田琴司は友情を育んでいく。植物を愛するふたりにとって、植物をひたむきに追いかけ続ける人生こそが、一番の望みだったのかもしれないが、戦争の暗い影はそれを許してはくれなかった――。 彼が陳永豊と名乗るまでの壮絶な経緯から幕を開ける本書は、時代の残酷さと闘いながらも、自身のアイデンティティと最後まで対峙することになるひとりの台湾人青年を描いた物語で、ただ苦難だけが綴られるだけではなく、もうひとりの主役である琴司との夢を語り合う青春や未知への冒険、大切なひととの出会い、と様々な煌きが散りばめられています。植物を愛した青年たちが辿った人生に、何度も目頭が熱くなりました。
時代に振り回されながらも、自らの情熱と努力で好きな事を全うした主人公に感銘を受けると同時に、自分の子供も何か主体的にやりたいと情熱を注げる何かを探してほしいと感じた。
日本統治下の台湾で大日本帝国民として生まれ育った「本島人=台湾人」の植物学者と、やはり台湾で生まれ育った「内地人=日本人」の植物学者の、時代に翻弄された人生。当時の台湾で公然とあった、日本人による台湾人差別を考えると、今、台湾の人が日本にわだかまりを感じさせずに接してくれるのが不思議になるほど。2人...続きを読むの学者の長年にわたる交流が救いになった。 この時代に、日本が台湾やインドネシアでしたことにはたいへんな嫌悪感と、恥を感じる。今のいわゆるネトウヨ達にも、当時の一部の日本人と同じような傾向(強いものには盲目的に従い、弱いものを攻撃する卑怯な性質や、合理的な思考の欠如、強い差別意識など)が見て取れるのが、恐ろしい。改めて、日本をまた独裁や戦争の方向へ進ませてはいけないと、同じ過ちを犯してはならないと、思った。一旦、国(社会)がこの頃の日本と同じような空気になってしまうと、抗えなくなるのは必至なので、そうならないように、なんとか民主主義を守らなくてはならない。 「ああ、私は本当のことを言うつもりだ。司政長官として行ったすべての事実を。それは私一個人の生命にとってというよりは、人類の歴史に対する誠意だからだ。強権的な国、覇権的な国では、政治はおろか歴史を語る者たちの口まで噤まされるものだ。そうしているうちに、人は《円滑な関係を維持するため、お互い歴史は話題にしない》ことが正しいと思い込むようになる。だが、それで満たされるのは当座の利害だけだ。打算が優先された結果、真実が消され、後世には、人民への脅迫に他ならない、独裁者の《ありがたい語録》だけが残される。私は、二度とは覇権的指導者の思い描く独裁的未来には加担すまい。そのために私は、未来の日本のため、これから独立するインドネシアのため、世界のため、すべてを包み隠さず語ることにしよう」(447~448頁)
2人とも似たような部分がありながらも、決定的に違う部分がいくつかあることで互いの心情を際立たせており良かった。
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