山崎努のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み始めた時はこの本を最後まで読めないかと思った。馴染みのないシェイクスピアの台本(改行なくページに余白なくびっしり)を読み飛ばそうかと思った。でもひとつひとつ丁寧によんでいってよかった。山崎努さんがそれらをどう捉えてどう表現するのか、その軌跡を一緒に辿ることができたから。
舞台が段々と終わりに近づくにつれ寂しい気持ちになった。
俳優という仕事は演技をする仕事ということは知っているし、なんならいつも見ているけど、あとがきの香川照之さんが言う「具体的な実態や確かな有効性が酷く曖昧な俳優という仕事」をここまで言語化し曝け出したものを拝見する機会は中々ないと思う。
そして役と徹底的に向き合う=自分 -
Posted by ブクログ
ネタバレ名言の嵐で、読むたびに内容の濃さと熱量に圧倒されます。
ひとつのことをつき詰めた人には、実際神が宿るんだなあ…風姿花伝ぽい。現代の風姿花伝。
朗読を習っているので、練習中の思いを呼び返しつつ読むとさらに重みが増します。「俳優は登場人物に溶け込んで消えなければいけない」というくだりには濃いマーカーが引いてあり、マーカーやら書き込みやら本がもうカラフル。
山崎さん、思いを文章にして世に出していただいて本っ当にありがとうございます(拝礼x10)
一人芝居で、舞台上で兄と対話しながら兄の具体的な人物像を脳内に浮かべられないでいた時、後で観客から「兄が見えてこなかった」と言われた、というお話にわあ -
Posted by ブクログ
「『リア王』の稽古は一九九七年十二月から始まる。初日が年を越して一九九八年一月十七日だから約一ヶ月間、休日と舞台稽古を除いた稽古実数は三十四日である。〜 この日記は、稽古開始四ヶ月前からのものである。」
この一文から全てが始まる。
まず、この本を知ったのは、ある女優さんがブログで紹介していたから。
短く簡潔な一文だったけれども、とても読みたくなる一文だったので、翌日には、即購入。
とても、濃密な読書体験でした。
「走り書きで書いたもの」でありながら、準備段階からの「リア王」のイメージ作り、毎日の稽古の内容、些細な日常での出来事など、かなり丁寧に、子細に書かれている。
山崎さんの -
Posted by ブクログ
フリーマーケットで100円で売っていて、タイトルと概要は前から知っていたので買った。帰りしなに、その店の店主の知り合いらしきお婆さんが「きっと良い本買われたと思いますよ!」と声を掛けてきた。内心で、そんなこと分かってるよなんて思いながら帰ったのだか、読んでみて自分の生意気さを恥じる結果になった。良い本だ。この本に出てきた本で、読みたくなって買ったものがいくつかある。俳優業の中で培われたのだろう筆者の言葉も有難い。曰く「人生で避けるべきは危険ではなく安全」なのだそうだ。しびれる。こんな老人になりたい。
フリマで声を掛けてきたお婆さんは本の内容を知っていたのか、あるいは何か感じるものがあったのか。