藤田真央のレビュー一覧
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MAO君として世界中で愛され、活躍していることを痛感するが、彼の音楽性ももちろんあるが、この文章を読んでいると、その感性を言葉にして表現する能力も素晴らしく、彼が演奏する時の心の風景を知ることができるように思った。3人の作曲家(スクリャービン、矢代秋雄、ショパン)の24曲の前奏曲への情熱が伝わってきて、ぜひ聴いてみたいと強く感じる。彼の食事に対する説明が非常に多く、親しみ易さを感じる。短いソックスで演奏に臨まざるを得なくなった!など愛嬌に富んだ面も好感が持てるところ。
ユジャワンの代役でゲヴァントハウスとショスタコーヴィチを演奏したという話など、またポリーニの代役も。この人の世界的な評価の高さを痛感した。彼がどうしても聴きたかったという若手ピアニストのイム・ユンチャンが紹介されているので、ぜひマークしておきたい。 -
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著者は、藤田 真央(ふじた まお)さん、ピアニストです。
1998年東京生まれ。3歳からピアノを始め、
2017年、18歳でクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝しました。
クララ・ハスキルといえば、モーツァルト弾きの名手だった人。
その名を冠したコンクールで優勝を果たした藤田さんは、2022年にモーツァルトのピアノソナタの全集アルバム「Mozart:The Complete Piano Sonatas」をリリースしています。(新進のピアニストが全曲集を出すのは珍しいことだと思います。)
この本で、藤田さんはモーツァルトの音楽について、こう語っています。
「モーツァルトの楽曲はどれもシンプルに見えて、じつは内面にいろいろな特質が埋まっています。遠近法が効いているといいますか、じっくり解釈していくと、絶妙なバランスで異質な響きや展開に出逢えるのです。」
また、このアルバムのライナーノーツには、こう書かれています。
「モーツァルトのピアノソナタの演奏をいろいろ聴いてみたのですが、私の演奏は他のものとは全く違う視点を持っていると感じています。私は確信を持って自身の解釈を投影したかったのです。それぞれのソナタは全く異なる性格であり、独自の物語や背景を持っています。私はその個性を伝えたいと思いました。」
そのソナタ全集を聴いてみてのわたし(みのり)の感想は、全体的に速めのテンポで軽やかに明るい音色で演奏されていますが、第2楽章の緩やかなテンポの中では繊細にきらめく音色をダイナミクスを活かしながら豊かに奏でていらして、とても心地よく美しい仕上がりになっていると思いました。若さが爽快感を伝える、新時代の解釈を披露していただけたように感じました。
藤田さんは、この本の中で、自身の性格をオプティミストだと語り、ピアノの音色についても、
「オプティミストたるわたしの生来の性質は、音楽にもよく表れているようですね。「あなたが弾くのはいつも明るく楽しい音だよね」と、よくいわれます。それでいい、とわたしは考えています。明るい音でみんなが幸せな気持ちになれたら、それも素敵なことじゃないかと思うのです。」と語っています。
タイトル通り、この本には世界各地への演奏の旅と、そこで出会った演奏家・聴衆から藤田さんが感じたこと学んだことが綴られています。
巻頭には、「コンサート・マップ」も載っていて、たくさんの都市が示されたこのマップから、藤田さんの人気の高さと活躍が窺われます。
マップを見ながら藤田さんの綴る各地でのエピソードを読むのは楽しく、藤田さんの素敵な人となりも分かります。
これからの更なる活躍と進化を見守っていきたいと思うアーティストです。
藤田さんの演奏を聴きながらお読みになることをオススメいたします。
きっと至福の時間になると思います♡ -
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藤田真央さん、ザ・ファーストテイクに出演されています。目を見張るような手元の動きはもちろん、複雑に重なった音があまりにも心地よくて、奇跡の音色とはこのことかと感動しました。
ぜひ動画で聴いてみてほしいです。
さて、こちらは世界のMAOと呼ばれる天才ピアニストの頭の中を覗ける貴重なエッセイ。
食べ物の話など普通の若者らしい一面があったり、音楽以外のお話もあって親しみが持てます。
衣装を5000円以下で購入していた話には驚きました。
曲の解釈、というのが楽譜すら読めない私には理解不可能ですが、歴史を知らないと表現できないとか、指揮者も天才なのでどんな解釈で弾いているか演奏を聴くだけで理解し合えたり、すごい境地にいる人達がいるんだなぁ、、、とポカンでした。
他にも、響きを計算するとか、ピアノの特徴を活かすとか、様々な要素を考えて演奏されているのだと知れておもしろかったです。
藤田真央さんのチケットは即完売でなかなか買えないそうですが、コンサートで生で聴いてみたいです。
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音楽の奥深さを表現することで非常に優れた文才を持つ若者だと感心させられ、このような感受性を持つピアニストだからこその素晴らしい演奏家なのだと納得した次第。ぜひこの人の演奏を今後は追いかけたいと思った。さまざまな指揮者エッシェンバッハ、ムーティ、バレンボイムとの接点も興味深い。ピアニストはプレトニョフ、ユジャワン、キーシン、トリフォノフら10人が集まってラフマニノフ前奏曲10曲を連続演奏したというスイス・ヴェルビエ音楽祭での2023年7月の一晩の出来事が印象的。特にプレトニョフが他の演奏を繋ぎコンバイン、アレンジしてハッピー・バースデイを演奏したという一幕は圧巻だった。著者にとっても一生の思い出の夏だという。とにかく著者が既に一流音楽家たちの1人になっている凄さを感じ、アルゲリッチ、ユジャワンの代役を務めた逸話も面白いし、コンサートの成績に拘らない謙虚な語り口と、素朴な生活ぶりでの素顔を衒いもなく語っていることに好感が持てた。そして高校時代、歌では音痴だった!というエピソードには笑えた。絶対音感のあるこの人には、合唱での微妙な音のずれが対応できなかったものだという、成程!
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ネタバレ著者の藤田真央さんは、執筆当時24~25歳。
別冊文集でのインタビューをきっかけに連載を担当されることになり、
その2022年からの毎月の連載が前半に、後半は、2023年の8月の一か月の自筆記録が掲載されています。
本のビジュアルのための写真撮影に文春さん取材チームもスイスに来られたりしたとのことで、とても美しい写真で飾られていました。
読み始めから、
今この同じ時代に、こんな人生を歩んでいる人もいるんだーと、まさに、世界を飛び回る生活でした。
そして、ピアニストとしてのご活躍、お仕事が、オファーで成り立っているということをまず知りました。前のコンサートで出会った人とのつながりで、次の仕事が舞い込んでくる、
ピアニストの代役も、急に連絡がかかってきて、この曲を弾けるか、と聞かれ、それに応え、出演が決まる、など、正直とても厳しい世界ということだと思いますが、
著者は確実に天才肌なのだろうと思いますが、
とにかくいろいろな出会いを大事に、そして一つ一つの機会を楽しまれているような、そんな雰囲気が感じられる記録でした。
どういう心境でピアノを弾くか、とか、
指揮者をどのように認識したり、共演しているのかとか、
あるいは曲に対する向き合い方とか、
まったく解像度のレベルが違い過ぎて、分からないけれどもなんだか新しい想像力が掻き立てられました。 -
Posted by ブクログ
黒岩里奈さんが紹介されていた本のため読んでみた。
私よりも年下だけど、世界で活躍するピアニスト。
クラシックは私は全くわからずだけれど、様々な場所でプロフェッショナルがどのように活躍しているのか、音楽を通して世界中の人と繋がっていく様子などがエッセイとして綴られていてとてもおもしろい。
時間や環境に恵まれない中でもベストを尽くすことの難しさ。ピアノって他の楽器と違って自分のものとして持ち運びできないから大変。
爪が割れたり、寒かったり、全然眠れなかったり、それでもどんな環境でも自分の演奏をしようとするプロフェッショナルさと、友達と生姜焼きパーティーをしている若者っぽさが両方あるのがまた魅力的な理由かも。
あと、音楽の才能というものがどういうものかはわからないけれど、とても理論的に向き合っているのが印象的だった。
例えば楽譜をどの版を選ぶのか、今までの楽譜の編成や様々な版を見比べながらいる点が、国文学の研究とも通じることがあって驚いた。
ピアノを弾くだけのテクニックではないところも素晴らしい演奏には不可欠なんだと。
あと、練習できないと不安になるらしくて、すごい。私はきっとずっと寝ていたい。