【感想・ネタバレ】指先から旅をするのレビュー

あらすじ

24歳にして「世界のMAO」に――規格外の天才ピアニスト、待望の初著作

20か国・100都市。世界が彼のピアノに恋をした。
クラシック・シーンを更新し続ける24歳が綴った、2年間の全記録。

2019年、弱冠20歳で世界3大ピアノコンクールのひとつ、チャイコフスキー国際コンクールで第2位入賞。
以降、世界のマエストロからラブコールを受け、数々の名門オーケストラとの共演を実現させてきた藤田真央さん。
現在はベルリンに拠点を移し、ヴェルビエ音楽祭、ルツェルン音楽祭といった欧州最高峰の舞台で観客を熱狂させています。

・エッセイ&語り下ろしによる、2年間の全記録
音楽の殿堂・NYカーネギーホールのデビュー。
欧州音楽祭で、一流アーティストたちと魂の共演。
新解釈で挑んだモーツァルト。
アジア人差別に直面したベルリンでの新生活。
亡き恩師・野島稔先生と交わした約束。
――本物の天才のみが見ることを許された景色とは?

・写真もたっぷり収録
スカラ座、コンセルトヘボウから、雪山の中の古城ホテル、フランスの森のピアノまで。
カラー写真で世界各地でのコンサートの様子をお届け!

【藤田真央】
★世界中からラブコール! 20か国・100都市でコンサート
巨匠マエストロ、一流オーケストラからオファー殺到

★奇跡の音色と圧倒的実力
18歳で「クララ・ハスキル国際ピアノコンクール」優勝
20歳で「チャイコフスキー国際コンクール」2位
日本人初! 名門ソニークラシカルとワールドワイド契約

★もちろん、日本でも人気はダントツ!
映画「蜜蜂と遠雷」では奇才・風間塵役のピアノ演奏を担当

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

世界的に活躍するピアニストなのだから、ピアノのことや曲の解釈、名だたる指揮者やオーケストラとの共演、若手音楽家との交流など、興味深い話ばかりなのはもちろん、藤田真央さんの人柄の良さも伝わってきてファンになってしまった。とても真面目で謙虚で音楽に真摯に向き合っていて、共演者やスタッフ、聴衆に対する尊敬と感謝を忘れず、礼儀正しい好青年(K-POPアイドルみたい)。
驚いたのは、若かりしとき(今も十分若いけれどもっと若いとき)の失敗エピソードも多く、巨匠たちに諭され、反省したということを隠さずに書いていること。こんなふうに失敗したことにきちんと向き合える人だから伸びるんだろうなと思う。
文章も読みやすく、言葉づかいが美しく上品で、気持ちよく読み進められる。その上、ユーモアもあるので、巨匠ヤノフスキに「初めてのSirを頂戴した」ことや、アムステルダム国立美術館のフェルメール展で出会ったマダムの話などクスッと笑ってしまうこともしばしばあった。
藤田真央さんの演奏は生ではまだ聴いたことがないのでいつか聴いてみたい。

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2025年04月26日

Posted by ブクログ

藤田さんの弾くモーツァルトを聴きながら読みました。
あらゆる場面から、彼の温かい人柄と、ピアノへの底なしの愛情が伝わってきます。恩師・野島稔さんや世界中の音楽家たちとの交流エピソードも、とても興味深く楽しい。
まだ20代と若い藤田さん。これからもたくさん、素敵な音を届けてほしいです。

0
2025年08月27日

Posted by ブクログ

最近クラシックがとても好きなので、世界中を飛び回るピアニストの生活ってどういうものなのか知りたくて読みました。

やっぱり歴史を生きてるって感じ。
歴史的な建物やホールを舞台に、歴史的音楽を奏で、自分も作品を残し、のちのち歴史に刻まれていく。
1つを極めるって凄い事だ。

でもその中でもベルリンで自炊して暮らしてるし、ベイスターズが大好きだし、なんらかわらない1人の青年。

有名な海外のアーティスト達と肩を並べての音楽祭。
本人もドキドキだろうけど、読むこちらもドキドキです。

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2025年07月22日

Posted by ブクログ

音楽と誠実に真摯に向き合い、作曲者が紡ぎ響かせたかった音を分析し追い求め、その上で観客には自由に受け取ってほしいと願いながら演奏する姿。ストイックで、ときにチャーミングな語り口。なんて魅力的なんだろう…ぜひ生で演奏を聴きたいと強く思いました。

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

ピアノを弾くように話す姿を見て、本を読みたいと思いました。本も同じく、柔らかい語り口で、綺麗な言葉で綴られています。音楽に真摯に向き合い、音を追求する気持ち、師事する方々へのリスペクト、努力する姿勢、彼のピアノを聴きながら読みたい本です。

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2024年11月13日

Posted by ブクログ

演奏途中でのMC(で良いのか?)お話し時のように、時にはクスッと、ベイスターズの話は異様に熱く…という真央さんらしさが本にも溢れていた!

表紙の、マオの本が素晴らしいものになるなら、とわざわざピアノを移動して撮影した写真がまたステキ!ストックサの中にある優しさ見たいな、人柄が溢れる一冊


演奏そのものにメッセージを込めないように注意してある、私の思いを載せすぎる事が、豊かな音楽を濁らせてしまうから

空間のどこに届けるか、音の響きを考えながら演奏する、楽曲によっても変わり、ラヴェルやドビュッシーは、最も丁寧に空間を読む必要がある。ホールで鳴らすとうねりのようなものが生じる。ドビュッシーは、パレットの絵の具を幾重にも塗り重ねたような複雑なハーモニーの組み合わせで成立している p. 32

人の営みと、人が生み出すあらゆるものに対する好奇心は、わたしの中で尽きることがありませんね。その最良のもののひとつとして、音楽という存在があるのだと思っています。p. 65

プログラム作りにおいて、音の響きを大切にしている。+曲の背景や物語性を意識して構成

恩田陸との対談で、
コンクールの順位ばかりフィーチャーされがち
文学賞の選考も同じ、面白いプレイヤーがいる事をみんなに知らしめる通過点であって、目標になってしまうと歪みが出るのかもしれません。 p.120

緊張を背負ったときは、それにどう対処するかではなく、それ自体を受け入れ、極限まで音楽に集中することが大切、偉大なるピアニストにして指揮者のウラディーミル・アシュケナージの言葉 p. 148

パラード、バレエでは、エリックサティが作曲、コクトーが脚本、ピカソが衣装と美術を担う パリのラ・ロントというカフェにてp. 186

マイスキーのチェロ

教会愛好家は、ゴシック、ルネサンスからのロマネスク様式に。シルヴァカンヌ修道院@ 南仏
ラ ロック=ダンテロン

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2024年07月15日

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藤田真央の音楽に抱く思いや、恩師や音楽家への尊敬と敬愛の気持ちなどがストレートに伝わってくる。彼の音や音楽がとても好きだが、このエッセイでお人柄も好きになりました。

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2024年06月12日

Posted by ブクログ

 藤田真央さん、若手のピアニストで、名前は聞いた事はあるが、演奏は聞いたことが無かった。しかし、彼の評価は、海外では非常に高く、夏の音楽祭は、引っ張りだこである。特に素敵だなあと思ったのが、スイスのヴェルビエ音楽祭。まるでアルプスの少女のような世界で、空気と景色が素晴らしい地域で開かれる音楽祭だ。バッハのゴールドベルク変奏曲を、ピアニストが一人づつ弾いたりユニークな演奏会もある。
 いつか、この音楽祭に行ってみたいなぁ。そして、真央ちゃんのモーツァルト全曲集のCDも聴きたくなった。

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2024年05月14日

Posted by ブクログ

クラシック音楽が今も脈々と生き続けており、その音楽を受け継いできた伝説の演奏家たちの中に、藤田真央さんが溶け込んでいっている様子がなんともエキサイティングでした。
他の演奏家との曲の解釈のすり合わせ、会場や楽器のコンディションを考慮しての音色の引き出し方、演奏中の指揮者や他のプレーヤーとのコミュニケーション等、リアリティが高くて読むだけでドキドキさせられました。
それにしても、これほどの領域に達するためには、物覚えの良い、小さな頃からたくさんの練習、経験を積み重ねないと、とても届くものではないですね。「人生は短く、芸術は長い」。

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2024年05月01日

Posted by ブクログ

欧州のコンサート環境のなんと素晴らしい事。音楽家が世界を股にかけ、仕事をするとは、こういう事か。困難な状況も、チャンスと捉え、エネルギーに変えていく著者。独自の感性と前向きな姿勢。異なる価値観も貪欲に受け入れる柔軟性で、更なる高みへと向かう。見習わなければ…。

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2024年02月24日

Posted by ブクログ

ピアニストとはこんな職業だったのか、と知っているようで知らない、初めて知ることも多かった。
必要な資料を読み解き、古の作曲家が綴った一音一音の意味を探って行く膨大な作業を思うと考古学者やキュレーターのようでもあるし、音を「作る」姿は職人のようでもあるし、練習に明け暮れる日々はアスリートのようでもある

十代の頃には傲慢さもあったというが、今ひたすらに謙虚にピアノに寄り添い聴衆と音楽を共有することを大事にしていることで、聴衆ものめり込めるのだろう。

自分の芯を貫くところもあれば、素直に聞く耳を持つところも他人に影響を受けやすい部分もある。愛煙家の師匠とお近づきになりたくてタバコを吸い始めたり、憧れのピアニストの隣席が空けばお話するチャンスを逃さなかったり、人への好奇心も強いようだ。
達観しているようにも見える一方、まだまだお若いし、危うい面もあることだろう。今後の活躍が楽しみ。
文章も丁寧で上品で、クラシック音楽の形式のように、組み立てがうまいというのか、常に頭の中をクリアにできているのだろうなと思う。

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

2025年7月27日
すごいレパートリー‼️
まだ素人感覚が残るミーハーぶりが親しみやすい。
それでも演奏は本物。
1音にこめるものは果てしなく探求は尽きない。
コンチェルトとリサイタル求められるものは違う。
なんと頭脳を使う仕事だろうか。

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

 著者は、藤田 真央(ふじた まお)さん、ピアニストです。

1998年東京生まれ。3歳からピアノを始め、
2017年、18歳でクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝しました。

 クララ・ハスキルといえば、モーツァルト弾きの名手だった人。
その名を冠したコンクールで優勝を果たした藤田さんは、2022年にモーツァルトのピアノソナタの全集アルバム「Mozart:The Complete Piano Sonatas」をリリースしています。(新進のピアニストが全曲集を出すのは珍しいことだと思います。)

 この本で、藤田さんはモーツァルトの音楽について、こう語っています。
「モーツァルトの楽曲はどれもシンプルに見えて、じつは内面にいろいろな特質が埋まっています。遠近法が効いているといいますか、じっくり解釈していくと、絶妙なバランスで異質な響きや展開に出逢えるのです。」

 また、このアルバムのライナーノーツには、こう書かれています。
「モーツァルトのピアノソナタの演奏をいろいろ聴いてみたのですが、私の演奏は他のものとは全く違う視点を持っていると感じています。私は確信を持って自身の解釈を投影したかったのです。それぞれのソナタは全く異なる性格であり、独自の物語や背景を持っています。私はその個性を伝えたいと思いました。」

 そのソナタ全集を聴いてみてのわたし(みのり)の感想は、全体的に速めのテンポで軽やかに明るい音色で演奏されていますが、第2楽章の緩やかなテンポの中では繊細にきらめく音色をダイナミクスを活かしながら豊かに奏でていらして、とても心地よく美しい仕上がりになっていると思いました。若さが爽快感を伝える、新時代の解釈を披露していただけたように感じました。

 藤田さんは、この本の中で、自身の性格をオプティミストだと語り、ピアノの音色についても、
「オプティミストたるわたしの生来の性質は、音楽にもよく表れているようですね。「あなたが弾くのはいつも明るく楽しい音だよね」と、よくいわれます。それでいい、とわたしは考えています。明るい音でみんなが幸せな気持ちになれたら、それも素敵なことじゃないかと思うのです。」と語っています。
 
 タイトル通り、この本には世界各地への演奏の旅と、そこで出会った演奏家・聴衆から藤田さんが感じたこと学んだことが綴られています。
巻頭には、「コンサート・マップ」も載っていて、たくさんの都市が示されたこのマップから、藤田さんの人気の高さと活躍が窺われます。
 マップを見ながら藤田さんの綴る各地でのエピソードを読むのは楽しく、藤田さんの素敵な人となりも分かります。

 これからの更なる活躍と進化を見守っていきたいと思うアーティストです。
 藤田さんの演奏を聴きながらお読みになることをオススメいたします。
 きっと至福の時間になると思います♡

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2025年07月08日

Posted by ブクログ

藤田真央さん、ザ・ファーストテイクに出演されています。目を見張るような手元の動きはもちろん、複雑に重なった音があまりにも心地よくて、奇跡の音色とはこのことかと感動しました。
ぜひ動画で聴いてみてほしいです。

さて、こちらは世界のMAOと呼ばれる天才ピアニストの頭の中を覗ける貴重なエッセイ。
食べ物の話など普通の若者らしい一面があったり、音楽以外のお話もあって親しみが持てます。
衣装を5000円以下で購入していた話には驚きました。

曲の解釈、というのが楽譜すら読めない私には理解不可能ですが、歴史を知らないと表現できないとか、指揮者も天才なのでどんな解釈で弾いているか演奏を聴くだけで理解し合えたり、すごい境地にいる人達がいるんだなぁ、、、とポカンでした。
他にも、響きを計算するとか、ピアノの特徴を活かすとか、様々な要素を考えて演奏されているのだと知れておもしろかったです。

藤田真央さんのチケットは即完売でなかなか買えないそうですが、コンサートで生で聴いてみたいです。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

ピアノは他の楽器と違い、自分の楽器を持ってコンサートに臨むことができない、その事はわかっていたけれども、ここまでピアノ1台1台特徴がここまで違うものとは想像していなかったので驚いた。難解なパッセージを引きこなすだけではなく出会ってすぐのピアノをコントロールし弾きこなす技術は計り知れない。
一つ一つとコンサートは、ピアノ、オーケストラ、指揮者、観客、それぞれとの一期一会で成り立っていると思うと新しい見方が得られた。

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

 音楽の奥深さを表現することで非常に優れた文才を持つ若者だと感心させられ、このような感受性を持つピアニストだからこその素晴らしい演奏家なのだと納得した次第。ぜひこの人の演奏を今後は追いかけたいと思った。さまざまな指揮者エッシェンバッハ、ムーティ、バレンボイムとの接点も興味深い。ピアニストはプレトニョフ、ユジャワン、キーシン、トリフォノフら10人が集まってラフマニノフ前奏曲10曲を連続演奏したというスイス・ヴェルビエ音楽祭での2023年7月の一晩の出来事が印象的。特にプレトニョフが他の演奏を繋ぎコンバイン、アレンジしてハッピー・バースデイを演奏したという一幕は圧巻だった。著者にとっても一生の思い出の夏だという。とにかく著者が既に一流音楽家たちの1人になっている凄さを感じ、アルゲリッチ、ユジャワンの代役を務めた逸話も面白いし、コンサートの成績に拘らない謙虚な語り口と、素朴な生活ぶりでの素顔を衒いもなく語っていることに好感が持てた。そして高校時代、歌では音痴だった!というエピソードには笑えた。絶対音感のあるこの人には、合唱での微妙な音のずれが対応できなかったものだという、成程!

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2025年04月12日

Posted by ブクログ

今をときめく若き日本人ピアニスト藤田真央氏のエッセイ。

何を考えて演奏しているのか、音楽家の頭の中を少しだけ覗き見る気持ちでワクワクして読みました。オーケストラや指揮者をはじめとした他の音楽家とのコラボも楽しく、彼らの情熱がこちらにも熱伝導してくるようでした。
また、写真がとても美しいです。

岩里奈さんが勧めていたので手に取りました。
一読の価値ありです。

一つ惜しかったのは、私自身のクラシックの造詣の浅さですね。
もっと知っていたらもっと楽しめたでしょうに…。
まずは藤田真央氏のコンサートデビューから始めてみようと思います。

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2025年02月07日

Posted by ブクログ

プロ演奏者がどんなこと考えてるのかを覗けて面白かった。もちろんもちろん想像を絶する努力ありきだけど、下地の才能があって好きなもので旅をして仕事ができてうらやましく思った。

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2024年12月03日

Posted by ブクログ

プロ奏者視点の言葉が素直に書かれていて、クラシック音楽好きとしては学びの多い内容。クラシック音楽に興味のない方でも旅行記のように読めて面白いと思う。
また言葉や文章がきれいで、読んでると写経でもしているような落ち着いた境地になれる、素敵な本。

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2024年11月24日

Posted by ブクログ

藤田真央さんと一緒にコンサート旅行をしている気分になる。彼の文章の巧みなこと。比喩表現が上手いので、思わずクスリと笑ってしまう。知ってる有名な演奏者がいっぱい出てきて、ヨーロッパのクラッシックの社交界を覗き見ている感じになる。なのに、真央さんはとても自然体で音楽性を共通言語にしてお友だちを広げている様子がわかる。あっさり書いているけれど、すごいことだと感じた。

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2024年10月15日

Posted by ブクログ

“わたしの人生の節目には、
モーツァルトが現れる_”



冒頭の言葉から魅了されました

藤田真央さんのピアノの音色は
言葉では表現できないほど
1つひとつの音の粒が
ま〜るい金の粒のように美しく
キラキラと輝いている



このピアノに 世界が恋をした!!



ピアノを心から愛し
偉大な作曲家の想いに寄り添いながら
そして 誰よりも音楽を楽しんで
弾いているんだろうな…と
たくさんの写真と文章から そう感じました

これからの活躍が とてもとても楽しみです

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2024年10月02日

Posted by ブクログ

 テレビでたまたま聴いた藤田真央さんのモーツァルトの音があまりに綺麗で、「あー、モーツァルトはこんな風に弾いてもらいたかったんだ、と喜んでるだろうな、モーツァルトもこんな風に弾いていたんだろな」と初めて感じた。

 それで、興味が生まれて本を手に取ってみた。表紙だけ見ても自ずとわかるけれど、本の作り、時々挟まれている写真など、所々からこのピアニストが本の制作に関わった人たちから愛されているのが伝わってくる。本を読んでこんなことを感じたのは初めてだった。

 藤田真央さんは、(本から窺い知るに)音から想像する通り、天真爛漫で懐が大きく、世界をチョロチョロと難なく駆け抜けていく、天性のの才能と能力を持っているようだった。自分に自信があるのだなぁ、強いなぁと感じた。それだけの努力や経験を積んできて作られたものだろうけれど。

 私は日本にいた時の大谷翔平さんがものすごく好きだったのだけれど、アメリカで活躍して変わってしまい、(もちろん、ご本人にとっても野球界にとって良いことなのだけれど)私はショックなのだが、海外で自信をつけてもまだ元の様子を残している方が、藤田真央さんなのかも…と、勝手に想像した。とても愛されキャラの方のようだ。

 第一部はメモする事が多く、なかなか進まなかったが為になった。
第二部はご本人が綴った日記的なエッセイで、肩の力を抜いて楽しく読んだ。

 今、日本人で一番注目されている、そして愛されているピアニストではないだろうか。私も、より藤田さんの演奏を生で聴きたくなった。コンサートに来て欲しいな。田舎だけど…

心に残った言葉が沢山あったので一部だけ

◯ピアニストが何かを選択する立場にいると勘違いしてはいけない。だから私はピアノと格闘するような真似も絶対にしたくない。どんなに盛り上がる場面でも、常にピアノに寄り添う姿勢を崩さないよう心がけている。ピアノをコントロールしきれず持て余し、挙句の果てに、対峙格闘するようなポーズを取る位なら、そんな難曲は最初から弾かなければいいし、弾いてはいけない。

◯私は、演奏そのものには、殊更にメッセージを込めないように注意しておりました。それは私自身の思いを乗せすぎることが、時として豊かな音楽を濁らせてしまうからです。

◯SNSなどで、演奏そのもの以外の情報が増えたせいか、クラシックの世界でも、目立つものが喜ばれる傾向が強まっていると感じられる。そんな時にいつも思い出すのが、野島先生のあのストイックな横顔なのです。

◯自分の信じる音楽を突き詰めれば、派手な勢いや強い押し出しなどに頼らずとも、伝えるべきことがちゃんと伝わるのだと思い知らされた

恩田陸さんとの対談で、恩田さんの言葉〜
◯今の時代に小手先のマーケティングをするのは無駄。数ヶ月で流行がガラッと変わる。世の中で、息の長い仕事をしようと思ったら、自分ができること、そして心からやりたいことをするしかない。

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2024年09月03日

Posted by ブクログ

テレビで拝見する限りフワフワとした印象の藤田氏の天才ぶりに驚愕した。次から次へと訪れる欧州での本番に臨む姿に、力みや気負いを感じない。突然の代役や厳しい条件すら楽しみと学びに変えてしまっている。共演者と共に音を紡ぐ素晴らしさに感動しながら、ただただ純粋に音楽と向き合っているように感じた。

最後のページ、客席に深々と頭を下げる写真と共にある文章には、藤田氏の謙虚なきれいな心が表れているように感じた。

ぜひコンサートで氏の演奏を聴いてみたいと切に思った。

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2024年08月31日

Posted by ブクログ

イスラエル ユダヤ教安息日シャバット
 エレベータがすべての階に止まる 温かい食べ物なし 火や電気の使用禁止
 モーツアルト 瞬間ごとの即興性 音色の変化  音数が絞られシンプル
 律儀さと繊細さ  ピアノソナタ全集 2022年

ミラノ スカラ座 
 ピアニシモ 指先の力 フォルテ 身体全体
 スタインウェイ 36万番台 鍵盤が象牙 汗を吸い取り弾きやすい 表面ざらつき

東京 オペラシティ
 シューマン 痛み 愛情
 シューベルト 客観的 ベートーベンがやりつくした後の時代 歌曲のような情景 

楽譜の解釈が最重要事項 作曲家のバックグラウンド 想いや経緯
 この曲はどういうことを表現したいのか 演奏の流れの大方針を立てる
 大まかにパートに切り分け個別に検討 より狭い範囲で同じ作業を繰り返す
 最後は一小節、一音の単位で
 わたしを表現するのではなく音楽を共有したい 橋渡し役 ピアノに寄り添う
 解釈は言葉によって 読書 塩野七生 ローマ人の物語

ヴェルビエ音楽祭
 ミハエル プレトニョフ 引退宣言の後カワイに出会う Shigeru Kawaiを愛用

プログラムの組み方
 音の響き、曲の背景や物語性
 モーツアルト リピートと即興演奏

コンセルトヘボウ
 赤いじゅうたんの大階段を降りてステージのピアノに向かう
 食堂に電子レンジ 夕食はスーパーの冷凍食品を暖めてホテルに帰り食べる

加湿器、カイロ、ヒーター
 サウナ状態で血の巡りと発汗、ラフマニノフ三番 最初から技巧開始できる
5000円くらいの服を2着バーゲンで安く買って使いまわし
 

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2024年06月23日

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一度演奏を聞いてみたいと熱烈に想っている、若きピアニスト、藤田真央さんの自伝的エッセイ。
これまでの経験や音楽への向き合い方、考え方、数々の出会いなどなどがびっしりと記されている。
お気軽なエッセイではなく、かなり音楽的なことが詳細に書かれているので、知識の浅い私には付いていけない部分も多々あったが、でもきょうみをもって読むことができた。随所に挟まれている写真も美しい。海外での活動が多いようだが、ぜひ日本でもツアーをやってもらいたい。

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2024年05月28日

Posted by ブクログ

20か国・100都市。世界が彼のピアノに恋をした。クラシック・シーンを更新し続ける24歳のピアニストが綴った、2年間の全記録。世界中で撮影された公演&オフショットも満載。『WEB別冊文藝春秋』連載を書籍化。

ふにゃふにゃした雰囲気のイメージとは違いしっかりした文章でびっくり。
タバコを吸っていたとか、自転車に乗れないとか音楽以外のエピソードにもびっくり。
たくさんの曲名が出てくるが自分の知識が足りないのでそれをイメージできないのが残念。

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2024年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者の藤田真央さんは、執筆当時24~25歳。

別冊文集でのインタビューをきっかけに連載を担当されることになり、

その2022年からの毎月の連載が前半に、後半は、2023年の8月の一か月の自筆記録が掲載されています。

本のビジュアルのための写真撮影に文春さん取材チームもスイスに来られたりしたとのことで、とても美しい写真で飾られていました。

読み始めから、

今この同じ時代に、こんな人生を歩んでいる人もいるんだーと、まさに、世界を飛び回る生活でした。

そして、ピアニストとしてのご活躍、お仕事が、オファーで成り立っているということをまず知りました。前のコンサートで出会った人とのつながりで、次の仕事が舞い込んでくる、

ピアニストの代役も、急に連絡がかかってきて、この曲を弾けるか、と聞かれ、それに応え、出演が決まる、など、正直とても厳しい世界ということだと思いますが、

著者は確実に天才肌なのだろうと思いますが、

とにかくいろいろな出会いを大事に、そして一つ一つの機会を楽しまれているような、そんな雰囲気が感じられる記録でした。

どういう心境でピアノを弾くか、とか、

指揮者をどのように認識したり、共演しているのかとか、

あるいは曲に対する向き合い方とか、

まったく解像度のレベルが違い過ぎて、分からないけれどもなんだか新しい想像力が掻き立てられました。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

音楽に詳しければ、あれやこれやが楽しく読めるんだと思う。師匠の野島稔さんの話も。
恩田陸さんとの対談が面白かった。やっぱり意識的に新しいものを取り入れようとしている人なんだね。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

黒岩里奈さんが紹介されていた本のため読んでみた。

私よりも年下だけど、世界で活躍するピアニスト。
クラシックは私は全くわからずだけれど、様々な場所でプロフェッショナルがどのように活躍しているのか、音楽を通して世界中の人と繋がっていく様子などがエッセイとして綴られていてとてもおもしろい。 

時間や環境に恵まれない中でもベストを尽くすことの難しさ。ピアノって他の楽器と違って自分のものとして持ち運びできないから大変。
爪が割れたり、寒かったり、全然眠れなかったり、それでもどんな環境でも自分の演奏をしようとするプロフェッショナルさと、友達と生姜焼きパーティーをしている若者っぽさが両方あるのがまた魅力的な理由かも。

あと、音楽の才能というものがどういうものかはわからないけれど、とても理論的に向き合っているのが印象的だった。
例えば楽譜をどの版を選ぶのか、今までの楽譜の編成や様々な版を見比べながらいる点が、国文学の研究とも通じることがあって驚いた。
ピアノを弾くだけのテクニックではないところも素晴らしい演奏には不可欠なんだと。

あと、練習できないと不安になるらしくて、すごい。私はきっとずっと寝ていたい。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

時の人である黒岩里奈さんが編集されたとのことで紹介されてたので読んでみた。
この著者の藤田さんは初めて知ったんですが、なんとも音楽の豊かさをこれほど文章で表現できるのもすごいなと思った。
ピアニストとしても一流なのもわかって、俄然興味出た。
この本に出てくるプレトニョフさんも気になった。

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2024年11月21日

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