黒栁佳子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この本、小説だと思っていたがエッセイだったのか…とちょっとガッカリしつつ読んだら、面白かった!
私も栄養士の資格を持っているので、この著者のマインドは共感しかない。
語り口もユーモラスなのでとても読みやすく、オススメです。
ほとんど料理出来ない受刑者たちが、限られた時間での安全な大量調理をするために、やむを得ずレトルトや冷凍惣菜を使用している。
しかしそういったものは割高なので、提供量が少なくなる。
受刑者たちは、我々の想像よりはるかに食事を楽しみにしているので、美味しく少しでも量を増やして、腹持ちの良いものを。と著者が工夫して受刑者を指導し、手作りのものや新メニューを取り入れていく。
その -
Posted by ブクログ
作者の黒柳桂子さんが法務技官として刑務所の管理栄養士になり、それからの日々がコミカルに語られます。
最初は受刑者相手に調理の指導をするということでビビりながら接していましたが、だんだん打ち解けていく様子が微笑ましいです。
いかにもなお兄さん達が花焼売に感動したりコロッケを爆発させたり…。
黒柳さんの「この…バカ息子たちがーー!」という愛ある叫び声が聞こえてきそうなエピソードが満載です。
健康な食事でお腹を満たすこと、食事がどの様に作られるのかを知り作ってくれる人に感謝することは受刑者の内面を豊かにすると思いました。
犯罪って困窮した状況や想像力の欠如から起きると考えているので。
出所して生 -
Posted by ブクログ
ネタバレラジオでたまたま著者がゲスト出演されてて知った。
刑務所って「あそび」が皆無の殺伐とした空間かと思ってたから、平和なほっこりエピソードが多数出てきて意外だった。
初犯の受刑者が集まる刑務署というのもあるし、さらに炊場に抜擢されるのは「エリート」だということもあるかもしれないが…
食べるの大好きなぽっちゃりさんが、食事の量を嘆きつつも適正体重にもどったり、甘いものに飢えて入所するとみんな「スイーツ男子」になり、あんこが大好きだとか…微笑ましいとすら思ってしまう。
3食全てをまかなうわけだから、栄養的にも責任重大だし、食事が少ない楽しみであり情緒の安定がかかってるという点でもプレッシャーがす -
Posted by ブクログ
管理栄養士というと、学校や病院などのメニューを考える仕事、というイメージだが、本書の著者は刑務所の管理栄養士。公務員である。
学校の食事は「給食のおばさん」が作るが、刑務所の食事を作るのは受刑者たちである。メニューを考えるだけではなく、受刑者たちに調理を教えるのも刑務所栄養士の仕事になる。
木工製品や紙製品などを作る工場とは別に、炊事や洗濯、掃除などの身の回りのことも受刑者たち本人が行うのだ。
刃物や火を使うので、素行の悪いものや情緒不安定な者は炊事工場、略して炊場(すいじょう)には配属されない。とはいえ、受刑者は受刑者なので、緊張感がある。
著者が炊場に行くまでには鍵を何ヶ所も開け閉めしなけ -
Posted by ブクログ
なんとなく人よりもムショ物が好きなような気がする…と思っていたら、こんな本ありますよ、と、同僚から教えてもらった本。軽いタッチで書かれていて一気読みしました。(この軽さがこの緊張した場所で仕事を長続きさせる秘訣だと思う)
刑務所で栄養士をする著者。様々なルールに則って受刑者と一緒に受刑者たちが食べる食事を作ります。
みりんなどのアルコール類が使えなかったり、平等に配膳をしなければならないので通常の家庭では一盛りにするおかずを一口大にして作るなど、工夫の連続です。
意外に思ったのが、やはり材料の入れ忘れがあること。どこにいて、監視されていていても、やっぱり人間のすることなんだなぁと思いました。