キャスリン・ペイジ・ハーデンのレビュー一覧

  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    とても読みやすい、とは言えないけど、必読。こうした遺伝の影響を考慮に入れずに、平等とか教育などは議論できない。ただ、とてもセンシティブで、繊細な理解が必要で、単純化するととても害のある暴力的なものになってしまう。理解も難しいが伝え方も難しい。平等も教育も、それこそこれからの国家や人類の行く末にとっても重要な課題で、この本に書かれているのはその根幹をなす知識なわけで、本当に重要なんだけど、単純化しないでちゃんと理解する必要がある。地道に読んで理解する価値あるし、そういう人が増えてほしい。

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    2024年07月05日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    遺伝に関する言説について、特に優生学に繋がっていくような言質が蔓延っている中、決定論的に全てを形作るものではないが、人生の成り行きを形成する重要なファクターであるということを認識した上で、どう平等を実現するか、という思考への過程が記されていて、目が覚める思いでした。

    遺伝による差は確かに存在するが、その生まれながらに得た人間の価値と、社会的に価値づけられた価値を混同してはならない、という言葉には、昨今の社会的な雰囲気に一つ明かりが見えた様な感覚になりました。

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    2024年01月01日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    ネタバレ

    優生学は、理論的根拠として遺伝学を取り込み、間違った考えや歴史を生み出した。いまだに私たちの無意識にも、そのような悪しき優生思想の片鱗が存在しているかもしれない。

    自己責任という言葉もそう言った優生学の考えが下敷きにあるからこそ、出てきて、物事の本質を見ないで責任をその人自身の責任にすり替える言葉だと思う。

    この本は、遺伝学をニセ科学の優生学から取り戻すための、挑戦の書である。

    親ガチャの呪いから我々は脱却することができるのだろうか?そのヒントがこの書には丁寧に記述されていました。

    人はこの世に誕生する時、2種類のくじを引かされる。「社会くじ」と「遺伝くじ」だ。

    社会くじは、格差や不

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    2024年09月28日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    ネタバレ

    子どもが育つ社会的環境的条件と、子どもの人生には関係があることは前提=社会くじ。
    遺伝子の偶然も子どもに影響するか。遺伝子の影響も子どもは選べない=遺伝くじ。
    遺伝子の影響を議論すると優生学的とみなされる。
    人種間に遺伝的な違いは無い=人種とは、人類が分類したモノに過ぎず、遺伝子的には広汎な選択肢がある。

    遺伝子は多様正がある。ふたりの親から生まれる子どもの遺伝型は70兆以上の組み合わせがある。一つの特徴的な遺伝情報は、プールの中の一滴のインクのようなもの。エンドウ豆のように単純ではない。
    遺伝子はたんぱく質をつくるレシピ=レシピが同じでも同じ料理はできない。GWAS(ジーワス)=ゲノムワイ

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    2024年09月17日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    三代遡れば8人分。我々は先祖代々受け継がれるものをランダムに配置されてきた。人は生まれながらにして違う。それを認めなければ格差はなくならない。得手不得手は遺伝子が決める。機会均等にしても結果には運が左右する。何が優位かは時代で変化する。バリエーションの多さは種の存続のため。更に、自由主義経済では消費が生産を促す。富の独占では生まれる価値に偏りが出る。優勢思想は今この時代をも衰退させる。苦手なことは補完されて、得意なことは活かされる。出来も不出来も受け入れて、素の姿を尊重する。そんな社会を目指していきたい。

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    2024年08月13日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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     著者はテキサス大学の心理学教授。本作が処女作ということになるようだ。訳者は「フェルマーの定理」の訳で有名な青木薫氏、最近ではブライアン・グリーンの大著「時間の終わりまで」などがあり、科学啓蒙書の翻訳には定評がある。本書もそれらの例に漏れず訳がこなれていて読みやすい。
     
     著者の主張は本書で幾度となく言及されているように、政治哲学者ジョン・ロールズの思想の強い影響下にある。ロールズによれば、「遺伝子セット(自然的偶発性)」と「社会的環境(社会的偶発性)」は、内在的であるか構築的であるかの違いはあれど、どちらも人間の表現型(実際に発現し測定可能な特質)に作用し、人生の広範な局面に影響を与えるの

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    2024年06月11日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    ヒトゲノムが解読された時に「全ての人間は99.99%同一だ」と言ったクリントン大統領の発言は間違っているし、間違いの上に社会基盤を構築しようとするのも間違っている。遺伝による違いは歴然と存在しており、学業の達成度や社会的な成功に関係している。ただし、それは優劣という比較の対象になるようなものではなく、運良くたまたま受け継がれたにすぎず、次の世代に受け継がれていくという保証もない。

    必要なことは機会の均等(全ての人に同じ教育機会を与える)ではなく、個別化、最適化された教育である。ろうやアスペルガーが障害でなく特性だ、というのはやや言い過ぎのように思うが、公平と平等の違いなと、遺伝的な差異と社会

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    2024年03月24日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    遺伝と「平等」と言うと、優生学とか過去の色んな犯罪学とか絡んできて若干引くところがある。

    筆者も、それは否定しないし、実際過去にはそれが利用されて来たのも事実。

    だが、社会的成功や人生に、「遺伝」が絡んでいることは、否めない事実であり、それに目を瞑ることもまた、誤りにつながると論ずる。

    前半は、様々な遺伝に関わる研究の成果、手法の進歩、問題点について触れ、遺伝の影響を排除は出来ないことを述べ、後半でそれを前提にした上で、では、どう言う社会を作っていくのが望ましいのかを説明していく。

    いい内容だと思う。

    環境ガチャと遺伝ガチャは事実であるが、いくつかの特定の遺伝子に起因する病例などを除

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    2024年02月20日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    面白かった。
    各種研究の結果は肌感覚に照らしても納得感が強かった。現代の知識社会で高い評価を受けがちな能力・特性に、遺伝はまあまあ影響している。

    個人的には「遺伝学を優生学と混同しないで!」と言うためにどれだけ紙幅を割くのか……と感じてしまった。
    内容の割に文が重たい。それだけアメリカの状況が複雑だということなのかもしれない。

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    2024年05月06日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    優生学や人種主義と結びついた遺伝学の悪歴史が「人は皆同じ」に固執させ、最新テクノロジーとなった遺伝学の活用を妨げている。同じ遺伝子でも社会や成育環境が異なれば成り行きが変わるとはいえ、適切に使えば効率的な介入や政策が可能になる。

    社会のタブーになってたり、一部の人たちだけのメリットになってたりじゃなくて、ほんとに、適切に扱えるようになるといいと思います。

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    2024年01月02日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    遺伝の影響は軽視もできず、かといってタブーもしてはいけない。咀嚼が難しい本。ただ、我々はたまたまうまくいっている、という点を心には留めておきたい

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    2023年12月31日
  • 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる―

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    少し内容的には難しかったが、今まで人を分ける時にはそれは優生論となってしまい、あまり遺伝と人の関係は研究されて来なかった。

    だけども、人は誰しも違う遺伝子に生まれ、それが個性として現れることは事実である。
    生まれた時の遺伝子と生きる環境によって人の人生は変わってくる。
    よく言われる親ガチャは悪い意味で使われがちだが、人が親からもらってるもの、遺伝子が違うのは事実である。

    それをうまく利用することで社会を良くすることはできるかもしれない。
    そう思わずにはいられないが、持つものが結局は負担が大きくなる。それには結局は反感を買ってしまう部分があり、どうなのだろうと思ってしまう。

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    2023年12月30日