カール・ヘラップのレビュー一覧

  • アルツハイマー病研究、失敗の構造

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    アルツハイマー病に係るこれまでの歴史を他の本などで検証したことがないので、この本を100%の純然たる事実として受け止めることは難しいという前置きをする必要はある。
    その上で、この本の提示する失敗は、失敗の本質を読んだ時のような、どんなに頭の良い人達が集まって進めたとしても途方もなく間違えてしまい、軌道修正ができない絶望感があった。

    翻訳の妙もあり、元々ユーモアありつつ軽妙な語り口でとても読み易い。良い本です。

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    2024年12月22日
  • アルツハイマー病研究、失敗の構造

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    ネタバレ

    内容については言うに及ばず、和訳が良い。本書は下記のような注釈から始まる:
    "本書は現在「アルツハイマー型認知症」と呼ばれる疾患の研究について記述しており、この疾患名が頻出語となるため「アルツハイマー病」と略記する。また、「若年性」「家族性」などの断りが特にない場合は、弧発性アルツハイマー型認知症を指す。"
    本書は「アルツハイマー病とは結局、なんなのか?」という本なので、和訳にあたって慎重に言葉を定義するのは極めて誠実な姿勢と考える。自分は原書をあたっているわけではないので原書と和訳書の比較まではできないが、この注釈が最初にあるお陰で全編にわたって安心して読み進めることがで

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    2024年11月12日
  • アルツハイマー病研究、失敗の構造

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    アルツハイマー病の本。面白い。
    アミロイドβやタウタンパク質をターゲットとした治療(なかなか上手くいってない)に固執している業界への批判が多くあるがフラットな視点で描かれている印象。またアメリカローカルな話題は少し退屈だった。

    以前読んだ下山進さんの「アルツハイマー征服」も面白かったが、アルツハイマー病研究で面白いポイントは原因とされる病理について結論がでておらず、日々のニュースでアデュカヌマブなどの新薬についてプロセスが追うことができること。
    ・アルツハイマー病の定義は何?
    ・主犯は誰?
    現在進行系の問題のため本書でも結論は無い。
    頭を切らずに観測しやすいアミロイドβをまずターゲットにして

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    2024年08月04日
  • アルツハイマー病研究、失敗の構造

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    とても面白かったです!
    1〜4部まであり、その中でさらに章立てがしてあるのですが、3部までは著者がずっと怒ってます。本当にずっと怒っているので、読み手もいつのまにか引き込まれ「そうだそうだ」という気持ちに…。怒りは人を煽動するのだと本旨とはあまり関係のない感想を抱きました。
    とはいえ、もちろん内容も素晴らしかったです。アルツハイマー病の研究で何が間違っていたのか、今後どうすればいいのか、通説への鋭い批判が気持ちいい。あくまで過去の研究そのものへの敬意は感じられ、著者はアルツハイマー病という人類にとって大きな危機に誠実に向き合っているだけなのだと思いました。
    しかし、アルツハイマー病研究の構造を

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    2024年08月04日
  • アルツハイマー病研究、失敗の構造

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    2024/06/21 読み始めた

    失敗の科学に次ぐ失敗シリーズ。「失敗」の蓄積は自分の一大テーマである。

    2024/07/03 読み終わった

    第1部でアルツハイマー病の病理?的な話が多く、ちょっと面食らう。難しい〜!と思ったけど、そこはなんとなくの理解で読み進めることができた。

    詰まるところ、アミロイドとアルツハイマーの相関関についての初期の研究結果があまりにも良かったため、その後アミロイドの研究ばかりが注目された(医学的にも政治的にも経済的にも)。しかしその後の研究の成果は目覚ましくなく、他の可能性も考えておけば良かった、という話。

    ではなぜそのような事態になったか、が第2部と第3

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    2024年07月17日
  • アルツハイマー病研究、失敗の構造

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    空転を繰り返したアルツハイマー研究の歴史を紹介。アミロイドプラークを原因とした研究が進みすぎた結果、他の要因への配慮が行き届かず、毎年莫大な研究費が注ぎ込まれたと本書は批判する。勿論素晴らしい成果も生まれたがそれでもまだ解決には至っていない。

    全て読み終えると何か道筋が見えてくる、という類いの本ではありません。これまでの失敗の歴史を辿る本だからです。アルツハイマー病という病の複雑さや研究者たちの知を集結させてもまだ一向に解決しないという恐ろしさを痛感しました。

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    2023年10月03日
  • アルツハイマー病研究、失敗の構造

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    アルツハイマー病の原因がアミロイドβ、タウの蓄積にあるとする、セントラルドグマへの告発である。
    確かに、アミロイドβなどの除去には成功したが、認知症の改善にはつながらず、治験段階で開発中止となるケースが何件か出ていると聞いている。
    であれば、本当にこれらが原因なのか、と疑うのが普通だが、アルツハイマー=アミロイドの蓄積と定義されて、それ以外の原因への研究が進んでいないらしい。
    業界の構造にも色々問題がある様だが、アミロイドβがニューロン死滅の原因となる生理学的証明は出来ていないことからすれば、それ以外の原因についても研究を進めるべきである。

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    2024年03月15日
  • アルツハイマー病研究、失敗の構造

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    前半のアミロイド仮説の問題点に関する指摘は一理あるが、後半の対案の提示や、自説は臨床試験をどう行うかという視点が欠如しているように思う。

    また、近年の、バイオマーカーに基づいた診断/治療効果や進行のモニタリングを行う臨床ガイドラインに対しても、著者は臨床症状を重視すべきとの考えのようだが、必ずしも客観的ではない診断方法である欠点に対する論理的な根拠が薄いと感じた。

    総じて、前半の問題点の指摘は一読の価値があるが、後半は読み流すくらいがちょうどいいだろう。

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    2024年07月11日