毎日新聞校閲センターのレビュー一覧
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日本語というしなやかな言語を学ぶ大人の国語でした。
日本人ならどんな日本語を使っても伝わるものは一つとして思っている人はいないでしょうか?
この本を読んでから日本語って実は解釈違いをたくさん持ちやすい危険な言語だと思いました。普段から使う言葉でも実は正しく伝わってないのかもしれないとおそろしくなりそうでした笑
文章や文脈の中身ではなく日本語によってそれが起きてしまうかもしれないということ、この本を読んで、あれ?私が思っている解釈って実はマイナー意見だったの?なんて思うところがいっぱいあると思います。
なににせよ日本語って私たちが思っているよりもアップデートしてきているんですね。自分が普段から使う日本語ってもう実は意味が古かったりしますよ。 -
Posted by ブクログ
日本語の「曖昧さ」はよく聞くが「紛らわしい」あるいは「おかしい」もあるとプロの編集者は言う。因みに「見える化」は気になる人が多く、「可視化」「見えるようにする」が正しく、「違和感を感じる」も違和感ありと言う人が多い。正しくは「違和感を覚える」べきで、「犯罪を犯す」は犯が重複しているため正確には「罪を犯す」、その他「馬から落馬する」「足の骨を骨折する」「楽観視する」「過半数を超える」なども言葉が重複している、と言う。更に気になった言葉は世代によって差がある言葉。「3000人台を突破」とは?と言う質問に対して3001〜3999人が正解だが、一般的には3000人超が34%、3001〜3999人が19.9%、4000人以上が27.7%と答える。また、「一両日」とは今日から?明日から?と言う質問には、今日か明日:59.8%、明日か明後日:22.1%、更に「弱冠x歳」とはどれくらい?に対して、20歳:52.3%、16〜20歳:34.4%、18〜29歳:4.0%と言う感覚格差があると言う。
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Posted by ブクログ
校正は字句・表現、体裁の誤りを正す。
一方、校閲はファクトチェックも行う。
本書は、毎日新聞の校閲部の記者さんたちが、業務で出会ったさまざまな事象を、時にご自身の失敗談も交えたコラムをまとめたもの。
その守備範囲の広さに、びっくりする。
たとえば、小津安二郎の映画『晩春』に言及した原稿。
ヒロイン曽宮紀子が小野寺を「おじさま」と呼ぶ。
原稿では彼を「叔父さま」と記していたが、本当にそうなのかを調べたりする。
伊勢の観光PRキャラ「はなてらすちゃん」が「はなたらすちゃん」になっていたりする誤植を発見する。
インタビューでの方言を、記事にするとき、どう扱うか。
地名は本当にやっかいだそうだ。
目黒駅につける「東京都〇〇区」の注記。
うっかり「目黒区」としてしまっていないか。
駅名は「虎の門ヒルズ」なのに、ビル名は「虎ノ門ヒルズ」だったりするトラップがある。
クイズコーナーの迷路を解いて、本当に答えが一つになるか、色彩表現は適切かどうかもチェックするとも。
対象への固定観念を植え付けることがないように、という配慮も、新聞社として大切にしていることが伝わってくる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「いつぶり」はおかしい、という人が多い。
「なみなみならない」は「なみなみならぬ」というべき。
「大丈夫です」という返事はあいまい。
スポーツ選手の敬称は文字数がかさむためつけていないのが最初。
太平洋戦争、第二次世界大戦、アジア太平洋戦争、どれが正しいか。教科書はアジア太平洋戦争。
「すごい」+形容詞は書き言葉として許されるか。「すごく」+形容詞で書くべきか。すごいうれしい、すごくうれしい。すごい重い、すごく重い。
予想の斜め上=予想以上というよりずれていて予測不能な感じを表す。
「ほぼほぼ」「いまいま」は許されるか。
「黒歴史」は俗語だが辞書には載ってきた。
真逆=正反対のこと。俗語だが一般的になってきつつある。
「ひとごと」に対して「自分ごと」と言っていいか。
本来、他人事、とかいてひとごと、と読んだ。それの対語として自分事、ができた。
「刺さる映画」とはどのような意味か。感動、したの意味で流行語大賞にもなった。
「義実家」も新たな表現。
「見える化」はトヨタの社内用語から。
外来語が形容詞化した例。エロい、グロい、ナウい、エモい、など
「違和感を感じる」と「違和感を覚える」
「危機感を感じる」「危機感が感じられない」
「まだ未定」「犯罪を犯す」、「歌を歌う」は普通だが。犯罪を犯す、と罪を犯す、では意味が若干違う。
「ノーベル賞を受賞」、「小学校から下校」足の骨を骨折する」は普通につかわれている。
「犯罪を犯した疑い」はどうか。
「コンビ二人」「後で後悔する」はおかしい。
「楽観する」「楽観視する」「客観視する」はいいが「客観する」とはいわない。
「過半数を超える」は重複表現だが、半数よりひとり多いことを示すのであれば可能かも。
「注目を集める」は「耳目を集める」「注目を浴びる」。
DX化はおかしい。IT技術、のようなもの。
従来から、は従来。
生ライブはライブでいい。
パーテイションもパーテーションもどちらでもいい。
素敵、は当て字だが通用している。無駄、乙女、可愛い、も当て字。
令和の例の字は、どう書くか。書き文字と印刷文字の違い。
「おざなり」と「なおざり」の違い。おざなりはその場限りの間に合わせ、の意、なおざりは等閑、おろそか、の意。一応するのが「おざなり」、しない場合もある「なおざり」
食料か食糧か。どちらも穀物の意味。食糧のほうが穀物らしい感じ。食料はその他のものも含む。
一両日中=今日中は無理だがあさってくらいなら。もしかしたら明日かも、がんばって早くするからもうちょっと待ってて、という意味。 -
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毎日新聞校閲センターで、校閲記者を務める皆様による連載コラムの書籍化。
同センターが運営されているウェブサイト「毎日ことばplus」は、仕事で言葉の取り扱いに悩んだ際よく参考にさせていただいている。
私はおもに文芸がメインだけれど、新聞の現場でおこなわれている校閲の様子をとても興味深く読んだ。
やっぱり常にスピード重視だし、誤りやすい固有名詞がわんさかな上に、未知のジャンルの専門用語も次々と飛び出して大変そう。単純誤植はもちろん、事実確認や写真との整合性や単位の間違いなど、確認しなければいけない事項は多岐にわたる。
そして、限られた紙面だからこそ常に端的でキャッチーな言い回しが求められ、その用法が正しいかどうかが絶えず問われるというのも、校閲記者としては頭を抱える要因の一つなのだろう。
メディアのなかでも報道の要として数多の事象を取り上げる新聞であるからこそ、「障がい」や「(新型コロナウイルス感染における)汚染」等、差別的・不適切表記でないかどうか、言葉の言い回しに対してとても敏感で慎重である姿勢も尊敬したい。
実用的で勉強になるだけでなく、エッセイや読み物としての満足度も高い内容でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ各章のテーマとなる言葉について、アンケートから入るのが良かった。本題に入る前にまずそこで「うーん」と自分の考えをまとめてから解説を読むので理解が深まる感じがしました。校正の勉強をしていた若い頃を思い出しつつ読みました。そしてプロでも結構悩むんだなぁと興味深く読みました。言葉はナマモノなんだなぁとも。
あんまり深く考えたことのない言葉も取り扱っていてそこも面白かった。初老(昔は40歳で初老という認識だったと聞いたことがあり衝撃だった。本書ではそこまで明確にしてませんでしたが)や妙齢というときの年齢を自分も昔間違って認識してて改めて知ったときの衝撃を思い出しました。
そういえば卵と玉子の言葉の使い分けも、料理に使うのかそうでないのかで分けると聞いたことがあっだけれどそれは本書には出てこなかった。真実を知りたい。はっきりしたものがあるのなら。
あらためてこうしてみると、日本語ってやはり難しいなぁと思い知った気がします。
でも良い読書だった。面白かった。言葉に興味がある人なら楽しく読めると思います。 -
Posted by ブクログ
おもしろい!日本語が面白く思える書。そして校閲という仕事の奥深さを知れる書。校閲者の本音も垣間見ておもしろい!個人的には、水上由布さんの考察が1番好きだった。章末に校閲者の名前が記載されているので、考え方の違いを感じられるのも面白かった。
p.66 人は間違える生き物である。だからこそ日々怠ることなく、訓練された複数の目を生かして、一字でも誤りを減らしていきたいと思う。
p.68 その理由の1つに、日本人(日本語)は、濁音化静音化を厳密に区別する意識が、他の民族や言語より希薄なのではないかと言う考え方があります。ゲージとケージのように全く別のものになってしまう。言葉はもちろん要注意ですが、従来表記の定まっているものでも、異なる表記で繰り返し原稿に登場してくる現場に合わせると、思わずうなずいてしまいます。
p.83 阿部泰雄『つくられた恐怖の点滴殺人事件ーー守大助さんは無実だ』
p.134 ジェンダーに限らず、差別などに関する後は、そうした「気にする人がいるかどうか」で使用の是非を判断されがちだが、真に大事なのはそこではない。メディアが特定の価値観に基づいた表現を使うことにより、人々に、そうした価値観を知らず知らずのうちにすり込んでしまうのが問題なのだ。例えば、記事につけるイラストで、いつも少年を青の服、少女はピンクの服だったらどうだろう。あるいは、外国人のイメージイラストが毎回金髪で白い肌だったら。
p.138 感染発生依頼、世界で中国を始め、アジアの人々への差別が問題となり、欧米ではマイノリティーの死亡率が高いと言う。差別が生死を分け、ウィルスがその差別をさらに加速させる。差別を食い止める1つの武器、それが「言葉」だ。今言葉ができること。いつもそれを問いながら、原稿に向かう。校閲者として、また1人の人間として。
p.197 大事な人の名前は、絶対に間違えたくないですよね。それはその文字の連なりが、自分にとって2つとない特別なものだから。バラバラにするとなんでもない文字なのに、並べて完成させた途端、特別な意味を持ってしまう。名前って不思議です。新聞紙面に出てくる名前をチェックすると、そんな「この人を思う誰か」にがっかりされないように努力しています。
p.251 連載を長く続けていると、往々にしてこの話題は以前にもあったと言うネタかぶりが発生しますが、事前の調整はほとんどしないのに、同一テーマになる事は全く言って良いことありませんでした。これは新聞の校閲が無限の事象をチェックしていることの表れだと思います。それとともに、各執筆者の個性や趣味が、あるときにはチラリ、あるときにはヌっと出ることが、校閲と言う黒衣にも思える仕事に多様な色を加え、一人ひとりの太陽が伝わる校閲を描き出したからではないでしょうか。
もちろん、日本語の誤字や不適切表記に毎日直面している職場ならではの話題もふんだんにあります。ただし、高みから誤りを切り捨てるのではなく、その誤りが発生する現場の感覚や、正解のない問題に書き続ける姿を伝えることを重視したつもりです。そうすることで、よくあるマニュアル本とは1戦を画する読み物になったと思います。