大谷亨のレビュー一覧

  • 中国の死神

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    「無常」という中国の死神の成り立ちや民間信仰の様子を研究する。研究書といっても、言葉は易しく写真も豊富なのでとても読みやすい。推論を立て、文献や現地調査を通じて、少しずつ謎が明らかになっていくという研究の様子が追体験できる。

    「無常」という神様は、ノッポの「白無常」(表紙の写真)とチビの「黒無常」のセットで祀られるのが一般的で、中国や台湾の廟で見かける神像のなかでも特に印象的な外見をしている。道教では数多の神様が信奉されているが、その中でもメジャーな存在といえる。(ちなみに、台湾では「七爺」「八爺」とも呼ばれている。)

    もともとは没個性的だった「無常」が、どのようにして現在の「白無常」ような姿になったのか、ソロだった「白無常」になぜ「黒無常」という相方ができたのかという謎が解き明かされていくのが非常に面白い。

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    2025年02月26日
  • 中国の死神

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    ネタバレ

    以前から中国の神様とか神話に興味がありました。
    というのも、天帝とか西王母のような存在はあるらしいのですが、どうもそれと宗教や信仰が私の中で結びつかないのです。
    でもまあ、死神から勉強してみるか、と思って読んだのですが、思っていたのとはちょっと違う展開になってしまいました。

    著者がテーマとして追いかけているのが「無常」という死神です。
    ここで中国の世界観が関係してくるのですが、神様は基本的に天にまします。
    しかし、寿命が尽きそうな人間がいると、部下に「迎えに行ってやれ」と命じます。
    なんと神さまの世界は階級社会で、しかも官僚制です。
    上司である神さまに命じられて迎えに来てくれるのが勾魂使者である「無常」なのでした。
    あんまり死神っぽくな~い。

    しかもこの無常、「白無常」と「黒無常」のペアが一般的なのですが、時代を遡ったり違う地域だったりすると「白無常」オンリーだったり、「ぶさかわ黒無常」との3人組だったりといろいろです。
    そんなことから、「無常」とはなんぞや。
    いつ、どこで、どのように発生したものなのかを、フィールドワークを中心に解き明かしていきます。

    ちなみに中国思想では、神はすべて天に、人はすべて地に、死者はすべて地獄にいます。
    善人も悪人も区別なく地獄。
    ただし、悪人にはひどい仕置きが待っている、と。
    そして善人は、まれに神さまになれたりもします。
    私が中国の神様でよくわからなかったのがここです。
    人間が修行して道士になったり仙人になったりするのはわかるとして、元が人間の神さま多くね?

    清の時代の末期での「無常」の成り立ち。
    貧しいけれども、盗んだものを母親に与えたりした孝行息子(?)が、死後にその善行(?)を認められて神さまになったとさ。
    え?マジ?
    じゃあ、ジャン・バルジャンなんて中国に生まれてたら神じゃん。

    しかしもう少し遡って、清代の中期(日本だと江戸時代くらい?)に、山に棲む化け物がいろんな話とまじりあってできたのが「白無常」なのではないか、ということです。
    ええと、つまり、それって日本だったら妖怪ってことでいいよね。神じゃないね。
    あとがきで著者も、中国にはたくさんの妖怪がいるけれども研究が進んでいないと書いていましたし、やっぱ妖怪なのね。

    それこそ民俗学みたいなものが中国にはなくて、どんどん近代化がすすめられているため、近い将来には非常に漂白されてきれいになったものしか残らないのではないかという危惧。
    今こそ急いで中国の水木しげるみたいな人に頼んで(誰?)、絵と文で妖怪を紹介していかねば!

    そして、結局のところ「無常」が現れてから2~300年くらいしかたっていないということ。
    神としてはせいぜい100年ちょいくらい?
    中国4000年の歴史を考えるに、あまりにも新しい神さまではありませんか。

    民間信仰は民間信仰で祀ってはいるけれど、あくまでも現世での利益をお願いするくらい。
    死後の安寧とかそんなもんは一切関係ない。
    やっぱり中国人ってリアリストだなあ。

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    2025年02月14日
  • 中国の死神

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    民俗学系のYouTubeチャンネルで紹介されていたことをきっかけに読みました
    元々妖怪好きで日本の妖怪には興味を持って来ましたが、今回この本を読んで中国の妖怪や東南アジアの他の地域に伝わる妖怪伝説のようなものにも断然興味が湧いてきたところです
    学術論文の間に挟まる著者のフィールドワークでの体験を書いたエッセイがどれも面白くて最後まで楽しく読めました

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    2024年12月29日
  • 中国の死神

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    ブサ怖い表紙に誘われて最後まで一気に読んでしまいました。この本を知って台湾等アジアの廟を巡ると面白いかも。民間信仰の無常の歴史良く調べている。
    中国の妖怪の原点かな。
    とにかく色鮮やかで、ブサ可愛い、不気味で怖い、楽しく入りやすい面白い学術書です。
    こんなの初めて見ました!

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    2024年03月04日
  • 中国の死神

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    何かで紹介されていて、表紙を見た時から読みたかった一冊。
    中国の「死神」無常に関してのとても丁寧な解説書。今の在り方だけではなく、その発生過程を愉快なフィールドワークで丹念に記している。
    個人的には、一服のように添えられているそのフィールドワークも、一冊の本として読んでみたい。

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    2024年01月30日
  • 中国の死神

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    YouTubeチャンネルで本著を知り、拝読。中国で一般的な神である「無常」について民俗学の視点から考察していく。民俗学に興味を持ち、フィールドワークの手法を知るのに非常に参考になった。なんでもありな東洋思想の柔軟性は、現代に生きる我々にも「ま、いっか。生きてれば」そんな安心感も与えてくれる。中国の謎の神無常について著者が様々な場所に赴き、様々な経験をするさまは、中国の片田舎を知る紀行文としても読むことができる。中国妖怪学の進展を期待してならない。

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    2026年09月02日
  • 中国の死神

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    「無常」という、死神というかなんというか…を人類学的に追跡研究した本。堅すぎなくて面白かった。旅行記も。
    妖怪は日本人はよく研究してるけど中国は全然らしい。へえ~。こういう怪異がこういう別の解釈をされて変容してもとの怪異に逆輸入…みたいな論理は京極夏彦をたしなんでいるのでよく理解できた。

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    2026年07月22日