西谷かおりのレビュー一覧
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ヒュー!
思わず口笛をふきたくなるくらい、かっこよくて痛快な物語だ。
ビリーをはじめとする女性4人の暗殺者は、〈美術館〉と呼ばれる組織でナチの残党やその他の悪党どもを暗殺する仕事をしていたが、60歳で定年となり引退した。
記念のクルーズ旅行に4人揃って出かけたのは良いものの、それまで献身を尽くしてきた組織に、逆に命を狙われることに。
何が起こっているのかわからないまま、4人は「殺されないために」反撃に出る…。
この4人のおばあちゃんがとてつもなくかっこいい。それぞれ得意分野があり(毒物に強いとか)、友情があり、ロマンスがあり、100パーセントさまざまな角度から楽しめる「暗殺小説」。
かと思 -
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東京創元社さんのゲラ版先読みキャンペーンに当選して、その時に送った感想です。
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とにかく、とにかく楽しい物語。
「暗殺集団」という言葉からモノトーンの雰囲気を思い描いていたんだけど、めちゃくちゃカラフルで読んでいて元気が出る!
物語の構成も、ビリーたちが初めての仕事をする初々しい場面から始まり、その後現代の60代のおばちゃまズに場面が変わる……冒頭から引き込み力がすごい!あの4人がこう!みたいな(笑)
その後も過去の場面では重要なシーンがさらりと描かれて、現代に戻ると「ああ……なるほどね」となる流れは見事。
ミステリならではの謎解きもきちんとあり、ラストは気持ちよく読み終わる……というか、こ -
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ネタバレオリーブ色の背景にステンドグラスのような図柄と聖書を読み上げる親娘の姿。
そんな装丁だから宗教色強めなピリピリした雰囲気を纏う物語かと思ったが、冒頭、教会の説教の場面で司祭が放った言葉。
荒野で怒れるイスラエルの民達を前にモーセが岩を打ち、奇跡の水を湧き出させ、苛立ちと乾きを鎮めた場面を模して、
「わたしたちも新たな水が流れることを、というか水を流すことを、認めようではありませんか。みなさん、わたしたちには新たなトイレが必要なのです」
ここから、教会へのトイレ設置をめぐるスモールタウンでのいざこざへ発展。
真面目で理性的で寛容、慎み深い発言の中にときに茶目っ気を含ませる、主人公で司祭のダニエル -
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晴れて暗殺者稼業から卒業した四人の女性たちが、その記念旅行で早速襲われ、自分たちが所属する組織に狙われていたと知り逆襲を企てていく、エネルギッシュな物語。明快なストーリーに爽快なアクション、友情と少し愛憎模様も加わった、とても楽しいエンタメ作品でした。
爽快感があるのが、齢六十なんてまだまだ若いといわんばかりにアグレッシブに頭脳と身体をフル回転させていく四人の生きざま。
自分たちの仕事に誇りを、そして蓄えてきた自らの経験にも自信をもって襲撃者に立ち向かっていくさまがとても清々しくて良かったです。
頼れるのは自分たちのスキルと仲間たちだけ。そんなカッコ良い女性たちの活躍は、続編や映像化などで -
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英国の片田舎の教会で牧師を務めるダニエル。
地元の有力者ド・フローレス家とも
教会に通う住民たちともうまくつきあい
ゴシップ好きな母親と暮らしている。
ところが、教会にトイレを作りたいと言うと
賛成・反対で信者たちが二分してしまった。
そして、その中の一人がよりにもよって
教会の中で刺殺されてしまった!
なんか、この英国っぽい感じ…好みでした。
作者さん、本当に牧師さんなんだ〜。
なので細かくしきたりとか書いてくれてるのね。
母親の他にも、弟のセオは芸能界にいて
ふたりとも普通に下世話な庶民だから(笑)
ひとりダニエルだけ気苦労が絶えない。
そんなコージーなミステリでしたが
事件の動機はち -
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「性自認が女性で、憤るすべての人に。わたしもおなじです。これはあなたの本です。」
クイーンたちが矜持や生活、人生そのものを取り戻すため、これからクイーンになるものたちのために“kick ass”する物語。これはわたしの物語ではないのかもしれない、と思ったけれど、それでも燃えた。あつかった。冒頭に引いた、最後の作者の言葉に納得しつつ、その言葉やこの小説が書かれたこと自体もあついと思った。
ここでいうクイーンという言葉は地位や権力を持っているという意味ではなくて、「世界と対峙して、そこで屈せずに自らの人生を自らでコントロールして生きる、生きようとする女性」のような意味合いで使っています。ボ