西谷かおりのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
シリーズものの第一作として文句無しの良作。
何より、主人公アビーが気に入りました。シゴデキでカッコいいけど完璧すぎないのが魅力的。
トラウマを抱えた“サバイバー系”の刑事が主人公ってパターンよくあるけど、主人公の精神不安定のレベルをどのラインに置くかってかなり難しいところだと思う。
捜査の過程で、フラッシュバックで発作を起こしたり、冷静な判断が下せなくなって暴走したりするやつ。上手く発動すると緊迫感が出るし、主人公の人物像がくっきりして没入感がより高まるけど、微調整ミスってると結構シラケるんですよね。
その点でこの作者はアビーをすごく絶妙なラインに置いてるなと思いました。
より不安定なイーデンとの対比も効いてるし、イーデンと関わることで起こるアビーの心の動きにすごく説得力がある。
犯罪小説において交渉術・会話術がここまでフィーチャーされてるのも新鮮でおもしろかった。
ボディーランゲージとかちょっとした言葉のチョイスで主導権が移ったり一気に形勢が逆転したりする過程をじっくり読ませてもらえる。
相手の性格をふまえて敢えて下手に出る選択をするとか、戦略戦術を駆使して目的を達成するゲーム感もエンタメ性高く読み応え十分。
本シリーズは全三巻で完結済だそうで、そういう点でも人に薦めやすくて良いね。 -
Posted by ブクログ
「ゲラ読み先読みキャペーン」で、発売前に読ませて頂きました。
面白かった!!息つく暇もない展開に、軽いテンポで読みやすい。先が気になってページを捲る手が止まリませんでした。頭に映像が浮かんできて、まるで映画を観ているような気分。
交渉人というと、犯人との頭脳戦と我慢比べ。
どんな交渉術で人質を取り返し、事件を解決するのか──。
でも、それだけじゃない面白さがある。
犯人の行動を追いながら、それが狂気じみててゾワゾワ。入念な準備から既に異常で気持ち悪い。
一体なぜそんなことをしたのか……
人質交渉人のアビーの交渉術に唸らされました。
高額な身代金やカルト宗教の不穏な影など、浮かび上がる数々の謎。
スリルとハラハラドキドキを存分に味わい、ラストの一行までおもしろかった!
交渉人であるアビーには子どもがいて、ハラハラする展開のなかに散らばる微笑ましいフレーズや親子のあれこれも良い感じにスパイスになっている。
読み終えて、家族とのささやかな日常の幸せに安堵しました。
こちらはミステリー三部作の一作目。
「翻訳小説は読みにくい」という先入観を払拭し、ミステリーの面白さを思い出させてくれる。
早くも次作が待ち遠しくてたまらない。
-
Posted by ブクログ
還暦を迎えた女性暗殺者4人組という設定からして面白くないはずがない。原題の"Killers of a Certain Age"の方が内容に即しているとも思うが、気の利いた日本語に訳すのが難しくて、口紅で女性を強調したんだろうとは思う。コードネームを<美術館>という組織のもとで40年間働いて退職祝いのクルーズのはずが、逆に組織から命を狙われることに。生き残るために、技術と経験と知識を総動員。女性たちそれぞれが個性的だし、暗殺者だからといって殺伐としているわけではなく、普通に茶飲み友達でもおかしくない仲の良さがある。元気なおばさんたちに乾杯って思ったけど、よく考えると、私と同じ時代を生きてきた人たちで、その意味でも面白い。
-
Posted by ブクログ
ヒュー!
思わず口笛をふきたくなるくらい、かっこよくて痛快な物語だ。
ビリーをはじめとする女性4人の暗殺者は、〈美術館〉と呼ばれる組織でナチの残党やその他の悪党どもを暗殺する仕事をしていたが、60歳で定年となり引退した。
記念のクルーズ旅行に4人揃って出かけたのは良いものの、それまで献身を尽くしてきた組織に、逆に命を狙われることに。
何が起こっているのかわからないまま、4人は「殺されないために」反撃に出る…。
この4人のおばあちゃんがとてつもなくかっこいい。それぞれ得意分野があり(毒物に強いとか)、友情があり、ロマンスがあり、100パーセントさまざまな角度から楽しめる「暗殺小説」。
かと思えば普通の60歳女性と同じように、身体の不調やスマホの扱いに嘆かされ、愚痴を吐きつつも適応きていく。そのコメディ部分も本当にリアルで、何度も声を出して笑ってしまった。
著者さん続篇を!お願いします!! -
Posted by ブクログ
東京創元社さんのゲラ版先読みキャンペーンに当選して、その時に送った感想です。
↓
とにかく、とにかく楽しい物語。
「暗殺集団」という言葉からモノトーンの雰囲気を思い描いていたんだけど、めちゃくちゃカラフルで読んでいて元気が出る!
物語の構成も、ビリーたちが初めての仕事をする初々しい場面から始まり、その後現代の60代のおばちゃまズに場面が変わる……冒頭から引き込み力がすごい!あの4人がこう!みたいな(笑)
その後も過去の場面では重要なシーンがさらりと描かれて、現代に戻ると「ああ……なるほどね」となる流れは見事。
ミステリならではの謎解きもきちんとあり、ラストは気持ちよく読み終わる……というか、これ、続編ありますよね……?え?めちゃくちゃ続けられる終わり方ですやん?
気になるー!その後気になりすぎるー!!
そして、邦題も素晴らしいですね。このタイトル、秀逸だなぁ。好き。
あと、「更ニャン期☆」はズルイ。こっちも大好き(笑) -
Posted by ブクログ
マイク・オマー『人質交渉人』創元推理文庫。
3部作の第1作。第2作は2026年12月に刊行されるようだ。
過去にカルト教団の起こした事件で生き残った3人の1人であるニューヨーク市警の人質交渉人であるアビー・マレンを主人公にしたサスペンス小説である。断片的にカルト教団の事件が描かれるものの、その全貌は明らかにされない。恐らく、シリーズを重ねる毎に少しずつ明らかにされるのだろう。
終盤にこそ、人質交渉人としてアビーが交渉する場面が描かれるのだが、教科書通りの交渉で余り新鮮味が無い。
また、アビーが過去に巻き込まれた事件を起こしたカルト教団とは別なカルト教団が今回の誘拐事件の中核を成している点には煩わしさを感じる。
3部作の第1作がこの程度の出来では、次の第2作、第3作を読もうか、非常に悩ましいところだ。
ニューヨーク市警の人質交渉人であるアビー・マレンは飛び降り自殺を図ろうとしていた男性を説得し、何とか思い止まらせることに成功する。
ホッとしたのも束の間、アビーの元にシングルマザーのイーデンという女性から助けを求める電話が掛かって来る。イーデンの8歳になる息子のネイサンが誘拐され、犯人が500万ドルを要求して来たというのだ。
アビーが近所にあるというイーデンの自宅に駆け付けると、彼女はかつてカルト教団の起こした事件でアビーと共に生き残った3人の1人であることに気付く。
アビーは、シングルマザーの歯科医院の事務員にはとても払えそうもない異常に高額な身代金に疑問を抱きながらも、犯人との交渉に乗りだすが、なかなか犯人の手掛りは得られなかった。
本体価格1,600円
★★★★ -
Posted by ブクログ
ネタバレ2026年の36冊目は、マイク・オマーの「人質交渉人」です。3部作の1作目ということです。いかにも的な冒頭のシーンから始まりますが、魅力的でも有ります。人質交渉という作品から重めの作風を想像していましたが、全く逆でした。この軽い作風を受け入れられるかだと思います。
主人公アビー・マレン含めて、彼女の娘サム、息子ベン、アビーの養母ペニーといった主要キャラクターは魅力的だと思います。誘拐犯も意外性が有ります。
そして何よりもアビーの過去の記憶を取り戻す所、事件解決後のラストシーンでのアット驚く展開が読みどころだと思います。
☆4.6ラストが痺れたので -
Posted by ブクログ
ネタバレオリーブ色の背景にステンドグラスのような図柄と聖書を読み上げる親娘の姿。
そんな装丁だから宗教色強めなピリピリした雰囲気を纏う物語かと思ったが、冒頭、教会の説教の場面で司祭が放った言葉。
荒野で怒れるイスラエルの民達を前にモーセが岩を打ち、奇跡の水を湧き出させ、苛立ちと乾きを鎮めた場面を模して、
「わたしたちも新たな水が流れることを、というか水を流すことを、認めようではありませんか。みなさん、わたしたちには新たなトイレが必要なのです」
ここから、教会へのトイレ設置をめぐるスモールタウンでのいざこざへ発展。
真面目で理性的で寛容、慎み深い発言の中にときに茶目っ気を含ませる、主人公で司祭のダニエル。
ダニエルが静なら、母オードリーは動。
ダニエルの代わりにとばかりに噂話に首を突っ込み情報収集。
誰にも物怖じせずに、そこまではっきり言っちゃう?とばかりにずけずけと発言する。
この母息子コンビの凸凹加減、町の人々とのやり取りにそこはかとないユーモアが散りばめられており、序盤はどちらかというとコージー感強め。
そう言われてみるとこのタイトル、かの国内ユーモアミステリがよぎりますね。
とはいえ現役の司祭さんが書いたと言うこの作品。
凡百のコージーミステリにはない、神への信仰を下地にした雰囲気が強く漂う。
教会や教区内の会議などの事務的な記述はもとより、礼拝、祈り、聖歌と切ってもきれない日常や聖書の言葉が自然に入り込んでくる感じが特徴的。
何よりダニエルの人格者然が良すぎて感服。
こんなにも自分と異なる人々を受け入れられる度量の大きさ、心の平静さはどうやったら手に入れられるのだろう。
対立に対して引き下がるわけでもなく、相手を責めるわけでもなくな切り返しは人間の成熟という観点で大変勉強になりました。
事件はこの町の一大イベント、町の名士ド・フローレス卿のお屋敷の一般公開日に起きる。
たくさんの人々をもてなした後に訪れるほっと一息の時間にド・フローレス卿のいとこアンソニーが礼拝堂で殺される。
こんな辺鄙な街では滅多に起きない殺人事件。
近くの歴史的史跡に人の立ち入った形跡があればそこもあっという間に警察に封鎖される加熱ぶり。
そんな中でやはり発生した2件目の殺人事件。
「二週間で殺人が二件もですよ。イギリスのいなかの村にしては多すぎでしょ、セント・メアリ・ミードでもかなわないわ」。。。
かの村の犯罪発生率にはそこまで詳しくはないが、それなりなのでは。。。
いやそれはともかく、チェスタトン路線なのかクリスティ路線なのかそこが揺れに揺れる感じを受けた。
ダニエルが事件に対する洞察を受ける一幕。
「キツネは多くのことを知っているが、ハリネズミは大事なことを一つだけ知っている。両方にはなれないんですね」
「おそらく、ハリネズミはキツネ的に、キツネはハリネズミ的にと心がけるべきなんだろうな。一歩下がってみたまえ、、、」
うーん、チェスタトン寄りか?
本国では第3作まで出ている模様。
続編は、邦訳されるのか!? -
Posted by ブクログ
晴れて暗殺者稼業から卒業した四人の女性たちが、その記念旅行で早速襲われ、自分たちが所属する組織に狙われていたと知り逆襲を企てていく、エネルギッシュな物語。明快なストーリーに爽快なアクション、友情と少し愛憎模様も加わった、とても楽しいエンタメ作品でした。
爽快感があるのが、齢六十なんてまだまだ若いといわんばかりにアグレッシブに頭脳と身体をフル回転させていく四人の生きざま。
自分たちの仕事に誇りを、そして蓄えてきた自らの経験にも自信をもって襲撃者に立ち向かっていくさまがとても清々しくて良かったです。
頼れるのは自分たちのスキルと仲間たちだけ。そんなカッコ良い女性たちの活躍は、続編や映像化などでもぜひ観てみたいものです。