今道友信のレビュー一覧

  • 西洋哲学史

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    西洋哲学の変遷がじつに丁寧に解説されている。出版は古いが、西洋哲学の歴史を全体的に知るのにとっても役立った本。細部は難解なはずだが、とにかくその要点をわかりやすく噛み砕き、かつ高レベルのままコンパクトに読めるということにある意味感動。著者はイタリア思想に造詣が深いようで、日本ではマイナーなイタリア哲学者も幾人か解説しているのもうれしい。

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    2010年12月29日
  • エコエティカ

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    技術の発達していなかった古代、倫理・哲学の世界は人間の内面世界に限られていた(?)が、技術の発達してきた昨今、精神の内面の倫理に限らず、その技術自体を扱う倫理観まで問われるようになってくる。
    「かわいそうだ、かわいそうだ」と思って目に涙が曇って、注射の目盛りを間違えるというようなことがあれば、かえって致命的だということになります。極端な言い方をしますと、「親切な無能よりは、有能な不親切のほうがいい」ということです。第4章 道徳と倫理より
    等々

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    2020年10月03日
  • 西洋哲学史

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    哲学初学者の私にとっては、平坦な口調で書かれていたので分かりやすかったと思う。繰り返し読みたいと思う。
    それなりにレベルの高い人からすると、物足りないのかもしれない。

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    2020年07月30日
  • エコエティカ

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    ネタバレ

    加藤常昭氏の説教セミナーで初めて今道友信氏の名を知り(加藤氏は今道氏を日本最高の知識人として絶賛していた)、それ以来いろいろなところで今道氏の名が目につくようになった。

    購入してからかなり長い間積読になっていたが、ようやく読み終わる。

    今道氏の唱えるエコエティカとは、技術社会である現代における新たな倫理学であり、環境問題もその重要なテーマのひとつである。環境問題は確かに技術と倫理両方の問題である。

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    2017年08月02日
  • 西洋哲学史

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    とても読みごたえがあった。高校時代に悩みを通して哲学に心惹かれ、カントの乱読から入り、プラトン、レヴィストロース、西田幾多郎と恥ずかしいほどの直感任せで、哲学が何たるかも10年ほど分かっていなかった時も無駄だとは思っていない。世界での異文化経験と宗教世界への没入と、教育分野への従事によって拡がった風呂敷の端々を手繰り寄せるように、だんだんと一つのものへと収斂されてくる過程を感じているからである。西田幾多郎の哲学概論を読みそれでも哲学の全容と目的としていることが分かり、今回の通読によって歴史との関わりを深く知ることができた。
    本書の内容にはあえて触れず、しかし今後の哲学の進むべき方向性に希望を一

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    2012年02月23日
  • 西洋哲学史

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     録音した講義を文字に起こした西洋哲学の通史。近世のヒュームまでで全349ページ中278ページを占め、古代と中世に比較的重きが置かれている。

     そのためもあって、近代以降の記述はかなり圧縮されており、難解。逆に、近世までは、分かりやすく面白い。ことに中世について、一般に暗黒時代と言われているが、実はそうではないという指摘は興味深かった。

     また、哲学者の学説の説明だけでなく、たとえば大学の始まりと歴史、ヒューマニズムという言葉の由来についてなど、関連するトピックの記述もいろいろあり、面白く読めた。

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    2012年01月18日
  • 西洋哲学史

    購入済み

    概ね良いと思います

    内容はすごくわかりやすく、まさに"西洋哲学史"といったものだとおもいます。
    ただ文体がところどころで話し言葉から書き言葉になっていたりと、読み物としては違和感を覚えざるを得ないのが残念だと感じました。

    #タメになる

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    2025年04月10日
  • 西洋哲学史

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    哲学史の講義を文字起こししたもので、口語調で書かれているため読みやすい。しかし、近代以降の哲学史は記述が簡略化されているので、難解な語句や概念がそのままサラッと流れるように述べられるだけで、各哲学者の思想の特徴が理解できなかった。

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    2024年03月23日
  • 西洋哲学史

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    西洋哲学史の入門書です。著者の講義をもとにしているため、口語調で書かれており読みやすいように感じられます。

    約350ページの分量をもつ本書では、約半分の180ページほどが古代・中世哲学の解説にあてているのが特徴といえるように思います。これにつづく内容は、近世哲学が約100ページ、近代哲学が約50ページ、現代哲学が約30ページとなっています。

    自分たちが生きている現代に近い時代の動向が大きく見えがちなのは哲学史にかぎらないでしょうが、本書は西洋哲学の根幹を形作った古代・中世についての紹介が多くなされており、西洋哲学史の全体像を見るときにわれわれが用いている拡大鏡の倍率を補正するためにも役に立

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    2020年05月23日
  • 自然哲学序説

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    自然を私たちの認識の対象と捉える自然科学に対して、自然を私たちの生命の営みそのものとして、あるいは生命の営みの場所として捉える「自然哲学」の復権を語っている。

    現代の哲学者の中で「自然哲学」と呼ぶべき思索をおこなった者と言えば、バシュラールやメルロ=ポンティの名前が思い浮かぶ。後期ハイデガーも、ソクラテス以前の哲学者による「自然」についての思索を手がかりに、「四方界」についての議論を展開している。また、そうしたハイデガーの思索を継承する宗教哲学的自然哲学の試みもある。

    これに対して著者の議論は、少なくともそのアプローチに関して言うならば、哲学的人間学に近いと言えるように思う。たとえば「夜」

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    2013年04月06日
  • エコエティカ

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    著者が提唱する「エコエティカ」(eco-ethica、生圏倫理学)を紹介した本。現代の人間の生活圏は、自然環境や科学技術・医療技術などのさまざまな位相を持っている。それらいっさいを含む「人類の生息圏」を幅広く見渡し、現代の倫理のあり方をさぐることを、エコエティカはめざしている。ただし本書の議論は、エコエティカの原理を考察することには向かわず、私たちを包む生活圏のさまざまな局面で生じている倫理的問題を並べており、雑多な内容が一冊の本に同居しているという印象を受ける。

    とはいえ、アリストテレスの実践的三段論法の逆転という現象が、科学技術の支配する現代における人類の生息圏に生じているという指摘は、

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    2011年11月11日