阪井裕一郎のレビュー一覧
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酒井裕一郎「結婚の社会学」は自分の当たり前を揺さぶってくれた本でした。引き続き、ということで「仲人の近代」にも手を伸ばしました。社会で齢を重ねると仲人って頼まれるもの、と薄々思っていましたが、自分の場合はまったく頼まれることもなく一生を終えそうです。別に頼まれたかった訳ではなく(逆にそんなことなくてラッキーと思っています…)20年ぐらいの間に社会的慣習ってガラリと変わるんだな、ということを改めて気づいたのです。本書の序章にある1934年の新聞に報じられた「死ぬ前に一度仲人をしてみたい」という願望を持ち、一度だけ「本望」を果たすと、その後すぐ自殺した男の記事、もうびっくりです。日本が近代化してい
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20代後半に差し掛かって、結婚というものを意識する機会が多かったので読んでみた。あと、最近話題の文芸評論家兼作家の三宅香帆さんがお勧めされていたのでつい買ってしまった面もある。全体的に、この手の学術書としてはかなり読みやすく、興味を持って読み進めることができた。やはり結婚というのはあくまで制度であって概念であって、時代を経て変わってきているものであるというのは納得した。明治以前の日本の結婚の主流は村内での夜這いであったというのも、お見合いが伝統だと思っていた身としては意外だった。後は、友人と結婚関係を結んでもいいという考えも斬新だと思った。なかなか答えが難しいテーマであるけど、自分がどういう人
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おもしろかったし、読んでよかった。結婚の常識を疑う1章から始まり、結婚の近代史、現代史、離婚と再婚、事実婚と夫婦別姓、セクシャルマイノリティと結婚、結婚のこれからを平易な言葉で書いている。目からウロコだったのは、結婚すれば出生率が上がるというのは必ずしもそうではないということだった。
国によっては結婚率と出生率の数値が逆転しているところもあるということ。また同性婚だけではなくアセクシャル、アロマンティックの人たちにとっての結婚についても記載があり、なかなかそこまで包摂している本はないと思う。
そして本邦における結婚、ひいては家族というものは非常に限定的で国民の人たちが多様なかたちの家族を求めて -
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私は全く仲人という存在を知らない世代。仲人=お見合いの時の仲介人だと思っていたので、結婚式をする時に父親から「仲人は?」と聞かれ、「どうしてお見合いじゃないのに仲人なんて言葉が出てきたんだろう?」と疑問でそこから気になって読んでみた。
基本的に時系列なので、かなり読みやすく纏まっていたかなと。仲人という存在がここまで長く婚姻に関わってきていたとは思わなくて面白かった。会社の上司とかに頼んだりするんだ……結婚を第三者に認めてもらうことが大事だったのかも。確かに今とは全然違う価値観だなぁ。もうちょっと昔の新聞なり雑誌なりの記事を深堀りしていっても面白いのかも。 -
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ネタバレ以下、メモ
共同体的結婚→家柄(見合い)結婚(明治以降)→人の流動性が高まり結婚相談所も発達→自由恋愛(皇太子結婚)→近代家族モデル(高度経済成長期)
今自分がパッと思い浮かべる"昔の結婚、恋愛"とは
親の意思のみで決まるお見合い婚が基本で、夫婦は一生添い遂げる、女性は一生旦那に尽くす。
であったがそれも一般大衆においては敗戦後、もしくは明治以降の武家上級国民のみ話であって、
実際の江戸時代や明治の一般大衆などでは村集落内での若者仲間、娘仲間の間での自由恋愛、夜這いが一般的でお堅い「家柄」を意識した結婚は殆どなかった。今より自由すぎて正直意外。
結婚式も神前婚が伝統 -
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さらっと読めた。
モノガミーや不倫について考えたくて読んだのだが、残念ながらそれに関する記述はあまりなかった(結婚の歴史のところで、昔は「妾」がたくさんいてそれが承認されていたことは書かれていたが)。
でも、結婚の近現代史は「へー」だらけで面白く、夫婦別姓の議論も論旨が明快で全ての自民党議員に読んでほしい。
読んでいると、「たしかに、みんなそれほど恋愛体質な人ばかりでもないだろうに、なぜ一生でこれと決めた人といっしょになり排他的にセックスをしなければならないのだろう…?人間と人間の関係のベースにセックスがあるの不思議だな…?」という気もした。
色々と気づきを与えてくれる本で、参考書的に家に一冊 -
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ネタバレ「結婚するのが善」のような日本全体に蔓延る認識への疑問、選択的夫婦別姓制度に対する批判意見への疑問、パートナーシップ制度を使うか悩んでいる友人2組、と色々重なったのでインプットのチャンスだと思い手に取った。24年4月に刊行されたのでこのタイミングで読むことができてよかった。
考えさせられてしまった話としては、選択的夫婦別姓制度への批判として「旧姓の通称使用で事足りる」というものがあるという話。「旧姓の通称使用」は夫婦別姓が認められないなかで女性が勝ち取ってきた権利であるにもかかわらず、批判派がこれを逆手にとって批判材料としている。
同様に、パートナーシップ証明制度の全国的な広がりには、メリ