釘貫亨のレビュー一覧
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高校のころ、古典の授業中にこんな話を聞いた。昔、『母には二たびあひたれども父には一度もあはず』という謎々があった。答えは『くちびる』で、このことから昔は母は『ファファ』のように発音していたことがわかるということ。この話を聞いて、発音も変化するのだと思い、新鮮だった。
書店で帯に『羽柴秀吉はファシバフィデヨシだった!』と書いてあるこの新書を迷わず手にした。
いろいろと新しいことを知ることができたので満足。でも、実際の音は読んで想像するだけでは、どうにもならないなぁ。以下は少し長くなるが、特に興味をもったこと。
万葉仮名の使い方を調べてみると、奈良時代には『い、え、お』の音が二つあり、母音が合 -
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ネタバレ「発音の変遷」というよりも「音と文字の不一致がどのようにして生まれてきたか」という観点でとてもおもしろく読めた。
文字(漢字)が伝わる前にも日本語は存在していたが、漢字が伝わったことで音に相当する漢字を割り当てるようになった。それが万葉仮名としてある程度整理される。その段階では、同じ「い」の音でも排他的に2グループの漢字群が割り当てられていて、「い」の発音にも2種類あったことが分かる。そんな漢字で当時の母音は8種類あったことが分かった。
しかし音声は変わっていく。音節の少ない原始的な日本語が、より複雑な節や語を含む言語に発展していくにつれて、微妙な音の違いで意味を区別する必要が薄れていく。する -
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新書にしては歯ごたえがありましたが、学びが多くたいへん面白く読みました。学術的な記述が多く寝落ちに持ってこい(笑)なのですが、時々顔を出すぷっと吹き出すような言い回しとのキャップがよかったです。
副題にある「てふてふ」から「ちょうちょう」へ、というのは「てふてふ」と書いて「ちょうちょう」と読むものだと思っていたのですが、昔はそのまま「てふてふ」と発音していた、というのを初めて知りました。では、どうして「てふてふ」が「ちょうちょう」になったのか。この本を読めばわかります。
私たちが日本人として当たり前に使っている平仮名・片仮名、漢字の音読み、訓読み、あいうえおの「五十音」などなど、知らなかったこ -
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なぜ接続の「は」は「wa」と発音のか。なぜや行とわ行にはイ段とオ段がないのか。なぜ「じ」と「ぢ」はどちらも「zi」と発音するのか。
日頃、私たちが何気なく使っている日本語。その音の響きには、古代から連綿と続く歴史があります。本書『日本語の発音はどう変わってきたか』(釘貫亨著)は、そんな日本語の音、特に音韻がどのように変化してきたのかを、わかりやすく解説してくれる一冊です。
驚くべきことに、奈良時代には「笹の葉サラサラ」は「ツァツァノパツァラツァラ」と発音されていたそうです。そこから時代を経て、「ササノファサラサラ」「ササノハサラサラ」へと変化したそうです。現代の我々からすると、古代の日 -
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なかなか難敵な1冊でした。大学生の時に勉強した英語学の発音をもう一度学習し直してからチャレンジすべきだったかもしれません。
とはいえ・・、そんな余裕もないので、読みきりました。
日本語は難しい。言われてみれば、漢字に加え、ひらがな、カタカナ、ローマ字、英語まで文中に存在する言語。こんな言語は世界広しといえども日本語だけ。でも、そんな言語を小学生でもある程度の精度で話している。それが、日本人。
そもそも、何でこんな複雑な言語構造なったのか?
その謎に真っ正面から解凍してくれる1冊です。
そもそも、漢字だけで文章を構成していた日本人。そこに、ひらがな、カタカナが生まれた。似→い、伊→イ、と