神品芳夫のレビュー一覧

  • 黄金の壺

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    初めてホフマンの『黄金の壺』を読んだとき、その不思議な魅力に取り付かれてしまいました。現実と幻想が溶け合う世界、そこに描かれる若き書生アンゼルムスの冒険は、200年以上の時を経た今でも、私たちの心を強く揺さぶります。
    物語は、ドレスデンの街で始まります。聖昇天祭の日、不器用な書生アンゼルムスは林檎売りの老婆の籠を倒してしまい、その不幸な出来事から彼の奇妙な冒険が始まるのです。黒い門の前で見た三匹の金色の小蛇、特に青い瞳を持つ一匹への恋。そして、古文書の写字生として雇われた不思議な文書保管官リンドホルストの家での体験。これらの出来事は、現実なのか、それとも主人公の妄想なのか、読者にはその判断が委

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    2024年12月04日
  • 黄金の壺

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    これまた名作でした!
    とても詩的で情緒的、メルヘンなんだが、かなりグロテスクでもある。
    そういう生々しくも詩的な世界、そこにある奇跡にあふれる自然というものを「信じる」者とそれを狂人とみる者。これは魯迅の狂人日記を思い出したんだが、自分の生活にも当て嵌めて考えられるだろうな。
    うん。面白かった。

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    2013年02月18日
  • 黄金の壺

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    ポー、カフカ、そして日本の作家への系譜
    ドイツの作家ホフマンの1814年の作品。

    とにかく不思議なお話で、とても詩的である。だいたい、ドレスデンの大学生アンゼルムスの恋の相手は緑の小蛇。でもおどろおどろしいような感じはなく、あくまでもおとぎ話風に幻想的である。人間が突然はげたかになって飛び去ったり、ドアのノブがおばあさんの顔になったりするような不思議なことが数多く起こる。また、パーティでかつらが飛び交うようなコミカルな場面や、火の精と悪魔の死闘の場面など、おもしろいエピソード満載である。

    それでいて、作者がいつごろを想定して書いたかはわからないが、少なくとも1814年よりは前の、ドレスデン

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    2015年04月17日
  • 黄金の壺

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    魔法での戦闘、蛇に恋した青年、そしてアトランティスへ…なんでもありの世界。ホフマン大好きです。ホフマン短編集復刻希望。

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    2011年04月30日
  • 黄金の壺

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    神品芳夫訳。ドイツロマン派の幻想と「匂うような叙情性とはるかなあこがれ」に満ちたこの作品、主人公アンゼルムス、あるいはこれを書いていた時期のホフマンに、わが身を重ねて読む人は、少なくないかもしれませんね。そう、ここに見られる叙情性と、そして俗世界と自分自身とを嗤うことのできる視点、それは一人の人の中に同時に必要なものではないでしょうか。訳者解説も見事です。

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    2011年07月19日
  • 黄金の壺

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    ストップモーション映画"ホフマニアダ"を観てからホフマンに興味を持ち、原作も拝読。
    幻想的な物語がホフマンの文章によりまばゆさがより増し、輝かしいものとなる。恋の悩ましささえまばゆい。

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    2024年07月14日
  • 黄金の壺

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    華麗で幻想的な出来事が、複写を生業にする学生や、俗物的な教頭といった俗世一般の人間たちの生活の上に織りなされ、物語のまとまりと、美しい描写によって楽しい小品を作りあげている

    ヴェロニカが可愛らしい
    俗物的な欲求の虜になってしまう人間の弱さを見ると微笑ましなる。邪な手段に頼っても下心を成就させようとする姿を見ると愛らしいと思う
    不思議なものだ。

    しかし、この作品にあるような純朴な美しさというようなものは現代では書けないよな、と思う。書くとしたらたちまち詭弁くさくなってしまう気がする

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    2022年03月15日
  • 黄金の壺

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    ドイツ・ロマン派の異才と呼ばれるホフマンによる初期の傑作。1814年の作品です。ホフマンの作品には怪奇幻想小説の要素があり、超現実的小説の要素もあって、後年前者はポーへ、後者はカフカへと連なっていく。そういった系譜にある作家だと解説にありました。

    1974年の翻訳です。文字の小ささはしょうがないとしても、訳自体はとても読みやすかった。簡便で端的な言葉づかいによって小説世界がわかりやすく展開していきます。

    怪奇幻想・超現実のシーンが、クライマックスのみならず序盤から繰り広げられます。なんといっても、主人公の大学生・アンゼルムスがはなから外を歩いているだけなのに、老婆がリンゴを路上販売している

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    2025年04月09日
  • 黄金の壺

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    最初の章(第1夜話)は、なんとなく入り込めなかったが、その後はするすると本の世界に入り込み、さらさらと読み終わった。
    今となっては、中世的なグロテスクさと最近の軽薄さが相まって、陳腐な内容な気がするが、この本も今書かれている幾多の本の源流の一つだったりするのかなと思うと、そのうちこの本を起点に遡ってみたり、下ってみたりしたいなとか考えた。

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    2014年05月01日
  • 黄金の壺

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    大学生のアンゼルムスが、蛇のゼルペンティーナに恋をして、精霊や悪魔の争いに巻き込まれていく。(何のこっちゃ)
    登場するイメージはなかなか強烈で、怪奇的な趣味もちりばめられていて面白いが、話の筋がいささか単純だと思った。もうひと捻り、ややこしい話の展開があるほうが個人的には好みだが、ホフマン初期の作品だし、読みやすいので、ホフマン入門にはこれが最適だと思う。

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    2010年10月16日