大野露井のレビュー一覧

  • 教皇ハドリアヌス七世

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    ネタバレ

    今年の翻訳大賞はこれで決まりだ。もう何年も前に『コルヴォー男爵を探して』(A・J・Aシモンズ、河村錠一郎訳)を読み、「これが今まで本邦初訳であったのがちょっと信じられない。稀覯本に限らず、奇書、珍書に目がない読者なら何を措いても読まねばならない一冊」と書いたことがある。そのコルヴォー男爵こと、フレデリック・ロルフの代表作『教皇ハドリアヌス七世』の本邦初訳である。

    待つこと久し。待ちわび、待ちあぐね、ついには老齢のせいもあって、待っていたことさえ忘れ果ててしまった今ごろになって訳出されるとは。生きていてよかった、というと大げさに過ぎるが、期待を裏切らない出来映えである。ギリシャ語、ラテン語はお

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    2023年11月01日
  • 僕は美しいひとを食べた

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    主人公が愛人の女と共に過ごし、女は彼に自分を食べてほしいと頼み自殺する。そして主人公は約束通り彼女を食べる。
    話としては単純なのだが、これが枠物語になっていて主人公が彼女に世界各地の食人話を語るという構成になっている。

    解説にかなり大量のページが割かれていて、作者の生い立ちやなぜこの本を書いたのかという動機にまで深く考察されているので、読み応え抜群である。

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    2024年07月05日
  • 僕は美しいひとを食べた

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    西洋人と東洋人のあいだに生まれた「僕」と、西洋人でありながら中国で生まれ育ったイザベルは惹かれあい、夜ごとに古今東西の食人文化を語り明かした。ウィットに富んだカニバリズム薀蓄トークの果てに、イザベルと「僕」が選んだ愛のかたちとは。


    イザベルの死の謎にまつわる導入をササッと終えたあと、澁澤の手帖シリーズかと思うくらい、おもしろカニバリズムエピソードが上流階級の男女の小気味いい寝物語というテイで延々と続く。原題は「僕は白い中国人を食べた」だったといい、「白い中国人」とは中国育ちの白人であるイザベルを指すのだが、恋愛(不倫)関係以上にこの周縁的アイデンティティによって語り手とイザベルが強く結びつ

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    2023年10月28日
  • 僕は美しいひとを食べた

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    タイトルと装丁に惹かれて読破しました!「食べてしまいたいほど好き」をこれまでに体現している本は今まで読んだことがなくとても新鮮な気分でした。
    ただドラマパートが思ったより少なかったのが...

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    2023年10月06日
  • 僕は美しいひとを食べた

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    徹頭徹尾、食人の話と言う点で好き嫌いが分かれるとおもいます。
    グロテスクの中にエロティシズムがり、奇書の名にふさわしい一冊です。

    驚いたのは著者が、あのクーデンホーフ光子の長男だと言うことでしょうか。

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    2023年05月10日
  • 僕は美しいひとを食べた

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    カンニバルについての歴史本のようなもの。
    正直どこまで本当かは分からないが、
    今と昔の感性の違いや人を人と思わなかった奴隷制度があった時代には、残虐性とも当時思われなかったような行動をしているのもなんとなくは想像がつく。
    一緒に生きるのではなく、あなたに食べて欲しいと思うような感性にはなかなか理解しがたい部分があった

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    2025年05月18日