ジョン・K・ガルブレイスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1929年にウォール街で起きた株の大暴落について、様々な目線から書かれた本でした。投資家の立場、当局の立場、証券会社の立場など、様々な目線からどう考えどう行動したのかが見えて、とても興味深く読めました。
人間の織りなすバブル崩壊劇は今も昔も変わらない、という論評がありましたが、その通りだと感じる場面が多かったです。
バブルの崩壊は何が最初のきっかけなのかはわからない、それにわかったとしてもさほど意味がない、いずれ破裂するバブルがはじけただけ、という箇所が印象的でした。
また、株式市場の暴落が所得と雇用、繁栄の実体そのものに悪影響を及ぼさないために、権威ある人物は所得と雇用は減少しないと言い続 -
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Posted by ブクログ
1929年10月24日にニューヨーク証券取引所で株価が大暴落。
その後、世界規模の恐慌へと発展した。
原書が出版されたのが1954年。
しかし、まるっきり古さを感じさせない。
まるでつい最近起きた出来事のように、
よくここまで当時の世相や情勢を調べたものだと驚かさせる。
世界金融危機が現在進行中だけに、単なる昔の出来事では済まされない。
ところどころにうかがえる著者のピリッと辛口のユーモアも見逃せない。
この本が堅苦しい経済学の教科書と一線を画している重要な要素といっていい。
もし、ユーモアのセンスをあまり理解できない大学のセンセイが、
この本の翻訳を担当したらどうなっていただろう?
何を言 -
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Posted by ブクログ
本書は、1920年代末から始まった世界大恐慌のきっかけとも言われる、アメリカ起こった1929年の株式市場の大暴落について書かれたものです。
初版発行はなんと1954年。50年以上も版を重ねて読み継がれている本です。
題名やテーマから、少しとっつきにくいかもしれませんが、内容は分かりやすく特に難しいということも無いと思います。
ご存じのようにバブルというのは現代だけの特殊な現象ではなく、近代から何度も何度も繰り返されているものです。有名なところでは、オランダのチューリップバブルとか、イギリスの南海泡沫会社バブル、新興市場(当時の南米諸国のこと)や鉄道バブル。新しいところではアメリカのインタ -
Posted by ブクログ
高校生の頃にも一度読んだ本。翻訳が絶版になっていたので、ペーパーバック版をつん読にしていたが、日経BPクラシックとして再版になったようだ。FRBによる低金利政策や続々とIPOする怪しい企業、投資信託ブームなど、いつの世も同じだなぁと痛感させられる。バブルはimmunizing effect を持つので、しばらくは再発しないが、何年か経つと繰り返される。29年の暴落がその後、大恐慌として長く影響を残すことになった理由についても考察が行なわれている。大きな理由の一つとして格差問題が挙げられている。当時は格差が大きく、株価暴落による資産効果へのインパクトを通じて富裕層に与えたダメージが大きかったこと
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Posted by ブクログ
1929年のいわゆるブラックマンデー前後の株式市場暴落の様子を綴った本。
具体的な銘柄の値動きや当時の世相など、リアルで生々しい淡々とした記録が興味深い。
当時の花形はAT&TやUSスチールなど。
情報伝達の速度こそ現在と違えど、暴落前後の風景は昔のこととは思えないほど変わり映えが無い。
投資信託が別の投資信託に投資する形でのレバレッジの拡大、値上がりを信じる投資家による信用買いの積み増し、初心者投資家の群がり、情報の不透明さの拡大など、刻々とバブルが醸成されていく様にワクワクする。
いつかはバブルがはじけるだろうという想定は暴落前からあちこちにあったようだが、音楽が鳴っている間 -
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Posted by ブクログ
1929年の大暴落について書かれた本。一度読み所蔵もしていたのだが、メディアマーカーの読書記録がなくなったのであらためて読んだ。1929年秋からニューヨークダウは89%下落したのだが、それには3年がかかっている。持ち直したと見えては下げ、底入れと思われては下げを繰り返し、多くの人たちが大損失を被った。誰もが予想もしていないことも起こり得るのだとあらためて認識した。「落ちるナイフはつかむな」の教訓は、まさにこの時のことを言ったのだと思う。ブラックストーンのシュワルツマンも、暴落後に買い急ぐことを戒めているが、大物は、1929年の大暴落からしっかり学んでいるのだと思う。肝に銘じたい。
「現在の -
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Posted by ブクログ
大暴落直前、期中、その後の恐慌や人々の様子をデータとエピソードによりガルブレイスらしく描写。
直後の楽観論-ファンダメンタルは基本的に健全とのコメント-など現在のコロナ暴落後の様子ともシンクロ。
恐慌が長引いた原因
(1)所得分配 富裕層の消費は非恒常的で不安定、脆弱化(2)企業構造 資金詰まりを起こした企業は投資を犠牲にしてでも債務償還や配当に当てるため経済は縮小スパイラル
(3)銀行システム 経営基盤が脆弱な金融機関多数存在。システム的信用収縮、所得、雇用、物価の落ち込み銀行破綻
(4)経常収支 高関税政策による貿易収支黒字に加え資本収支黒字により不均衡が蓄積、ドイツと中南米債務国 資金 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1929年の株価大暴落について、米国内の状況が書き綴られています。リーマン・ショックあたりの本は何冊か読んでたけど、1929年の暴落についての本は初めてでした。
リーマン・ショックの際にCDOがブームになっていたように、この時は会社型投資信託がブームになっていたそうで、これがCDO同様歯止めの効かない流れを生み出した一因になったようです。
私が理解した投資信託が暴落の一因となった仕組みは、以下の通りです。
①投資信託が資金調達する際に、予め利率や配当が決まっている社債等に加えて普通株を発行。
②投資信託が設立後に投資した株式が値上がりすると、投資信託の価値が上がるが、社債等は利率等が決まっ -
Posted by ブクログ
1929年の米国での株式市場の大暴落の前後とその後の経済情勢を述べている。現在はそのころとが違って政府の規制やいろいろな仕組みができてはいるが、第九章のガルブレイスの以下の言葉が気にかかる。「だがかつてもそうだったように現在も、金融上の判断と政治の配慮は逆方向に働く。長期的にみれば経済を救う措置であっても、現在の安寧と秩序を乱すものであれば、けっして高くは評価されない。そこで、たとえ将来に禍根を残すとしてもいまは何もしないでおこう、ということになる。こうした姿勢は、共産主義を蝕んだのと同じように資本主義も脅かす。このような考え方に陥るからこそ、事態が悪化していると知りながら、人はあの言葉を口に
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Posted by ブクログ
ネタバレ<米国の企業合併の変遷>P80
1.1900年前後:規模の大きい企業による小さい企業の吸収
・対象:同一または関連する製品を同じ国内市場に向けて製造販売している企業。
・目的:競争を減らす/なくす、競争を支配する
・結果:誕生した巨大企業は業界に君臨し、価格・生産に多大な影響力を発揮。投資、技術革新のスピードにも影響を与える
→電力、ガス、水道、乳業、たばこ、鉄鋼
2.1920年代:
・対象:正面からの競争相手ではなく異なる地域を商圏よする企業同士によるM&A
・目的:地方企業にありがちな非効率、無計画、無知、規範の欠如の駆逐(競争の排除ではない)
・結果:(豊富な金融知識など)洗練 -
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