YUJIのレビュー一覧
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ネタバレ創作物語。 短編集。
舞台は学校。少し困った思いをしている子どものところに白衣を着た山田菜の子先生があらわれ、子どもを手助けして問題を解決します。舞台になる小学校はそれぞれ別の学校。
「春休みのかくれんぼ」南小学校。
春休み中に引っ越してきた研人は、小学校を下見に行きます。
「飼育当番の冒険」桜台小学校。
飼育当番の茜は、いうことをきかない兎にいつも手を焼いています。
「忘れ物の迷宮」細川小学校。
3日連続して計算ドリルを学校に忘れてきた喬はお母さんに学校へ取りに行くように言われます。
「水泳記録会の奇跡」森が丘小学校。
智子はプールが大嫌い。今日も友達の後をとぼとぼ歩いてプールに向かっている -
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ただ今、富安陽子さんの作品を読み続けて、不思議な物語の魅力を知りたい期間中です。
本書は「菜の子先生」シリーズの一作目(2003年)となり、これまで読んできた富安さんの児童文学が全て長編だったのに対して、初の短編集となるのだが、いわゆる各話の内容が繋がった連作集ではなく、舞台となる小学校や登場する子どもたちも違っている中、唯一の共通点は菜の子先生が必ず登場することで、そうした構成から感じられたことは、『どこの小学校でも菜の子先生に会える可能性がある』ということであり、それは見方を変えてみれば、子どもたちは菜の子先生のような、ありそうで無い立ち位置にいる方を、実は必要としていて求めている -
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ネタバレ目次
・春休みのかくれんぼ
・飼育当番の冒険
・忘れ物の迷宮
・水泳記録会の奇跡
・理科実験の魔法
小柄でやせっぽちで丸眼鏡に白衣の菜の子先生。
困っている子どもの前に現れても直接問題を解決したりはしない。
先生は道を教えて背中を押してくれるだけ。
問題は本人が解決しないと意味がないから。
最初は渋々、またはこわごわ先生に従う子どもたちだけど、最後は必ず「先生、また会えるの?」と聞いてしまう。
答えはいつも「運がよければ、また、会いましょう」なのだけど。
「だって先生は、いつも、どこにもいないでしょ?学校のどこにも、いないでしょ?」
「私は、どこにも行きません。
昼間の空の星のように。今 -
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ネタバレトキ子は、秋祭りの日菜の子ちゃんに誘われて池から竜の子を助け出します。後ろから呼びかけてくる「おいてけ」と言う声から必死に逃げ、ようやく竜の淵に竜の子を放します。けれども、他の竜の子が空に上っていくのに助け出した竜の子はなかなか空まで上っていくことができません。菜の子ちゃんが助けを求めたのはなんと天狗たち。天狗の扇ぐ風に乗って竜の子はやっと空に上ることができました。
クラスメイトに声をかけられたときもう菜の子ちゃんはいなくなっていて、クラスの子はだれも菜の子ちゃんのことをしらないというのでした。
文字は小さめだが、挿絵も多く少し読みなれた子ならば読み進められると思われる。付録の菜の子ちゃん通信 -
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ネタバレ菜の子先生シリーズの小学生ヴァージョン。座敷童の学校版、学校怪談ならぬ学校神話とでも呼ぶべきジャンルである。
和製メアリーポピンズを思わせる、しゃきしゃきピシピシした菜の子先生の「生まれながらの先生」的キャラクター、やたらと学校の規則を大切にする杓子定規な現実の先生キャラクターなのに、そのまま妖精めいた存在として不思議な異界と繋がっている。
いつの間にかやってきて、当然のように先生としていて、ある日ふといなくなってしまう。
本当に「マレビト」的なこの存在の不思議さの味わいはそのまま英国の厳格で優秀なナニー、メアリーポピンズだ。東風とともにやってきて、また次の風にのっていってしまうメアリー