Jonathan B. Lososのレビュー一覧
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"ありえなさげな運命:宿命と成算と進化の未来”
めちゃ面白かった。良い原題ですねぇ。まあ起こらなさそうなデステニー(自分で切り開くというか、選択的な感じの運命)、フェイト(どうしようもない運命)、成算、それに進化の未来。わくわくするねぇ。5年ほど前の書籍なので、研究系としてはちょっと古いような感じを受ける方も多いと思うが、なんちゅうても163年前の『種の起源』がまだ現役なので、名著に新旧はないと思う(分野と題材によりけりか)。ロソス博士はネイチャーやサイエンス連発の世界トップレベルの有名研究者。ここんところ進化生命学の文献やら書籍を読んでいたので、其の中でもかなり読み物として面白かっ -
Posted by ブクログ
オーストラリアでは有袋類が多様に進化し、他の大陸では有胎盤類の種として進化した動物によく似た動物が闊歩している。それぞれに適応放散し収斂進化した結果である。条件が同じであれば同じような進化を繰り返すのだろうか。ところが有袋類でもカンガルーは有胎盤類に似た種は見当たらない。進化の特異点となる。
本書は進化の偶然と必然をテーマに、必然だとするサイモン・コンウェイ=モリスと偶然であるとするスティーヴン・ジェイ・グールドの主張を論評し、生命進化を観察と実験で明らかにしょうとする試みについて紹介する。ロソスは進化生物学は実験科学になりうると述べる。
自然を観察する中で収斂進化の事例は沢山見つかる。本 -
Posted by ブクログ
生物の進化について興味があったので読んでみた。
結論的にいうと、前半部分(生き物の進化)については非常に面白かったが、後半部分(大腸菌などの微生物の進化)はちょっと難しく冗長に感じた。
どのような生物でも同じような環境で暮らせば同じような進化をするのだろうか?
本書では、そのようなテーマで生物の進化が論じられていく。
語り口は素人にも分かりやすく、科学書といっても初学者でもきっちりと読みこなすことができる。
本書で大きく扱われているのは『収斂化(しゅうれんか)』ということだ。
収斂化とは、生物が互いに異なる性質などを持っていても環境によって変化し、最終的には、同質化・同等化・相似化していく -
Posted by ブクログ
生命進化は、どこまでが必然で、どこまでが偶然なのか。そのテーマで書かれたのが、この本である。
眼、翼、各種の防御機構、生物の持つ多くの機能は異なるパスで独立に進化してきた。基本でもある多細胞化も何度か進化したと言われている。いわゆる収斂進化であるが、自然界にはその収斂進化はあふれている。その観点からは進化は必然であるように見える。一方で、人間が進化の積み重ねによって生まれたのは多くの偶然が重なった結果のように思える。進化は必然か、偶然かというのは興味を惹くテーマなのである。
この進化生物学という新しい分野における第一人者でもある著者の主張は、「進化は繰り返す」という。
カリブ海のアノールトカ -
Posted by ブクログ
進化を実験によって研究する分野があり、外圧があると進化は意外と短期間でも起こり得て、それは予測し得るというのがまず面白い。遺伝子的に違う種族でも、同じような環境では同じような形質に進化しがちで、中には見分けのつかない生物もいたりする(ウミヘビとか)というのもびっくりではある。
科学者の著作だけど、内容はエンタメ的だ。もちろんすべてが予測通りに進化するわけでなく、そこには偶然のブレークスルーによる進化の飛躍があるというわけで、その意味では今人間がこうしているのは、ラッキーの積み重なりというわけだけど、それと地道な外圧に対処する短期的進化とのバランスがよくわかるらない(そんな簡単に理解できるもので