ロバートコルカーのレビュー一覧
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ネタバレ◆感謝祭の場面
険悪の仲である長男・ドナルドが次男・ジムと取っ組み合いになり、ついにドナルドはテーブルを持ち上げてジムに投げつける。母親の耳が手作りのお菓子の家を粉々に壊すシーンがせつない。
◆メアリー(小学5年生)
「自分の部屋で何時間も、クローゼットや机の引き出しを整理しては、やり直すことに没頭し、自分には多少なりとも物事を意のままにする力があると思おうとした」(P.220)
「まず、十二人も子供を儲けておいて、全員を理想的なアメリカ国民に育て上げられると考えること自体、自覚が欠けていると思います」(マーガレット P.404 )
「彼のことは、安全な港と呼びたいです」(ワイリーと結婚したメアリー P.446)
ゲイリー夫妻の援助がすごい。マーガレットを下宿させるだけでなく、リンジーの息子をセラピープログラムに参加させた際の費用援助が月額8,300ドルを合計21ヶ月分っていま換算すると2,500万くらいじゃん!
◆サム・ゲイリー
36回目に油田を掘り当てて財を成した。
8人の子供のうち4人を難病でなくし、そのこともあってゲイリー夫妻は科学研究や医療の分野に莫大な寄付を続ける。モンタナ州で掘削件権を獲得するのを手伝ったのがギャルヴィン家の父・ドン。それでギャルヴィン家を援助している。
ラストでリンジーの娘のケイトがメディカルスクールの研究室にいる場面で終わるのがまるで映画のよう。
「それは、彼女の六人の伯父のおかげで、未来の世代のためにすべてを変える可能性のある試験だった」(P.473) -
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ギャルヴィン一家の苦悩と奮闘を一人ひとりの人生に焦点を当てながらまとめきったすごいノンフィクション。あとがきで創作された部分はひとつもないと言い切られており驚いた。ノンフィクションなのだから当たり前なのだけれど、あまりにギャルヴィン家での出来事が壮絶すぎて、どこかで作り話であって欲しいと思う自分がいた。
統合失調症は環境によるものなのか、遺伝によるものなのか。その謎をさまざまな分野の科学者が仮説・検証・分析を繰り返し、少しずつ紐解いていく様が何よりも印象に残った。これは以前読んだ「フェルマーの方程式」でも思ったことだが、科学者が自身の専門分野でその才能を発揮し、研究結果を別の科学者に繋いでいく、協力ではなく共闘のように近い形でひとつの謎を解いていく様子は胸に迫るものがある。
ただ、一家を救ったのは科学者だけではない。統合失調症という病から一家を救い出そうとした、末娘のリンジーの行動がなければ、きっと地獄は再生産されていただろう。病気になる兄たちを見ていた彼女は、自身も統合失調症になり得るであろうという不安を抱えていた。それを払拭するため自らが予防策を講じ、なんとか生き延びてきた。聡明で、とても勇敢な女性。彼女がいなければ、彼女が病気に真正面から立ち向かおうとしていなければ、一家は壮絶な終わりを迎えていたはずだ。
この本が世に送り出されたのも彼女の協力あってのことだ。しかし、あとがきにもあるようにノンフィクションを書くにあたって、全ての家族が取材に応じてくれたというのだから、統合失調症や他の病を抱えながらも、病と向き合い、家族と向き合おうと覚悟を決め話をしてくれたリンジー以外の家族に対しても、その心の強さに感服せざるを得ない。とてつもなくすごい一家だ。
この本は読むのに根気がいる。分量もそうだが一つひとつのエピソードに重みがある。それに、次々と悪いことが起こるので、最悪を想像してしまい読み進める気が起きなくなる。それでも、多くの人に読んで欲しいと思う。統合失調症への理解を深めることはもちろんのこと、治療への道を切り拓いた一家がいたことを後世に語り継ぐためにも。 -
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ネタバレ12人の兄弟のうち6人が統合失調症だと診断されたギャルヴィン家の歴史が描かれている。兄弟の末の二人、マーガレットとリンジーが自分の家族に起こったことを世間に知ってもらうことで、他者の助けになると信じて出された本である。
「遺伝か、環境か」の副題に興味を持ち読み出した。この家族がたどった道を知るにつれ、自分がその境遇にいた可能性だってあったのだという思いになった。子供は親を選べない。環境を選べないのだ。
父と母、兄弟12人の大家族、日本のテレビ番組で観るような騒がしくても楽しい家族とは正反対だった。年長の子が下の子を虐待する。けんかが耐えない。家の中に兄弟という敵がいて、身の危険がある。
親が子どもたちに安全な場所を与えられず、なすすべなく壊れていく家族の様子は、ノンフィクションだということが信じられないくらい過酷である。
母親の育て方が悪いのか、遺伝か。病気の治療のために原因を突き止めることは重要なことだけれど、何かのせいや、誰かのせいにすることは非難の対象を探すことになり、病気を認めるのが遅れ、異常の発見や治療の妨げになる。もし適切に対処できていたなら、重症化長期化を防げたかもしれないのに、家族の深い傷になっていくのを止められなかった。そんな状況で、性的虐待から立ち直り、自分の人生を手に入れたマーガレットとリンジーの強さに心打たれた。
他方、治療薬の開発には多額の費用がかかる。利益を出さない開発には資金がでない。そのため統合失調症の研究は遅れた。それも悲劇を拡大させた原因だった。
儲からないという理由で治療への道が開かれない他の難病も多くあり、今も続く問題であろう。
何が原因で統合失調症が発症するのか。
病気と思われる徴候があれば、早い段階に介入し不安を取り除くことが重要だと思われる。(わからないことはまだ多いから断定はできない)。
治療薬を待つしかないのだろう。 -
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ネタバレノンフィクションの中でも圧倒的だった。
なぜ、わたしがこの本を読みたいと思ったのか...統合失調症では無いが精神疾患に苦しみ友人を見てきたから。それが''一族''って...読み始めてからもしばらくこれはほんとにノンフィクションなのか?疑う部分も多かった。
まず普通にほぼ毎年のように子どもを孕んで産むという行為がわたしには考えられない。いくらベビーブームでも!!夫が辞めようと言わない限り、ってそんなの信じられない。
そして次第に兄弟のうち長男から次々と精神に異常を見せ始める。間に女の子が居なかったのも、精神に以上を来す一因だったんじゃないか、なんてわたしが語るべきじゃないけど少し感じた。
色々な、本当にただそこに産まれて生きていくことが大変な中でそれぞれが追い詰められ、逃げ場を欲して異常な精神状態になってしまったのを最終的には妹や科学の力でどうにか解決の糸口にでもなって欲しいと願わずにはいられなかった。
メアリー(リンジー)はこの本のみでしか知ることができないが、凄い人だ。
わたしなんて日々自分1人生きるのに必死になってるのに、その生死さえ危ぶんだ兄たちのかけがえのない支えに自らなっているのだから。
実際に自分以外の人生を経験することは絶対できないし、知ったかぶりなんて絶対にしてはいけないと思っている。だから、こうしてノンフィクションで体験することの無いような人生を追体験した時、何ものにも変えれない思いをする。
痛い、苦しい、しんどい辛い、もう嫌だ...楽しい、面白い、嬉しい...哀しいとか、どの感情も間違っていないような間違っているような、変な感覚に陥る。それでも大抵読んで、知ることができて良かったと思う。
今回のこのギャルヴィン一家の中を知ることが出来てやはり良かった。
精神疾患自体に更に興味を持つきっかけにもなった。色々知って行ければ、と思う。 -
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ネタバレうちも機能不全家庭で私が不調になって大変な思いしたので、傷が疼いた。ここまで酷くないけど。
長男がおかしくなってしまった理由はなんとなくわかるような…おかしくなって苦しんでるのは辛かった。親のせいだよこれは。
昔とはいえ大金持ちでもないのに12人も子供をもうけるのはもうその時点で酷い。この場合は違うみたいだけど、今だったら多産DVを疑う案件。
姉妹が公表したがった気持ちもわかる。
同じ境遇だった姉妹の家族への関わり方が違うけど、私は姉と同じ。自分の平穏を守るために親とは距離を置いている。接すると精神状態が崩れる。もう二度と人生を壊されたくない。 -
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数ページにわたる謝辞が胸に残った。苦難だらけ、トラウマだらけの一家の歴史を、それでも臆せず語った当事者の方々に、作者も言及するとおりまずはリスペクトを贈りたい。自身は精神病を発現しなかった末の姉妹たち(本書の取材の中心にいるため、他の兄たちよりその心情にリーチしやすい)の、トラウマと向き合う、サヴァイヴの物語としてだけでも、とても読み応えがある。
しかしそれだけでなく、一家の年代記と同時に語られる、統合失調症に対する医学の向き合い方の変遷もとても興味深かった。そのため、最終的に前者のサヴァイヴァーと後者の研究が合流し、一家(とその他多くの家族)をサンプルとして研究が大きく前進するくだりには胸が熱くなった。 -
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読み応え抜群。普段はほとんどノンフィクションは読まないが、フィクションのようなノンフィクションだった。統合失調症と家族を題材にしながら、家族の中のトラウマがかなりあって、追体験をしているかのようで読んでて少し辛かった。12人の子ども全員に強烈なトラウマがあって、12人の子どもの母親にもトラウマがあって、時代背景もあるのだと思うが、全てが良くない方向に向かっていき、完全に機能不全の家族だった。12番目の末娘が成長して、みんなを助けるに至った心境が計り知れない。家族の問題について、ここまで詳しく語り出版したことは、とても勇気のいることだったと思う。
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12人の兄妹を持つ14人家族のギャルヴィン家。そして彼らのうち6人は統合失調症に苦しめられている。そんなギャルヴィン家のファミリーヒストリーと統合失調症の原因について「生まれか育ちか?」という研究の進展についてとが並行して進んでいく大著。非常に読み応えがあった。
ギャルヴィン家が抱えた困難は単純に統合失調症だけではない。目まぐるしく変化していく社会情勢、精神病への偏見、管理的な治療が良しとされていた精神医療、家庭内で蔓延する暴力や虐待の連鎖とあらゆる問題が総体として押し寄せてくる。
まさに家族が直面して来た困難は歴史そのものなのだ。人が生き、一族が生きるということは何かが書かれている。 -
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統合失調症の研究が主と思って借りましたが、12人の子供のうち6人が発症してしまう不運な一家の長い長いノンフィクションがメインボディでした。
冒頭から暗雲立ち込める雰囲気で、85パーセントくらいまで絶望的な展開が続く。
最後の15パーセントは急に明度や彩度が変わるというか。それまでの文章が持つ、目に見えない小さな小さな鉛を含んだような空気が軽くなる。末娘が一度は決別した病気の家族や故郷に救いの手を差し伸べるからなのか?いや、それもあるだろうが、障害を持つ古い(前)世代が亡くなり、両親はその気苦労とともに亡くなり、新しく生まれ育った次世代が障害なく生まれ育ったからだろう。
この一家の不運は前世代で終わったと確信できるからだ。(とはいえ統合失調症を患った個人の人生に救いはないし、家族の不必要な苦労も大きな傷のまま。殺された犠牲者や関わった人達もそのまま。)地獄はそのままだけど、時が流れてプレイヤーが新しくなったから空気が変わっただけか。まぁでもそれの繰り返しなんですよね。残念ながらら。
前半85パーセントは「これって本当なの?」と疑いたくなるほどの不運続きのノンフィクション。
そこについては感想は書きようがない。
ただただ不運。
ここでは主に後半15パーセントについての思ったことを。
母親(ミミ)の描写
「知的で博識で恐ろしい悲劇を数えきれないほど耐え抜くほどに強靭でありながら内省を極端に嫌う」
うちの母親のことを書いてるのかと思った。
兄弟の1人が母親の臨終後、介護について
「あんなふうに世話が出来るのは特権だ。やらなきゃいけないならそりゃそうだが、俺たちには金があんだからやらなくてもいいんだし」(意訳)
金で他人を雇うことも出来たのに自分ら子供が母親の世話をしたことについて「特権」と表現。
なるほどね。今回は母親の世話をした兄弟の発言だったが、これが世話も一切しない貧乏な年長者だった場合、意味も変わる。でも同じかも?
「あいつがああやって時間も労力も金もかけられるのは余裕があるから。俺だって(私だって)あいつの立場ならあれくらいやってる。あいつにとっての〇〇円は俺にとっての◯円だ」みたいな?
やってる方は「なんで全く手伝わないでいられるの?バカなの?倫理観ないの?貧乏なの?全部なの?」とか思ってるけど、やらない方は「なぜ自分がやらないのか」もしくは「あいつはなぜやるのか」と理由をつけて自己防衛するものかもね。
てか親の支援とか介護やらない奴は今年中に爆発しますように。(迷惑かからないようにどっかの空き地で爆発してくれ)
統合失調症の発症率
100人に1人。高い。喘息と同じくらい?
片親のどちらかが発症していた場合その子供の発症率は10人に1人で、兄弟姉妹に患者がいる場合でも本人が発症していない場合その子供の発症率は他の人達とほぼ一緒。
なるほどー。
一生涯のうち妄想を一度でも経験した人は意外と多く5-7%
「あれは妄想だった」と本人もしくは他人が認められるものがそれくらいってことですかね。とすると本人が妄想だと自覚してないものを含めるともっと高いか。まぁそりゃそう。そうでなければこんなに宗教が幅きかせる世の中になってないですよね。30-40パーくらいかな?実際。
最後は末娘1人が奮闘して親や発症した兄達の面倒をみている。
その彼女曰く「両親は私達が必要としていたものを与えてはくれなかったが、彼らはそれが分からなかった」
そう。親ガチャ子ガチャなんて言葉があります。それ自体はその通りなんだけど(人生全て運だから)彼女は両親がわざとやってた(もしくはやってなかった)訳ではなく、知識や想像力が無かったり、知らないこと分からないこと考えなかったこと想像しなかったこと他人に聞かなかったことが間違いだった、自身はもっとよりよく対処出来たという感覚がまるっきりなかったということを病気の兄達を通して深く体感しているのだろう。
そう思えるようになると、親や役立たずの兄弟に対する恨みも少しマシになりますね。
(これも本人が賢く生まれつかないと得られない境地なんだけど)
要は運。全て運。何もかも運。