柿原朋哉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこれが最後の仕事になる。
全ての物語がこの一文から始まる短編集。この形式のは前も読んだけど、いろんな作家さんの作品が読めるのがいいね。
気に入った作品
『半分では足りない』呉 勝浩
『事故をつくる男』白井 智之
『最後の告知』真下 みこと
『声』岸田 奈美
『あの人は誰』麻見 和史
気に入った作品の感想
『半分では足りない』は仲の良くない兄弟の話。普通に読み終えたら、まさかの逆読み!!すごいよく出来ててびっくりした。
『事故をつくる男』は高級マンションを安く手に入れるためにその物件を事故物件にするために動いていた男の話。
『最後の告知』はとにかく読みやすい。真下さんはいつも読みやす -
Posted by ブクログ
若い世代の作家さんを読んでみようと、内容はまったくわからないまま手に取ってみましたが、読みやすく面白かった……というか、苦しい小説でした。
文量はさほどあるわけじゃないんですけど、いじめの被害者の思い、そして中心ではないけれど加担して加害者側になった者の思い、毒親と呼ばれてしまいそうな親子関係までも、繊細に描かれてるんですよね。それが読んでてとても苦しかったし、そして私が若い世代だった頃に読んだ小説や、過去に読んできた古典的な文学らがいくつも頭をよぎった。結局、いくら時代は変わっても、根本的なところでは普遍的なテーマなんだなあと。人は繰り返すんだなあと、やけにしんみりと思ってしまった。
Fとい -
Posted by ブクログ
自分と向き合える勇気はありますか?
そんなメッセージ性を感じる作品でした。
YouTuber「ぶんけい」さんこと、柿原朋哉さんデビュー作『匿名』の概要と感想になります。
「あと一歩のところまで来た。」の一文から始まる本作は、本当の自分と向き合えないまま周囲の同調圧力に息苦しさを感じ続ける女性と、過去の自分から生まれ変わろうと歌手を目指す女性の視点が交互に描かれる作品になります。
対照的な二人が「歌」によって過去と未来に向き合っていく姿は、SNSが日常に溶け込んだ現代的なリアリティを感じさせる作品でした。前向きな終わり方であったものの、どこか物足りなさを感じる読後でしたが今後の作家としての