中野宣子のレビュー一覧

  • Lの運動靴

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    民主化デモ中、催涙弾を頭部に受けて亡くなった“L”。民主化の旗印となった彼の遺品を集めた記念館から、劣化が進む運動靴の修復以来が美術修復士に舞い込む。

    繊細な修復士の仕事を通して伝えられるのは、記憶をいかに後世に残すかということ。
    大きな記憶で言えば、時折挟まれるアウシュビッツ、慰安婦等の言及。
    小さな記憶で言えば、物語に出てくる記念館の館長だったり、お子さんを施設に預ける女性修復士の過去。
    うつろい行く記憶への不安さとそれでも風化させてはいけない思い、後悔がかいまみえる中で、“L”の運動靴は何も語らず物語を終える。

    残された記憶に、意味を見いだすのは私たちだ。

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    2022年07月08日
  • 鹿川(ノクチョン)は糞に塗(まみ)れて

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    鹿川は糞に塗れて
    韓国映画界の巨匠イ・チャンドン監督が30年前に書かれた小説の翻訳版
    その時代も今も続く南北分断、独裁政権下の学生達、急激な経済成長の元に暮らす人々の淡々とした様子が、思っていた以上に読みやすく描かれている

    初めて見た韓国映画はイ・チャンドン監督の
    『초록 물고기』
    以来、
    『박하사탕 ペパーミントキャンディ』
    村上春樹『納屋を焼く』を原作とした『버닝 バーニング』
    監督の映像の原点を文字で追うことで、その絵が広がって見える

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    2024年03月20日
  • 鹿川(ノクチョン)は糞に塗(まみ)れて

    Posted by ブクログ

    表題を含め5編の中短編が収められている。
    ほぼ私の世代の筆者は、本業が映画監督。
    訳も含め、かなり読み易い文体、映像の感覚が随所に見られるの画、筆者の本業と分かり納得。

    南北分断と朝鮮層を経て、20世紀後半以降の韓国の世情に渦巻くイデオロギー、中産階層の空気感が核となっている。
    特に表題の作品が然り。
    川辺に佇む鹿の姿・・・あたかも山水画を思わせる・・が装丁のどす黒さ、退廃感は??
    筆者の狙いが現れている~20世紀泣かばよりくに破れて山河在りき様となった国情。
    国を興すべくシャカリキとなった韓国・・中産階級が住むマンション群が鹿川に立ち並び、それはあたかも「糞尿痰」の上に屹立した建物。そこを

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    2024年02月09日
  • Lの運動靴

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    マーク・クインのセルフの話から始まる
    いつも表情が違って見えるレンブラントの自画像の模写
    キロギアッパ
    色々な靴 カン先輩の父親の靴 彼女が息子に左右逆に履かせた運動靴(『アンチクライスト』のシーン)
    適切な線 作家の意図を把握した修復 暴力的な修復
    罪悪感 麻痺

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    2023年04月02日