アーシュラ K ル グィンのレビュー一覧

  • 言の葉の樹

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    アーシュラ・K・ル=グインの言の葉の樹を読みました。闇の左手と同じ世界設定の中で語られる、原題はTELLING(語り)というSF物語でした。アカと呼ばれる世界では伝統的な文化を捨て去り、継承者を迫害し本や記録を破壊する圧政がしかれていた。そこに地球から派遣された文化人類学者の女性サティは地方にはまだその伝統を継承している人たちが残っているはずと考えて、風前の灯火である伝統的な文化を守ろうとするのだが...ちなみにサティはインドの女神でシヴァの妃です。これも、この物語の隠し味になっています。この物語を読みながら、つらつら考えたのは、文化というのはその担い手がその文化の中で生活していくからこその文

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    2011年07月18日
  • 内海の漁師

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    短編集。が、やっぱり表題作を含むチャーテンという技術を巡る3つの話の印象が強いですねえ。特に「踊ってガナムへ」は読み返す事も多かったり。……でも1番好きなのはそれとは全く関係の無い「ケラスチョン」カモ。

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    2009年10月04日
  • 辺境の惑星

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    ネタバレ

    『闇の左手』(1969年)、『所有せざる人々』(1974年)、『ロカノンの世界』(1966年)、『辺境の惑星』(1966年)の順に読んで、3/4が厳しい冬の物語。

    植民、ロミジュリ、科学の助けなしに発展どころか生存すらも困難であろう過酷な自然環境。ハイニッシュ・ユニバースは同じテーマで描くという志があったのだろうか。1990年代の小室哲哉の曲のように似てるので、間を開けて読んでも食傷する。最後に希望が差すが、状況が困難すぎてハッピーエンドには思えない。そのへんがアンチテーゼだったのだろうか。

    ワイス&ヒックマンの冥界の門シリーズを思い出させる。念頭に置いて書かれたのではないかと思える。しか

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    2025年11月26日
  • 始まりの場所

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    正統派のファンタジー。こういう本に出会えるから、たまに古本屋さんをのぞきたくなってしまうのよね。
    ハヤカワ文庫FTをせっせと読んでいた若い頃を思い出すなあ。

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    2025年08月22日
  • 赦しへの四つの道

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    ネタバレ

    赦しのタイトルの通り、相互理解と赦しが主題になっている。前提としてこの作品は「ハイニッシュサイクル」、ル・グィンの想像した世界観を前提にしているらしい。
    かつて一大勢力を誇りありとあらゆる宇宙に植民を行った惑星ハイン。地球もこのハイン人たちの植民の結果起こった文明のひとつである。ハイン文明は一度滅亡し、もはやハイン人たちが植民したという事実すらそれぞれの星で忘れ去られるほどの長い月日が経った。その後再興したハイン文明が再度かつての植民惑星を発見し、星間戦争も経てやがては「宇宙連合エクーメン」が成立、再度様々な星に使節を送って連合の成立を試みる……という世界観。
    この作品集で主な舞台になっている

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    2025年08月13日
  • 闇の左手

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    ネタバレ

     両性具有の人類とはどんなものだろう。そして、彼らの統治する社会はどんな物になるだろう?性別という概念がそもそも存在しない世界、混ざりあって溶けている世界の常識や世界の仕組みは?本作は『冬』と呼ばれる閉ざされた惑星ゲセンで、両性具有の人類が作り上げた世界の様相と、その惑星の中で巻き起こる国家間の陰謀を描いている。
     こう書くと随分壮大な話に見える。実際この物語は壮大な世界観を持ち、『両性具有の人類による社会』を丹念な筆致で描いているのだが、おそらく本作の本旨はその設定の重厚さにあるのではない。その両性具有の社会にやってきた私たちと同じく性別のある人類――惑星連合エクーメンの使節、ゲンリー・アイ

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    2025年08月12日
  • 闇の左手

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    異世界というか、異星におけるリアリティを追求した作品。背景設定は作り込まれているように感じたが、今となっては小説だけでなく、漫画やゲームでもこのぐらいは普通な気もした。
    雪原の逃避行は圧巻だが、横断後の結末にかけては陳腐な印象もあった。

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    2025年08月04日
  • ロカノンの世界

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    ネタバレ

    ル・グウィンが世に問うた最初の作品だそうな。
    SFがFTに溶けてくカンジ。これまで読んできたル・グウィン作品の中では『ゲド戦記』の風合いが最も濃い。つまり、好みの部類ではある。

    ハイニッシュ・ユニバースのシリーズは意図的に避けてきた。ル・グウィンを知った頃はFTにハマっており、その頃SFを意図的に避けていたのだが、その延長線上にあたるだけで他意はない。先立っては『銀河英雄伝説』のシリーズも通読していたので、それ系が苦手とかキライとかいうわけではないと思うが、なんで避けていたのかはよく覚えていない。以後、機会を失い続けてきた。

    SFがFTに溶けてスペオペになった。クライマックスが超展開。ル・

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    2025年07月07日
  • 闇の左手

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    ネタバレ

    "光は暗闇の左手(ゆんで)
    暗闇は光の右手(めて)。" p.282

    仰ぎ見るばかりだった偉大な先達に親しみを覚えたのは、二度目か三度目かの『シルマリルの物語』再読の最中だった。トールキン教授の稚気ともいうべき設定を見出して、あの偉大なる世界記述者にも厨二病があった!という喜びを覚えたのである。こちらのレベルへひきずりおろした昏い喜びではない。そういうこともあるのかという、自然現象、不変の真理の発見に近いかもしれない。
    すなわち、厨二病は誰にでもある。違いは、公言するかしないかだけ。
    厨二病を押し通して面白ければいいが、そういうことは稀であろう。そのようなものは、物語として

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    2025年06月17日
  • 闇の左手

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    ビブリオバトルでチャンプ本になり、読んでみたい小説でした。
    異星における壮大な世界観。
    映像化すれば、きっと見に行く。
    他の作品も気になるので、いずれ読んでみようと思ってます。

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    2025年05月22日
  • 闇の左手

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    面白い。が、SFな設定に必要性がいまいちな気も。例えば、両性具有という設定に関する描写がもっと魅力的だったらなぁとか思う。男性性ばかり感じたのは読み手の問題か。BLっぽく読んでしまいそうだった。

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    2024年09月15日
  • 赦しへの四つの道

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    奴隷制度と女性蔑視
    階級社会

    女性の束縛からの解放は、実は、現実でもそんなに古い話ではない。
    例えば女性の選挙権が世界で認められたのは、先進国と言われる国々を含めても、概ね20世紀に入ってからで、日本やフランス、イタリアは大戦後ようやく始まった。

    作者はアーシュラ・K・ル・グィン

    ジブリの映画でお馴染み『ゲド戦記』の作者。
    かつて児童文庫として全巻読んだけど、難解で、よく映画化を決断した(不評だった)と思った。

    SF……確かに「ここではないどこか」を描いているが、どこか古代オリエント遺跡の図鑑を見ているよう。
    でも、次の瞬間.“今の人”をリアルに描く。女性の目線、しかも結構赤裸々な、も

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    2024年05月07日
  • 闇の左手

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    ネタバレ

    解説を少し読んでゲド戦記の作者だったこと、そして女性だったことに気づく。

    本書の舞台は非常に寒く、気候が厳しい惑星“冬”であり、その舞台設定だけでも興味がそそられるが、そこに住む異星人は両性具有という特徴を持つ。
    このゲセン人の特徴による社会には、著者の女性ならではの感覚が反映されており興味深く、気づかされる部分もあった。
    繁殖期(?)には女性にも男性にもなりうるため、直前まで伴侶と自分「どちらが妊娠するか分からない」ことで、妊娠・出産、子育てに対する性的な差別感覚がないことや、
    繁殖期以外では第二次成長期前の子供のような性的状態に戻る(= 性からくる身体の変調から解放される)という発想は、

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    2024年04月06日
  • 赦しへの四つの道

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    ネタバレ

    分断の物語。性別、持つものと持たざるもの、その入れ子構造、オールドメディアとネット。ネットについては1990年代の知見ということで、先見性というべきか偏見というべきか。

    『帰還』というブービートラップが大爆発して再起不能に近い傷を負わせられながらもなお読み続けているのは、ゲド戦記三部作+『風の十二方位』や『夜の言葉』、『闇の左手』に受けた好ましい衝撃よ再びと望んでいるからに違いない。しかし、出会えない。
    『西のはての年代記』でもそうだったが、物語というより設定語りという印象が強い。本書においては各編後半には物語になるとしても、導入の設定語りがどうにもあわない。
    本書に収められている四篇のうち

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    2024年03月17日
  • 闇の左手

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    後半の旅のための前振りが前半と思う。
    が、その前半が退屈、背景を理解覚えるのが大変。
    旅の話は三分の一くらいらしいが、この部分は読める。
    解説によると、この話はハイニッシュユニバースに含まれるとのこと。同じ設定で、他の年代の話があるらしい。アシモフさんのロボットものみたいなのか。
    この作者さん、ゲド戦記書いた方だそう。

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    2023年09月18日
  • 闇の左手

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    難しかった。ゆったりと流れる時間の中で読んだらよかった。いや、それはそれで寒くてしんどいかもしれない。
    ゲセン人が両性具有であることの社会学的な洞察が期待していた感じではなかったかなぁ。性欲がよりシステマティックで情動と呼ばれるよりは大人しいのであれば、例えば芸術はどのような発展を遂げているのかしら

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    2022年12月10日
  • 闇の左手

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    初のル・グイン作品
    造語が多いこと、季節の巡りや名前が地球と全然異なること、
    両性具有によって成り立つ独特の文化があること
    などなどに阻まれてなかなか読み進めるのが難しかったです(何度も寝落ちした)
    特に主人公二人の心理的なやり取りは理解するのが難しかったように感じました。
    一読では理解できない部分も多々あったので、機会があれば再読に挑戦したいです

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    2022年09月28日
  • 闇の左手

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    地球からの使節アイと冬と呼ばれる惑星の住人エストラーベンの物語。なかなか冬の気候や生態系が理解できず苦しんだが、後半は2人の友情が芽生える設定は前半での説明による伏線を回収しつつ、面白かった。
    惑星が違えば、人の在り方も変わるのだが、それを当たり前と捉えることが難しく、自身の頭の固さを認識させられた。
    惑星冬の生態系はよく考えられていると思う。惑星の神話の話もあり、興味深かった。

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    2022年08月14日
  • 闇の左手

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    んー、これは、しばらく本格的なSFから離れてた身としては、ちょっと難しかった。

    非常に興味深い設定ながら、それを理解して入り込むまで時間がかかり、人の名前とか関係性もなかなか把握できず、ナニナニ?と行きつ戻りつ。
    字面を目が滑ってしまう章もあり、結局良く判らないまま終わったけど、途中で放棄もできない何かがあり、、、。

    かなり前の作品だというのが、改めて驚き。

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    2021年12月27日
  • 闇の左手

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    造語の雪崩に頭がかき乱されること間違いなしのファンタジー小説。一気に読むか、毎回新語が出るたびにメモを取らないとわけわからなくこと請け合い。
    男女の区別がない星に大使として主人公が乗り込む話。今だと割とありがちな設定かもしれない(主にBLとかで)。
    ちょくちょくヒッピー文化っぽい描写があるのは書かれた年代のせいだろうか。現実の社会的な背景を意識しながら読むと面白いと思う。エンタメ的にはあんまり・・・。

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    2021年09月02日