アーシュラ K ル グィンのレビュー一覧

  • 言の葉の樹
    アーシュラ・K・ル=グインの言の葉の樹を読みました。闇の左手と同じ世界設定の中で語られる、原題はTELLING(語り)というSF物語でした。アカと呼ばれる世界では伝統的な文化を捨て去り、継承者を迫害し本や記録を破壊する圧政がしかれていた。そこに地球から派遣された文化人類学者の女性サティは地方にはまだ...続きを読む
  • 内海の漁師
    短編集。が、やっぱり表題作を含むチャーテンという技術を巡る3つの話の印象が強いですねえ。特に「踊ってガナムへ」は読み返す事も多かったり。……でも1番好きなのはそれとは全く関係の無い「ケラスチョン」カモ。
  • 赦しへの四つの道
    奴隷制度と女性蔑視
    階級社会

    女性の束縛からの解放は、実は、現実でもそんなに古い話ではない。
    例えば女性の選挙権が世界で認められたのは、先進国と言われる国々を含めても、概ね20世紀に入ってからで、日本やフランス、イタリアは大戦後ようやく始まった。

    作者はアーシュラ・K・ル・グィン

    ジブリの映画...続きを読む
  • 闇の左手
    解説を少し読んでゲド戦記の作者だったこと、そして女性だったことに気づく。

    本書の舞台は非常に寒く、気候が厳しい惑星“冬”であり、その舞台設定だけでも興味がそそられるが、そこに住む異星人は両性具有という特徴を持つ。
    このゲセン人の特徴による社会には、著者の女性ならではの感覚が反映されており興味深く、...続きを読む
  • 赦しへの四つの道
    分断の物語。性別、持つものと持たざるもの、その入れ子構造、オールドメディアとネット。ネットについては1990年代の知見ということで、先見性というべきか偏見というべきか。

    『帰還』というブービートラップが大爆発して再起不能に近い傷を負ってもなお読み続けているのは、ゲド戦記三部作+『風の十二方位』や『...続きを読む
  • 闇の左手
    後半の旅のための前振りが前半と思う。
    が、その前半が退屈、背景を理解覚えるのが大変。
    旅の話は三分の一くらいらしいが、この部分は読める。
    解説によると、この話はハイニッシュユニバースに含まれるとのこと。同じ設定で、他の年代の話があるらしい。アシモフさんのロボットものみたいなのか。
    この作者さん、ゲド...続きを読む
  • 闇の左手
    難しかった。ゆったりと流れる時間の中で読んだらよかった。いや、それはそれで寒くてしんどいかもしれない。
    ゲセン人が両性具有であることの社会学的な洞察が期待していた感じではなかったかなぁ。性欲がよりシステマティックで情動と呼ばれるよりは大人しいのであれば、例えば芸術はどのような発展を遂げているのかしら
  • 闇の左手
    初のル・グイン作品
    造語が多いこと、季節の巡りや名前が地球と全然異なること、
    両性具有によって成り立つ独特の文化があること
    などなどに阻まれてなかなか読み進めるのが難しかったです(何度も寝落ちした)
    特に主人公二人の心理的なやり取りは理解するのが難しかったように感じました。
    一読では理解できない部分...続きを読む
  • 闇の左手
    地球からの使節アイと冬と呼ばれる惑星の住人エストラーベンの物語。なかなか冬の気候や生態系が理解できず苦しんだが、後半は2人の友情が芽生える設定は前半での説明による伏線を回収しつつ、面白かった。
    惑星が違えば、人の在り方も変わるのだが、それを当たり前と捉えることが難しく、自身の頭の固さを認識させられた...続きを読む
  • 闇の左手
    んー、これは、しばらく本格的なSFから離れてた身としては、ちょっと難しかった。

    非常に興味深い設定ながら、それを理解して入り込むまで時間がかかり、人の名前とか関係性もなかなか把握できず、ナニナニ?と行きつ戻りつ。
    字面を目が滑ってしまう章もあり、結局良く判らないまま終わったけど、途中で放棄もできな...続きを読む
  • 闇の左手
    造語の雪崩に頭がかき乱されること間違いなしのファンタジー小説。一気に読むか、毎回新語が出るたびにメモを取らないとわけわからなくこと請け合い。
    男女の区別がない星に大使として主人公が乗り込む話。今だと割とありがちな設定かもしれない(主にBLとかで)。
    ちょくちょくヒッピー文化っぽい描写があるのは書かれ...続きを読む
  • 内海の漁師
    SF。短編集。
    最後の3編は同じ世界観の連作短編風。
    『闇の左手』でも感じたが、独自の世界観が特徴的。
    共通する"チャーテン理論"は難しくてよく分からないが、人間ドラマがよく描かれていて、ストーリーが面白い。
    表題作が一番好き。
  • 所有せざる人々
    「真の旅は帰還である」

    読むのに3ヶ月くらいかかった。私にとってアナレスは月なので、章が変わる度になんとなくつっかえてしまう。

    でもこの読書が自分にとって大事なものだと思いながら読んでいた。たぶん、グィンの作品は「自分のために書かれた本」だと読者に信じさせるのだ。
    逃れ得ない孤独とかそけき連帯。...続きを読む
  • 闇の左手
    The story follows an envoy of the Ekumen, Genly Ai, a male protagonist from Terra. His mission is to persuade the nation of Gethen to join the Ekumen,...続きを読む
  • 世界の誕生日
    作家の創りあげた世界がここにある。宇宙のどこかにある星の上に。色々な星に住むヒトたちの話、そして長い旅をしてその星にたどり着き住み始めた一部のヒトたちの話。一緒に想像しながら読む。ここではない星に住むヒトたちの話を
  • 言の葉の樹
    外交使節でもある文化人類学者が、とある異国で失われつつある前近代の文化風習を再発見するための旅をする物語。

    と、まとめてしまうと物語の骨格はSFでもなんでもないのですが、その「SFらしくなさ」が正にル・グィンらしさでもあります。

    彼女が紡ぎだす「ハイニッシュ・ユニバース」の一端を成す作品。高度の...続きを読む
  • 始まりの場所
    SFとなっているけど、ファンタジー・青春物語・ラブストーリー・冒険小説・・・でも通りそうな作品。

    主人公2人に共感できたら楽しめる作品だと思った。
  • 辺境の惑星
    ル=グウィンの初期の長編とのこと。古本屋で見つけて、読んでみた。
    おもしろかった。
    その後のル=グウィンの作品でもしばしば使われる手法、すなわち肌の色の違いをうまく使って世界観を作っている。
    ル=グウィンを読むたびに、なぜ自分がこんなにも白人が物語の中心にいることを当然のことだと思ってしまうのだろう...続きを読む
  • ロカノンの世界
     はるかな未来の宇宙、フォーマルハウト第二惑星。高度な知能を有する生命体が、複数の種族存在する星。
     その惑星に、全世界連盟から派遣された調査隊。通常の手段では、連盟の人々に通信が届くまでに八年もかかるような辺境の星で、平和的な調査のためにやってきたはずの彼らは、突然の攻撃にあい、隊長のロカノンを残...続きを読む
  • 言の葉の樹
    ル・グィンの小説は、その試みが興味深いがあまりにも真面目過ぎてまるで社会学の教科書を読んでいるようだ。
    本書で書かれている社会は、まるで、文化大革命の時の中国と鎖国時代の日本を足したようだ。