アーシュラ K ル グィンのレビュー一覧

  • 所有せざる人々

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    小説とは人間を描くものである、というル・グィンの言葉通りの本。
    主人公シュヴェックを語るためにアナレスとウラスという二つの世界があり、本書が存在する。
    個人的には彼の親友であるベダップが凄く印象的でした。終始一貫してシュヴェックの視点で語られる物語において、例外的にべダップが語る場面が存在するからでしょうか。
    彼が持ち得ない(という言い方はこの本だと不適切ですが)「それ」に対する気持ちにシンクロしてしまってしょうがなかったです。彼の話が読みたい。
    あと姉妹短編の「革命前夜」も読み返さなきゃ。

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    2011年05月26日
  • 世界の合言葉は森

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    中編です。
    ル・ググィンならでは…
    想像された世界の確かな手触り。
    皮肉の効いた描写と、それでも息づいている生命力。

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    2010年04月24日
  • ロカノンの世界

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    神話とSFが混ざった独特の雰囲気が好き。『風の十二方位』でプロローグの部分を読んだ時はロカノンがここまで動くとは思わなかった。

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    2009年10月07日
  • 幻影の都市

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    詳細はもう覚えていないのですが、もう二度と逢えないと解っていて、ほんの一時しか一緒にいられないと解っていて契りを交わしたその証の結婚指輪を失ったその描写に、泣いた記憶があります。

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    2009年10月04日
  • 所有せざる人々

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    善意を前提に作られたシステムは余裕というか、誰もが未来の心配しなくていい状態にしないとおそらくうまく回らないと思う。作中ですら結局の所無政府状態というけど善意でなく村社会もどきで回してるの当人たちが自覚しつつ、わずらわしく思いながら折り合いつけながらな感じで、うまく回らないなりにどうにか回ってる社会になってたかと思う。問題はあっても、それでも社会を信じているのはいい事なのやら、思考停止なのやら

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    2025年07月25日
  • 闇の左手

    ネタバレ 購入済み

    氷の惑星と両性種族。

    銀河連合的な組織に所属する地球人が、使者となって極寒の辺境惑星(冬=ゲセン)へ訪れ、艱難辛苦を経て(冬)の連合入りを成立させる話。
    中世ヨーロッパ的な国カルハイドと共産圏的なオルゴレインの二大勢力があり、知り合ったカルハイド人の親友(両性具有種族で政治家)とカルハイドを追われ、オルゴレインでも独り収容所送りとなる。しかし、親友エストラーベンの救出作戦で脱出。
    南極に似た土地を二ヶ月逃避行して、再びカルハイドの王を訪れ、翻心させるまでのストーリー。
    氷原の旅の終わりにエストラーベンは逃走中射殺されるが(ある意味自殺)、連合使者としての任務は成功し、エピローグで友の父と息子に日記を届ける流れは、た

    #切ない

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    2025年06月14日
  • 所有せざる人々

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    ネタバレ

    政府をもたず、国境もない
    オドー主義というアナーキーな思想を持つ
    コミニュタリアンの星、アナレスと

    資本主義的で、男尊女卑の文化を取りながらも
    繁栄をするウルスという
    双子星を舞台に、
    人間の真の幸福とはなにかを問う作品。

    資本主義と社会主義のメタファー。

    アナレスでも、結局は人の目を気にする、
    周りの人間からの暗黙のルールのような
    しがらみに縛られたりする。

    主人公はアナレスからウルスに行き、
    資本主義の世界を経験する。

    ラストはアナレスに帰って来る。
    手ぶらで帰って来るラストが印象的だった。

    時系列は分かりにくいし、文章も独特で
    読みづらい。
    しかし内容は素晴らしい。

    読書に

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    2025年04月28日
  • 闇の左手

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    2018年に亡くなってしまったSF、ファンタジーの女王アーシュラ・K・ル=グウィンが1969年に発表したハイニッシュ・ユニバースに連なる作品の一つ。
    ジェンダーを持たない種族が住む惑星《冬》のカルハイド王国と、その隣国オルゴレインに宇宙連合エクーメンの使者であり人間である主人公が外交官として訪れるというもの。
    それもあってフェミニズムSFの代名詞的作品とも言われている。
    1969年の作品でありながら、今読んでも古びてない強度がある。それは世界観構築が細かいところにも行き渡っていることと、ハイニッシュ・ユニバースによって世界が時代を超えて広がっていることも多きい。
    そして性の規範に囚われない種族

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    2025年03月19日
  • 赦しへの四つの道

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    ネタバレ

    これまでのシリーズで謎が多めだったハイン人の暮らしぶりや生い立ちが紐解かれた

    『星を継ぐもの』のチューリアンに近いハイパーテクノロジー文明を想像してたけど、意外と土着の暮らしや風習めいたものも残ってる(た)のね、、とか エクーメンの在り方にも通じるところあり、面白い

    ハイニッシュユニバースシリーズの新作が現代でも出版されたことに感謝

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    2025年01月29日
  • 闇の左手

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    ゲド戦記しか読んだことがなかったけど、ル・グウィンはもともとSF畑の人だったんだね。
    両性と言いつつ、雪原でのふたりの旅にはそこはかとなくBLみがあった。ゲセン語のLINEスタンプあったら使いたい。ヌスス。

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    2024年08月26日
  • 所有せざる人々

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    理想の社会構造ものって言っていいのか
    貨幣なし世界だとどうなんだろうと思うけど、その1つのあり様が描かれた作品
    お金のことを考えないとどこまでできるのかと言うのは考えたことはあるけど、この作品はソ連みたいな社会主義の顛末を念頭に置いたものっぽい。
    プロジェクトヘイルメアリーや機本伸司さんの僕たちの終末みたいにお金のこと考えないと凄いことできるみたいな可能性じゃなくて、継続的な生活が描かれていた。

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    2024年04月05日
  • 赦しへの四つの道

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     本書は「闇の左手」や「所有せざる人々」等と同じく〈ハイニッシュ・ユニバース〉シリーズに属し、四つの短編からなる。それぞれの短篇はゆるやかに関連をもって描かれている。

     〈ハイニッシュ・ユニバース〉に世界は以下の通り。
     惑星ハインに住む古代ハイン人は高度な文明を持ち、居住可能な多くの惑星に人間型生命種をまいて植民を行なっており、地球も植民地の一つとされている。ハイン人の文明は一度は衰退し、植民惑星の記憶も失われたが、その後、再興したハイン人たちは失われた植民惑星の探索を始め、地球を含むかつての植民惑星を発見していく。それぞれの住人は長い年月の中で独自の文化を発達させていた。そうした惑星の一

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    2023年12月10日
  • 言の葉の樹

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    ゲド戦記から入った私はこれがル=グウィンの初SF体験でした。
    SFはほとんど読まないので、ストーリーに入るのに少し時間がかかりましたが、読み進めていくとやはりル=グウィンらしさがあり、だんだんとのめり込みました。言葉を大切にするところやフェミニズムをしっかり入れてくるところなどゲド戦記に通じるものがありました。
    SFは私にとってはやや読みにくいのですが、これをきっかけにル=グウィンのものから読んでみようかとも思いました。

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    2023年11月07日
  • 闇の左手

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    はるか遠い未来の話。人類の末裔たちの物語。星間を行き来できる世界で、外交関係を結ぶために、人類が極寒の星に使節を送り込む。その使節ゲイリー・アイが語る数奇な物語。

    重厚な物語で、読み慣れない言葉もあり、読み進めるのに時間がかかった。
    17章 オルゴレインの創世伝説
    この辺りから、一気に読むスピードが上がり最後までたどり着いた。

    1969年に発表されたと解説にあったが、多様性を受け入れる社会が描かれており、とても現代的だなぁとの印象を持った。

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    2023年04月02日
  • 所有せざる人々

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    なんだろうこれは。すごいものを読んでしまったのに、この本の世界は、私たちのいる現実であってまったくの異世界でもある。
    この本の「人間」というものが、わたしたちと同じ形をしているかもわからないのに、悩んだりそして(まやかしであっても)解決策を見つけようとしたり、他を上と見たり下と見たり、またはそういう上下関係が全ていやになったりすることは普遍的な問題であって、それが描かれているために、異世界の話なのに妙に身近な問題の手ざわりがする。

    集会シーンは、ハクスリーのすばらしい新世界のオマージュかなと思った。

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    2022年09月23日
  • 闇の左手

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    この不思議なタイトルの意味が回収された瞬間が個人的に最も興奮した気がする(?)後半は文句なく面白く、主人公ふたりの関係のこまやかな描かれ方がとってもよかった。
    序盤はこの作品独特の設定や世界観についていくのに必死でなかなかストーリーに追いつけなかったので、また読み返したいと思う。2回目の方がいろいろと理解が進んで楽しそう。

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    2022年08月20日
  • 所有せざる人々

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    最初はなかなか慣れず、アナレスとウラスのセクションの時間軸が今ひとつわからなかった。最後まで到達してようやく理解でき、読み終わった直後にもう一度読み直した。

    『闇の左手』にも記載したが、そもそもル=グィンのハイニッシュシリーズはSFというジャンルなのだろうか。
    確かに異星の物語で近未来という意味ではSFだが、文化や人に焦点が当てられていることを考えると、異星というのはただの舞台に過ぎないように感じる。

    ル・グィンの素晴らしい点は、やはりその精密な世界構築だ。描く世界の文化や気質、時には歴史など、説得力のある世界を描く。今回は一般に資本主義の象徴のように語られるウラスと、共産主義のアナレスと

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    2022年05月09日
  • 闇の左手

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    ネタバレ

    もぐりと言われることを覚悟で告白するが、実はアーシュラ・K・ル=グィンという作家を知ったのはつい最近だ。
    『ゲド戦記』はもちろんタイトルは知っていたが、ジュブナイルというイメージがあったため食指は伸びず。
    今回手にとった理由は、『Dune』の解説で、12年おきに発表されるローカス紙でのオールタイム・ベストSFという賞で、『闇の左手』が1975年、87年、98年にそれぞれ3位、2位、3位で入賞していると知ったからだ。2012年には5位に入賞している。
    ちなみにオールタイムと名がついているが、20世紀と21世紀に分かれている。
    ヒューゴー賞とネビュラ賞に関してはいたるところで書かれているので割愛。

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    2022年02月13日
  • 闇の左手

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    ゲド戦記で著名なアーシュラ・K・ル・グィンのヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作品。両性具有の人類という特異な社会を描いているのが最大の注目点であり、セックスとジェンダーをめぐる思考実験として考えさせられるものがある。後半の大部分をしめる真冬の氷原を越える旅が圧巻で、異星人との心の交流とその結末が深く心に残る。
    いっけんファンタジーぽい世界の背景に、長大なスペースオペラがまるまる収まりそうなSF設定があるのもすごい。
    全体的に重い話なので個人的な好みには外れるが、何十年も読まれ続けているのは納得。稀有な傑作なのは間違いない。

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    2021年10月23日
  • 闇の左手

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    わからないなりに食いついて読んだ。
    まったく違うものたちが、当然ゆえに見過ごされる誤解を通って隣りあい近づきあう、そのわずかだが貴重な時間と。繋がりが「絶えた」ときからみえてくる相手の拡がり。
    主人公(?)はきっとこの後も長いこと、おのれの住む星と文明のために動いたひとりのゲセン人を思い出すのだろうな。愛という観念さえ、通じ合っているかわからなくても。
    しかし。であれば「同盟」というのはなんだろう。文明を、『前進した自らこそが進化の到達点』と定義するのだったら悲しいことだなぁ。

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    2021年10月20日