クリステン・R・ゴドシーのレビュー一覧
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『家父長制の起源』に出てきた本で、タイトルからしてもっとカジュアルなエッセイか何かかと思って手に取ったんだけど、中身はかなり本格的なフェミニズム書だった。『家父長制の起源』で少し触れられていた、旧共産圏の国々の方が女性の社会参加度が高く、男女がより平等に扱われていたという論点を、ここでは徹底的に掘り下げている。単なる理論ではなく、聞き取りや各種データをもとにして描かれており、社会主義の再評価、資本主義の限界、そして女性を取り巻く環境について、非常に意欲的かつ挑戦的なアプローチをとっている。もちろん国家社会主義の全体主義性を肯定しているわけではないし、失敗に終わった社会主義にも限界はあったとしつ
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とても読みやすくわかりやすい。英語翻訳の本は読みにくいものが多いと思っていたが、翻訳者の力量にかなり左右されるようだ。もっとも本書は著者が初めて一般向けに書いた本だそうで、原著の段階で一般人にも伝わる言葉で書いてあるおかげもあるかもしれない。
本の概要としては、冷戦下の東側諸国の社会主義政策にも学ぶところがあるよ、冷静に評価して民主社会主義を取り入れていこうよ、というもの。
西側諸国における社会主義アレルギーはすさまじく、公的扶助を充実させましょうと言うだけで、貴様は独裁主義を擁護するのか!?といったバッシングが飛んでくる。ところが当時の東側諸国で暮らした女性たちに聞くと、冷戦下のほうが暮 -
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Everyday Utopia
What 2,000 Years of Wild Experiments Can Teach Us About the Good Life
【目次】
第1章 未踏の知に向けて勇敢に踏みだす
社会の夢は混沌から生まれる/冷笑家はいつだって笑うもの/クレイジーな人が世界を変える/家父長制の2つの父ワード/政治的なことは個人的なこと/キング牧師と宇宙大作戦
第2章 家庭とは壁のあるところ?
床下の骨が語ること/信仰生活と学生寮/ファランステールへ行け!/労働者たちの宮殿/鉄筋コンクリート造りの夢/人とつながる都会生活/コハウジングの豊かな暮らし/家母長制のエコビレッ -
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ネタバレ
色々と考えさせられた。
筆者の友達ケンの話は面白い。
資本主義と社会主義のバランスがないと女性は特に幸せになれないのかもしれない。
最近では女性の活躍推進をしていたり、海外では女性の比率や役員の比率まで決められていたり。
それは社会主義的な側面もある気がする。
資本主義は男性にとってもセックスが気持ち良いもの、感情が動かされるものになるのは社会主義的に、男女平等に働く必要のある社会で実現できるのかも。
筆者の友人が自分と同じような給与やキャリアを追ってる女性を選んだ人の方が幸せそうというのは家庭内に格差がない、社会主義的な側面があるからだ。
全てがお金に変わること、セックスを売るこ -
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相当面白い。
社会主義国家以外の例は割と知っていたのだが、いかにして、東ヨーロッパの社会主義国が民主化して、どのように社会が変化したのかと言うところが全然知らなかったので面白かった
セックスの後 東は82% 西は52%
資本主義の失敗には資本主義以外の名前がつけられる。
結局のところ、社会主義国家も富国強兵的なのなの元に男も女も働けと言うところで社会進出をしてきた。推し進めてきたと言う点には変わらないけれども、西洋とはその辺のあくまで社会システムが違うという感じだった。どちらにせよ政権のトップに女性が立つこともないし、男がリーダーシップ取るべきと言うところは、西洋諸国と共産主義国家など社 -
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タイトルと表紙にビビッと来て読みました。
セックスが楽しめるとは、つまり、セックスが生活のための取引とは無縁であるということなんだなと納得。社会主義国では建前上は男女平等で男女ともに当然みんな外で働き相応の賃金を得られるから、女性が生活費のために男性に体を差し出したり、育児や生活のために最悪の男性と婚姻関係を続けたりする必要がない。
時短勤務と保育所費用で月収数セントとなるアメリカ人女性の話が衝撃的だった。というか、本書で紹介されている資本主義至上国アメリカの様子は全てが衝撃的だった。アメリカから見たら日本は立派な社会主義国だろうな…。
旧社会主義国で暮らした人の「政府が社会主義について語った -
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印象的だった箇所をいくつか。こういった本は、女性だけではなく男性にも読んでもらう必要がある。
「同じ理屈で、これまで何千年と女性が食事を作ってきたというのに、プロのシェフの世界は男性ばかりです。マッシュポテトと一緒にテストステロンが少々盛られていると、料理の味わいが増すのでしょうか。」
「結局のところ、競争的な労働市場では、生殖機能の異なる男女を公平に扱うことは無理なのです。雇用する側はどうしても、効率的に利益を出せそうな人を雇おうとします。この問題の解決は容易ではありません。育児休暇や公立保育園の拡充は、差別の構造を改善するのに役立つでしょう。これらは社会主義から生まれ、職場と家庭におけ -
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社会主義フェミニストのプロパガンダという気がしなくもないが,とても興味深い議論だった。
社会主義社会で女性の解放が進んでいたという歴史は,確かに蓋をされ抹殺されているように思う。まさに社会実験として,女性の経済的自立がある程度達成されていた社会において,何が起こったのか,実験結果の検証は必要だろう。
ただし,鉄のカーテンの向こうに良質なセックスがあったというデータが事実だとしても,必ずしも女性の経済的自立と因果関係があるとは限らない。国家社会主義という全体主義の下で,個人にとってのセックスの満足度が高かった理由は他にも色々考えられるので。
「女性の体にふれるために何らかの対価を払っている -
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序章:「数々の欠点があったにせよ、社会主義が資本主義のバランスをとる存在だったことを忘れてはいけません。」
何かに対して意見を(公式に・公に)言おうとしたり、書こうとするときに、なんとなく「自分にそれを言う(書く)権利というか、知識があるのか、そんな立場なのか」と感じて躊躇して結局口を閉ざしがち。
これが著者が本書で紹介している「認識論的デプラットフォーム」なんだな。
そんなこと気にしないで、自分が生きている日常の中で得た経験から感じたことや考えたことを口にすること、それがささやかにでも社会をかえたり、同じように違和感を感じている人を勇気づけたり、ちょっと何かをかえることにつながるのかもしれ -
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ネタバレ19世紀ー20生活における社会主義ー資本主義の転換に伴う女性の経済的自立性、出産、病気に対するセーフティネットの状況が女性の恋愛観にも大きな影響を与えたという内容。
セックスから資本主義/社会主義を語る切り口が斬新。
社会主義で男女平等な時代では性交渉に対して女性の自立性は自然と担保されていたし、離婚したからといって失業や生活に不安を感じる事は無かった。
ところが、米国式の資本主義社会が流入すると、男女の社会ロールは分断され、女性は生活に対して男性に依存する必要性が生じた。
1990年の東ドイツの女性は性交渉において男性よりも優位に立っており、西ドイツの男性が自分の富を見せてもなびかない -
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私が会社員生活に不安を感じるのは、女だから?
上司との飲み会についていけないと思うのは、女だから?
今後のキャリアに不安を感じるのは、女だから?
女であることを理由にすると、逃げることになる。
逃げたところで、幸せになるわけじゃない。
逃げたい、嫌だと思う理由を、女だから、で片付けて良いのだろうか?
自分が苦しいと思うのは、資本主義が原因かもしれない、と最近気づいた。
女だから、で苦しむのは、そのひとつなのだと思った。
女だから、失敗しても許してもらえる。
その後ろには、女は失敗するものだと見下されている構図がある。
女だから、大事にしてもらえる。
その後ろには、女は男より弱いというスティ -
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冷戦が終わって、社会主義は間違っていた「資源の再配分に市場原理より良いものはない」、とされるが本当に資本主義の一人勝ちなのだろうか?農業社会的倫理が衰退する20世紀以降「労働力の商品化」による人間疎外が避けらないのではないか?、ロシア革命後、「女性部」が設立され女性閣僚となったコロンタイは女性の労働参加のための様々な施策を提案したが、’24年レーニンが死にスターリンが権力を握るとノルウェー大使に左遷され、女性抑圧は復活した/産業社会の一員として自由競争するのはシングルマザーは過酷だが、結婚しての出産にしても男ばかりが得する感がある/ではどうするか?かつて東ヨーロッパの社会主義国にはそれぞれ独自